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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.796:トランプ関税で景気悪化を無視! 株価はまだまだ上がるも「クリスマス暴落」の懸念


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 山田順の「週刊:未来地図」                 

 No.796 2025/09/09

トランプ関税で景気悪化を無視!

株価はまだまだ上がるも「クリスマス暴落」の懸念

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 なんとなくおかしい気がずっとしている。NY 株も日本株もなにがあろうと上がり続けていることだ。上がるということは、市場参加者の多くが買い続けているということだが、買う材料がそんなにあるのだろうか?

 FRBは今度のFOMCで0.25%の利下げをするという。しかし、それはすでに織り込み済みだ。そんなことより、トランプ関税がじわじわと利いて、アメリカも日本も景気が後退し、企業業績も落ち込むことはほぼ間違いないのに、なぜ上がるのか。

 実体経済と金融市場は関係ないと言ってしまえばそれまでだが、どうも納得がいかない。このままいくと、クリスマスまでにNY 株も日本株も5万ドル5万円になることになるが、本当にそうなるのか? 

[目次]  ─────────────────────

■トランプ関税で景気が悪化するなかの株価上昇

■日米ともにスタグフレーションになっている

■NVIDIAだけを見てほかの要素は全部無視

■経済学の一般常識が通用しない株価上昇

■膨大な国債残高が招く通貨、株式の暴落

■世界中に溢れた金融緩和マネーが株に向かった

■日本株は海外投資家、コンピュータが買っている

■株価は永遠に上がり続けるという経験則

■あるのか「感謝祭暴落」「クリスマス暴落」

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■トランプ関税で景気が悪化するなかの株価上昇

 

 何度も書いているが、私は投資家ではないので、株価がどうなろうと知ったことではない。ただ、景気が悪化して世の中が暗くなるのは歓迎できない。これ以上物価が上昇して、暮らしが貧困化するのには耐えられない。

 

 だから、もし株価が景気を反映しているなら、現在の史上最高値を更新する状況は歓迎すべきことになる。なぜなら、景気がいいということだからだ。

 

 しかし、景気はいいだろうか? いいはずがない。肌感覚でもそう思う。数値を見れば一目瞭然だが、いまの日本の景気は少しも良くないうえ、物価は上がり続けて消費は減退している。アメリカもトランプ関税がじわじわと利いて、景気後退局面に入るのが確実視されている。

 

 はっきりしているのは日米ともに、トランプ関税により物価上昇、インフレが続くということ。そして、このインフレに賃金上昇が追いつかなければスタグフレーションになるということだ。

 

■日米ともにスタグフレーションになっている

 

 すでに、日本は実質賃金が長期にわたって下落している。これは明らかにスタグフレーションであり、すでにスタグフレーションは常態化している。

 そして、この秋は、市場空前の値上げラッシュで、この状況はさらに悪化するだろう。

 

 アメリカも、今後はスタグフレーションになると、大方の専門家が言っている。それなのに、FRBのパウエル議長は、トランプの圧力に屈して、利下げを示唆した。FRBは今度のFOMC(9月19日)で0.25%の利下げをするという。

 

 最近、ムーディーズ・アナリティックスのマーク・ザンディ首席エコノミストは、リンクトインに、次のような投稿をしている。

「関税引き上げと移民規制がインフレ率を押し上げ、経済成長を阻害しているため、経済はスタグフレーションの兆候を見せている」

 

■NVIDIAだけを見てほかの要素は全部無視

 

 トランプが、4月に「解放の日」だと称して世界を相手に相互関税を発表したとき、株価は大幅に下げた。NY株も日本株も下落。そのほかの市場も下げて、「世界同時株安」に陥った。

 しかし、その後、トランプが「TACO」(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビってやめる)を繰り返したため、株価は回復。6月下旬には、NY株も日本株も市場最高値を更新した。

 

 トランプの上乗せ関税は8月7日を持って発動されたが、このとき株価はまったく下げず、その後、今日まで高値を続けている。

 NY株価について言うと、どう見てもAI関連のハイテク銘柄、とくにNVIDIAが1本やりで押し上げている。日本株はいつも通りNY株につられて上がっている。

 つまり、株式市場参加者はこの点だけを見て、ほかの要素は全部無視しているようにしか思えない。

 

■経済学の一般常識が通用しない株価上昇

 

 たとえば、経済学の一般常識では、インフレが進行すると、株価は上昇するか、上昇すしやすくなる。ただし、必ずしもすべての株価が上昇するわけではない。企業業績によるからだ。

 

 一般的にインフレの下では製品価格が上昇するので、その分の利益が見せかけでも増加すれば、その企業の株価は上がる。しかし、インフレによって原材料のコスト増が利益を圧迫する企業の場合は、株価は下がる。

 しかし、いまはインフレを超えたスタグフレーションだというのに、ほぼすべての企業の株価、そしてインデックスまで上がっている。おかしくないだろうか?

 

 もう一つ不思議なのは、現在、日米ともに、国債の金利が上昇している。これは、国債の累積残高がとんでもない額に膨れ上がっているからだが、経済学の一般常識では債券と株式の値動きは逆相関にある。すなわち、金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる。

 

 なのに、どうだろうか? 日米ともに長期債の金利が上昇しているというのに、株価は下がる気配もないのだ。

 

… … …(記事全文5,532文字)
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