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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.794:「ありえない」から「ありえる」に!このままでは中国はアメリカを追い抜く!


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山田順の「週刊:未来地図」                 

 No.794 2025/09/02

「ありえない」から「ありえる」に!

このままでは中国はアメリカを追い抜く!

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 私はこれまで、中国がアメリカに代わって世界覇権を握ることなどありえないと思ってきた。しかし、トランプというとんでもない“独裁”大統領の出現で、それは「ありえない」から「ありえる」に変わった。

 かつて「米中逆転」が盛んに言われた。しかし、それを聞くたびに、私はそれを一笑に付してきた。だが、もうそんなことは言っていられない。トランプは確実にアメリカのハードパワー&ソフトパワーを破壊している。

 そんななかで、地球温暖化が進み、AIが人間にとって代わろうとしている状況を見ていると、アメリカより中国のほうが優位に思えてならない。

 最近のアメリカでは、かつて「米中逆転」を否定していた識者、専門家たちが、次々と自説を曲げている。

[目次]  ─────────────────────

■ディズニーというアメリカ文化のなかで育った

■トランプはアメリカのソフトパワー まで破壊

■ディズニーの「DEI」行き過ぎに調査命令

■気にいらない者、批判する者を徹底して排除、弾圧

■「中国に敗ける」という分析、論文が山ほど

■ポッドキャスト、論説誌で「米中逆転」論広まる

■「ディープシーク」の登場が衝撃的だった

■AIが必要とする電力において中国と圧倒的な差

■温暖化、気候変動対策での遅れは致命傷か?

■自由と民主主義と市場経済を捨てればアメリカの敗け

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■ディズニーというアメリカ文化のなかで育った

 

 先日、久しぶりに東京ディズニーランドに行った。娘一家とともに、3歳になった孫娘に初めてディズニー世界を体験させるためだ。本、テレビ、アニメでディズニーキャラクターに親しんできた孫娘は、ディズニーのプリンセスたち、シンデレラやベル、スノーホワイト、エルザなどがこの世界に本当にいるものと思っている。

 だから、ディズニーランドは、孫娘にとっては現実そのものだ。まだ3歳の娘にとって、物語の世界も現実の世界も一緒である。

 

 気温35℃を超える猛暑日のせいか、夏休みというのに、それほど混んでいなかった。そのため、新アトラクションの「美女と野獣」(Beauty and the Beast)を予約してすぐに見ることができた。孫娘は、最近、「Beauty and the Beast」の主題歌「Tale As Old As Time」をそらんじて歌えるようになった。

 

 孫娘の歌う姿を見ながら、娘の小学校のときのことを鮮やかに思い出した。「美女と野獣」が封切られた年の学芸会の舞台で、ベル役になった娘は、この歌を舞台で歌った。当時の娘の姿と孫娘の姿が重なる。

 そして、つくづく思った。私たち親子は、ディズニーという、一つの典型的なアメリカ文化のなかで育ったのだと----。

 *ちなみに、東京ディズニーランド は1983年にオープンした。「美女と野獣」は1991年封切り。

 

■トランプはアメリカのソフトパワーまで破壊

 

 アメリカは、ハードパワー(hard power)とソフトパワー(soft power)の両方を兼ね備えた世界覇権国家である。

軍事力や経済力を用いた強制力のあるハードパワーだけでは、世界は支配できない。文化(映画、音楽、芸術)、価値観(自由、民主主義、市場経済)などのソフトパワーも極めて重要だ。

 

 これは、国際政治学者ジョセフ・ナイの理論だが、第2次大戦後の世界は確かにこの通りだった。冷戦はあったが、それが終結後は、アメリカのハードとソフト両面による1極世界になった。

 

 しかし、“独裁”大統領トランプは、この両方とも壊そうとしている。

 報道においては経済、外交が中心で、これまでの世界秩序、自由貿易体制を破壊し、西側の同盟を破壊しかねないトランプ関税、力によるエセ平和外交ばかりが注目されるが、トランプによるソフトパワー 、すなわちアメリカの価値観、文化の破壊も凄まじい。

 その最たるものが、最高学府のハーバードの弾圧だろう。

 

■ディズニーの「DEI」行き過ぎに調査命令

 

 ディズニーランドの話から始めたので、ディズニーに話を戻すと、トランプはディズニーも弾圧している。前々から彼は、ディズニーがあまりにも「DEI」(多様性、公平性、包括性)なので、それを非難してきた。

 

 そのため、今年の3月に、米連邦通信委員会(FCC)にディズニーと傘下のメディアABCを調査するように命じた。FCCのブレンダン・カー委員長は、「ディズニーとABCはがFCCの規制に反して、悪質なDEI差別を推進している」との声明を出した。

 

 要するに、性的マイノリティ(LGBT)や人種・民族的マイノリティ(黒人やラティーノ)を優遇しすぎだというのだ。

 

 ディズニーに対する弾圧的な命令は、映画『白雪姫』の実写版が公開されてすぐに出された。この映画はおおコケし、その原因は主演女優がラティーノのレイチェル・ゼグラーだということ、また、白雪姫を救うのが王子ではないからとされたが、トランプの命令はそれに追い打ちをかけたと言える。

 

■気にいらない者、批判する者を徹底して排除、弾圧

 

 確かにディズニーはポリコレとDEIをやり過ぎで、実写版『リトル・マーメイド』のアリエル役に黒人女優のハリー・ベイリーを起用したりしてきた。白人至上主義のトランプは、これが気に入らないのだ。

 

 さらに、『白雪姫』の主演女優レイチェル・ゼグラーがトランプを批判し続けたことも、お気に召さなかった。彼女は、ソーシャルメディアで以下のような発言を繰り返した。

「トランプ支持者、トランプ有権者、そしてトランプ自身が平和を知ることがないように」「この国には深い深い病がある」「憎悪のもう4年間が続き、私が住みたくない世界へと私たちを傾かせる」

 

 ともかく、トランプは自分が気にいらない者、自分を批判する者を徹底して排除、弾圧する。最近では、8月26日、クリスティ前ニュージャージー州知事がテレビ番組でトランプを痛烈に批判すると、「クリスティのこれまでのスキャンダルを徹底的の捜査し、放映したABCの放送免許を取り消す」と息巻いた。

 

… … …(記事全文6,420文字)
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