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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.765:トランプ・ゼレンスキー喧嘩別れ。自由経済は消滅してクラッシュがやって来る!


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  山田順の「週刊:未来地図」                 

   No.765 2025/03/04

トランプ・ゼレンスキー喧嘩別れ

自由経済は消滅してクラッシュがやって来る!

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  トランプ・ゼレンスキーの言い争いは、度を超えていた。これを目撃してしまった以上、この世界が激変するのは間違いなくなった。

 なぜなら、トランプは絶対に謝らない、絶対に自分の非を認めないからだ。よって、ウクライナ戦争はほぼ永遠に続く。関税戦争は激化し、世界経済は大きく落ち込む。自由と人権、民主主義は後退し、世界は、弱肉強食のジャングルと化す。

 結局、トランプが表舞台から消えるまで、じっと待つほかないのだろうか。

[目次]  ─────────────────────

■国務長官ルビオはウクライナと修復可能と

■ネオコンのシンパがトランプの“忠犬”に

■トランプの“茶坊主”JDヴァンスと同じ

■“親分”トランプを祭り上げる“子分”たち

■トランプは女性議員に徹底して嫌われている

■挑発したのはウクライナではなくアメリカ

■「EUなんてクソ食らえ」で政権を転覆   

■親ロか親欧米かでミンスク合意は有名無実に!

■政治が腐敗すると米ロはそれにつけ込む    

■ブロック経済の先にあるトランプ・クラッシュ

■「臥薪嘗胆」で耐えるほかにない日本 

■「50州で50の抗議デモを1日で行う」

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■国務長官ルビオはウクライナと修復可能と

 

 トランプ & JDヴァンスとゼレンスキーの言い争いを、私は、繰り返し見た。今回の会談前から、なんとなく話はまとまらないのではと思っていたが、まさか、ここまでの事態になるとは、想像を超えていた。


 トランプとJDヴァンスには、これっぽっちもウクライナを助けるという気はないことがよくわかった。彼らは、この哀れな元コメディアンを完全にバカにし、「感謝の意が足りない」と言うのである。

 

 もうこの前代未聞の「決裂」を、これ以上述べてみてもバカらしいので、その後の展開で、私が思ったことを以下述べていきたい。

 

 決裂から2日経って、ABCテレビに出演した国務長官マルコ・ルビオは、「ウクライナを助けようとしている事実を理解してほしい」と視聴者に訴えた。そして、今後のウクライナとの関係について修復は可能と示唆した。

 しかし、「プーチン大統領と話せるのはトランプ大統領だけ。戦争を止めたいならトランプ大統領に任せるべきだ」と言うのだから、それは違うだろうと思った。

 

■ネオコンのシンパがトランプの“忠犬”に

 

 ルビオは、曲がりなりにもアメリカの対外政策全般を担う国務長官である。その権限は、ほかの国の外務大臣よりはるかに大きい。


 その彼が、戦争を止めたいなら、トランプに任せろと言うだけでいいのだろうか。彼は、その前日には、「(ゼレンスキーは)謝罪するべき」とも言っている。極端なたとえだが、これは、親分の言うことを聞けと言っている子分の言い草である。

 

 キューバ難民の子供としてアメリカの民主主義・自由社会のなかで教育を受けて政治家となった彼が、なぜ、こんなことを言うのだろうか。

 

 かつてルビオは、上院議員時代に、ネオコンでマイダン革命の黒幕である国務省ナンバー3(当時)のビクトリア・ヌーランドを議会で詰問したことがある。

 しかし、それは単なる駆け引きであり、むしろ、彼はネオコンに近い考えの持ち主だ。すなわち、「自由と民主主義を世界に広める。そのためには独裁・権威主義国家は力を使ってでも倒す」と言うネオコン思想のシンパである。

 それが、共和党予備選でトランプにあっさり敗れると、トランプの忠実な追随者=“忠犬”となった。

 

■トランプの“茶坊主”JDヴァンスと同じ

 

 ルビオは、ネオコンの牙城の一つ、「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC:Project for the New American Century,)と深い関係を持ってきた。彼は、トランプが「大きな間違い」と非難した2003年のイラク侵攻を支持したし、イランに対してより厳しい制裁を主張した。ウクライナに関しては、早くから軍事援助を支持した。

 

 トランプと一致するのは、対中強行路線だけで、人の意見を聞く「良識派」と見られてきたが、トランプに取り込まれると変わってしまった。かつてトランプを「ヒトラー」「イディア(idiot)」(足りないバカ)と言ったにもかかわらず、権力欲から変心してトランプの“茶坊主”となったJDヴァンスと同じだ。

 

 それにしても、政権内の幹部や共和党議員たちのトランプシンパぶりは目に余る。

 別に私は民主党シンパではない。ただ、アメリカが自由と民主主義のリーダーであり、それを世界に広める国でなければならないと思っているだけだ。その観点から見ると、次に挙げる人間たちはクズだ。独立自尊のリバタリアニズムを忘れてしまっている。

 

■“親分”トランプを祭り上げる“子分”たち

 

 米メディアの報道によると、トランプ・ゼレンスキー決裂後、政権内、共和党内には、ゼレンスキーに対して「辞任しろ」と言う声が相次いでいるという。

 

 そのなかで最低と言えるのが、下院議長のマイケル・ジョンソン(ルイジアナ州選出)だ。彼は、「ゼレンスキーが感謝の気持ちを持って交渉のテーブルに戻るか、さもなければほかの誰かが国を率いる必要がある」と、2日のNBCテレビで言い放った。


 親ウクライナとされる共和党重鎮の上院議員リンゼー・グラム(サウスカロライナ州選出)までも、「ゼレンスキーが辞任して、われわれがビジネスをできる別の誰かを送り込むか、あるいは彼が変わる必要がある」と述べた。

 

 フロリダ州の下院議員から大統領補佐官(国家安全保障問題担当)となったマイケル・ウォルツは、CNNで「われわれと対話し、最終的にはロシアとも交渉して戦争を終結させられる指導者が必要だ」と、“親分”トランプを祭り上げた。そして、 停戦の条件として、ウクライナ側に領土での譲歩を求めたのである。

 

… … …(記事全文7,733文字)
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