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山田順の「週刊:未来地図」
No.707 2024/02/13
まだまだ上がる株価
景気がよくないのに株価だけが上がる理由とは?
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今年もまた「官製春闘」で、政府は給料を上げると盛んに喧伝している。しかし、この経済状況ではどうやっても無理だろう。景気はよくない。経済指標は軒並みよくない。
しかし、株価だけは高騰し、バブル期の高値更新は間違いない状況になっている。そう、メディアも専門家も投資家もみんな言い出した。
ただし誰もが、なぜ株価が上がっているのか、本当の理由を説明しない。いや、メディアや専門家ほど説明できない。
今回も、先週に続いて、そのあまりにも単純な理由を述べる。私は投資家ではないので、率直に言えるが、今後も当分、株価が上がるのは間違いない。しかし、その先になにがあるかは自明だ。
[目次] ─────────────────────
■経済指標をチェックしても意味がない
■「期待値」が高いから最高値更新は間違いない
■日経平均を上げているのはほぼ4銘柄だけ
■バブル期とは構成銘柄も株主もまったく違う
■1%台の経済成長でなぜ30%も上がるのか?
■「実物取引市場」と「金融取引市場」は違う
■バブルの崩壊を政府が公的資金で救済
■FRBは昨年も金融バブル崩壊を先送り
■バブルかどうかより崩壊防止を議論せよ
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■経済指標をチェックしても意味がない
面倒なので結論から書くが、景気がいい、経済がいいから株価が上がるわけではない。株価と実体経済とは、現在の金融資本主義においては連動しない。
そのため、経済成長率、景気動向指数、失業率、消費者物価などという「経済指数」をいくらチェックしても、ほとんど意味がない。
また、PER(株価収益率:株価と利益を比べて株価が割安か割高かを判断するための指標)、PBR(株価純資産倍率: 1株当たり純資産と株価を比べるための指標)。ROE(自己資本利益率:企業が自己資本に対してどれだけの利益を生み出したのかを表す指標)などを、こまめに調べるのも、それほど意味がない。個別銘柄は別として、平均株価はそんなことでは動かない。
前回も述べたが、株価が上がるのは「、「買いたい人間が売りたい人間より多いから」の一言に尽きる。よって、金融の世界を見渡せば、買いたい人間のほうが多く、カネあまりが続いているので、今後も上がるのだ。