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山田順の「週刊:未来地図」
No.706 2024/02/06
NY株も日本株もいずれ暴落する!
そのあまりに当たり前でシンプルな理由とは?
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NY株、日本株と「株価上昇」がハイペースで続いている。いまや株価はこのまま永遠に上がり続けるというムードになってきている。その反面で、高所恐怖症に陥っている投資家も多い。
そこで、いつかは書くべきだと思っていたことを、今回は書くことにした。株価はいずれ暴落する。バブルは必ず弾ける。なぜなら、これが繰り返されるのが、いまの資本主義経済であり、また、景気の状況や経済成長と株価はあまり関係しないからだ。
つまり、いまの資本主義経済はバブルの繰り返しで成り立っているので、必ず暴落はやって来る。
[目次] ─────────────────────
■経済成長と株価上昇に相関関係とは?
■人口増(人口ボーナス)でGDPは成長する
■「なぜ株価は上がるか?」の説明は本当か?
■日米ともに「納得感」がある株価上昇理由
■世界経済は成長し続けるという神話
■カネが増えなければ株価は上がらない
■時価総額によって膨らむ「金融バブル」
■コロナ禍でいったんバブルは弾けている
■バブル崩壊は中央銀行によって先送り
■FRBは昨年も金融バブル崩壊を先送り
■次のバブル崩壊を防ぐ手立てはあるのか?
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■経済成長と株価上昇に相関関係とは?
私は投資家ではないので、これまで世界経済を見てきて思うことを率直に書く。まず、もっとも簡単な話を書く。以下の数値比較を見てほしい。
1980年から10年おきのNYダウの株価とアメリカの名目GDPである。
NY ダウ アメリカ名目GDP
1980年 963.99ドル 2,857.33
1990年 2,633.66ドル 5,963.13
2000年 10,787.99ドル 10,250.95
2010年 11,577.51ドル 15,048.98
2020年 30,606.48ドル 21,060.45
2024年 38,150.30ドル(2023年)26,949.64
*NYダウ2024年は1月、名目GDPの単位は10億ドル
1980年、NYダウは960ドル台にすぎなかったのに、2024年2月の現在、史上最高値の3万8000ドル台に乗せ、4万ドルに迫る勢いである。なんとこの44年間でNYダウは約40倍になったわけだ。しかし、アメリカの名目GDPはどうなっただろうか?
1980年は約2兆8570億ドルで、昨年(2023年)は26兆9490億ドルだから、約10倍になったにすぎない。なぜ、GDPが10倍にしかなっていないのに、株価が40倍になるのだろうか?
それでは、日本はどうだろうか?
日経平均 日本の名目GDP
1980年 7,115.30円 255,730.50
1990年 23,848.71円 462,837.30
2000年 13,785.69円 535,417.80
2010年 11,577.51円 505,530.60
2020年 10,228.92円 539,284.60
2024年 36,286.71円(2023年)588,573.42
*日経平均2024年は1月、名目GDPの単位は10億円
1980年の日経平均は7100円台である。それがバブル経済で1989年末に3万8915円を付けた後は低迷の一途。ところが、コロナショック以後は急上昇し、なんと現在、バブル後最高値の3万6000円台に乗せている。
とはいえ、この状況はアメリカとはまったく違っており、1980年との比較では株価は約5倍になったにすぎない。この間、日本のGDPは約2.3倍になっただけだ。しかも、バブル経済のピーク時と比べたら、株価もGDPもおよそイーブンである。