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山田順の「週刊:未来地図」
No.705 2024/01/30
暖冬で雪不足も、このまま春に。
そして、10万年に1度の猛暑の夏がやって来る!
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暖冬で雪不足の日々が続いている。おそらくこのまま、すぐ春になる。そして、あっという間に去年並みかそれ以上の猛暑の夏がやって来る。地球温暖化は、われわれが直面している最大の問題なのに、なぜかこの国ではほとんど問題にされていない。
裏金事件で政治への意識は高まっても、温暖化に対しての意識は高まらない。しかし、危機は確実に近づいている。この危機は、株価暴落のような一気にやって来る危機と違って、じわじわと深刻化する。今年の夏は、去年に続いて「10万年に1度」の夏になる模様だ。
[目次] ─────────────────────
■雪不足のなかでのスキージャンプ女子W杯
■暖冬で雪が少なくスキー場が開けない
■スキー場業者を行政が支援すべきではない
■雪がない冬季五輪が常態化してしまった
■今世紀末、冬季五輪ができるのは札幌だけ
■雪は減るが、ドカ雪、豪雪に見舞われる
■2023年の気温上昇は目標ギリギリの1.48℃
■なぜ10万年前の気候がわかるのか?
■2023年がこれほど暑くなったのはなぜか?
■無関心すぎて温暖化を止めるのは無理
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■雪不足のなかでのスキージャンプ女子W杯
まずは、身近な話から始めたい。私は、スキージャンプの大ファンで、とくに女子の試合は必ず見る。20代のとき、レークプラシット冬季五輪の日の丸飛行隊を取材してからファンになった。当時は、女子ジャンプなどなかった。
観戦と言っても、もちろん、テレビ、ネット観戦だが、先週のワールドカップ第13戦、第14戦のリュブノ(スロベニア)大会を見て、やはりと思ったことがある。
雪がないのだ。あるのはジャンプ台だけ。スロベニアきってのスキーリゾートなのに、真冬とは思えない雪のない田園・山岳風景がテレビ画面に映し出されていた。
近年、欧州のアルプス中心の山岳地帯に降る雪は激減している。スイスやオーストリアなどでは、12月に入っても雪が降らず、雪のないクリスマスを迎えた年もある。これでは、“冬の華”ウインタースポーツの大会は盛り上がらない。というか、開催すらできなくなる。
日本も事情は同じで、リュブノの前の週の山形県蔵王でのワールドカップ第11戦、第12戦の開催は、雪不足で危ぶまれていた。ともかくあまりに雪が降らないので、場外から雪を運び込んでジャンプ台だけは整備した。
ところが、直前になって大雪となり、第11戦の公式練習、予選、本線を行えた。しかし、第12戦は中止に追い込まれたのである。雪が積もったのになぜ、中止になったのか?
それは、雪が降ったのはいいが、強風を伴う大雨となったからだ。これでは、危険ということで中止せざるをえない。雪ではなく雨。まさに、地球温暖化による気候変動の弊害である。