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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

日本は、今後、中国、韓国より落ちぶれるのは確実。その原因は教育に!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    山田順の「週刊:未来地図」 No.007 2012/10/23  日本は、今後、中国、韓国より落ちぶれるのは確実。その原因は教育に! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  おはようございます。山田順です。  前回は、日本、中国、韓国がともに衰退していくという未来図をお伝えしました。この東アジア3カ国の未来はけっして明るくないのです。なかでも、とりわけ日本は暗いと言えます。なぜでしょうか?  それは、日中韓の教育を比べたとき、日本の教育レベルが中韓よりはるかに劣っているからです。現在の日本の教育は、グローバル時代に適応しておらず、このままでは人間まで完全にガラパゴス化してしまいます。 [目次] ───────────────────────────────―― ■未来予測に必要なのは「人口」と「教育」 ■総人口が減れば中国ですら経済成長はできない ■「高等教育」と「英語教育」の充実がポイント ■グローバライゼーションで世界全部が英語圏に ■サラリーマン、OLという未来図はもうない ■言うことをよく聞きよく働く人材をつくる日本の教育 ■能力、知識があっても英語ができなければ負け組 ■1997年の通貨危機を境に一気に変わった韓国 ■英語ビレッジが韓国内には40カ所以上もある! ■世界大学ランキングで軒並み順位を落とす ■ハーバードに入学した日本人学生はたったの1人 ■その気になれば教育の改革は簡単にできる! ───────────────────────────────────―― ■未来予測に必要なのは「人口」と「教育」  前回、国家の未来を予測するには、たった二つの点を見れば十分だということを書いた。その二つの点とは、「人口」と「教育」。学者やエコノミスト、そして投資家も、情報が多ければ多いほど、より正確な未来予測ができると信じている。しかし、未来を知るためには、情報の量より、どの情報に基づくかのほうがはるかに重要だ。  その国のGDP、企業の業績、株価、財政状況などの推移を見れば、およそ、こうなるだろうという未来が見えてくると、多くの人間が考えている。しかし、たいていの場合、それは間違っている。  これは、ダン・ガードナー著『専門家の予測はサルにも劣る』で論証されている(『2050年の世界 英エコノミスト誌は予測する』より)。  たとえば、1914年、著名な英国人ジャーナリスト、H.N.ブレールスフォードが「既存の6大国の間で戦争は起こらないだろう」と書いた直後に、第一次世界大戦は勃発した。同じく1929年、アメリカ人の経済学者アーヴィング・フィッシャーが「これから数カ月の間に株式市場は大幅に上昇するだろう」と書いた1週間後に、世界大恐慌につながる株価の大暴落が起きた。  彼らみな楽観主義者だったのではない。できる限りの情報を集め、それで未来を知ろうとしたのだ。しかし、情報が多ければ多いほど予測ははずれるということに気がつかなかった。  国家の未来は、たった二つの点を見ればわかる。第一に人口が増えるか減るか? そして第二に、教育のレベルが高いか低いか? である。 ■総人口が減れば中国ですら経済成長はできない    この二つの点のうちの人口問題は前回詳述したが、ここでもざっとふれておこう。  今後、日中韓の3カ国は、労働人口の減少から始まる総人口の減少に見舞われる。つまり、人口オーナス期に入るので、経済発展は望めないのだ。  この人口オーナス現象の先頭を走っているのが日本で、その後に中韓が続いている。  人口オーナスによる国力の衰退は、次のようなサイクルをたどる。 「少子化の進展」→「高齢化社会への移行」→「労働力人口の減少」→「総人口の減少」  日本はすでに「総人口の減少」という最終段階に入り、中韓はもうすぐ「労働力の減少」に見舞われる。中国ですら、2025年に総人口が減り始めるのだ。いま、中国バブルが崩壊し始めているが、あと10年もたてば、中国もまた経済成長ができない国家になってしまうだろう。 ■「高等教育」と「英語教育」の充実がポイント  それでは、人口減からの経済衰退を防ぐ方法はないのだろうか?  もちろんある。移民によって人口減を食い止める、生産性を上げる、画期的なイノベーションを起こす、石油などの資源を発見するなどが考えられる。  このうち、移民は非現実的。とくに日本では反対が強い。とすると、生産性を上げる、イノベーションを起こすしか、ほぼ方法はない。つまり、国民一人ひとりの能力を向上させるしかないのだ。  となると、教育が大事になる。日本が明治期にアジアで真っ先に近代化を成し遂げることができたのも、その根本には、いち早く西欧の教育を取り入れ、義務教育を実施したことがある。  それでは、いま、どんな教育が必要なのだろうか?  この答も簡単だ。高等教育、つまり大学・大学院レベルの教育の充実。そして、英語教育の充実。この2点である。グローバル化がどんどん進んでいくのだから、いまさら、自国言語で高等教育をするなどということは無意味。世界標準語になった英語で、より高度な内容の教育を施すことが、決定的に重要になる。 ■グローバライゼーションで世界全部が英語圏に  日本は、高等教育と英語教育において、いまや中韓に完全に遅れをとっている。とくに、英語教育に関しては絶望的だ。日本でも2011年から、小学校での英語教育がスタートした。中国は2002年、韓国は2003年から初等教育段階での英語教育をスタートさせているから、約10年も遅れてしまった。  これは、あと10年後、中韓では高等教育をへて成人した若者がほぼ英語を話すのに、日本の若者は話せないという差になって現れる。しかも、いまの日本の英語教育では、いつまでたっても若者は英語を話せないだろう。  かつて、この国では「英語は必要か必要でないか」という論争があった。こんな論争があること自体がバカげていたが、日本の識者の賛否は別れ、論争は白熱した。グローバラーゼーションが始まって、世界標準語が英語になったのに、日本はこんなアホなことをやっていたのだ。  簡単な話だが、標準語というのは1回できると、それで終わりだ。次にほかの言語が代わって標準語になることはない。グラーバライゼーションというのは、世界全部が英語圏になったということだ。それなのに、そんな論争をする意味があるのか? ■サラリーマン、OLという未来図はもうない  最近は、ユニクロや楽天の「英語公用語化」宣言もあり、英語不必要派は減ったが、それでも「必要ない」と主張する人はいる。しかし、あなたはそうでも、次の世代はそんなことは言っていられない。英語を話せないと、まともな職すらなくなり、貧困層に転落してしまうからだ。 「この日本でも?」とも言う人がいるが、そのとおりだ。
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