ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00049/20230508084245108800 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2023/05/08 第2939回 日韓首脳会談の解説 債務上限問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★日韓首脳会談が開かれました。そして、共同記者会見も行われました。会見内容に関しては、文言と文章を精査する必要があります。特に韓国中国の場合や日本の一部メディアも含め、恣意的な誤訳や要約が行われるケースがあり、注意が必要なのです。 今回の記者会見ですが、ポイントになるのは 『3月に、尹大統領が訪日された際、私は、1998年10月に発表された、日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいると明確に申し上げました。この政府の立場は今後も揺るぎません。尹大統領の御決断により、3月6日に発表された措置に関する韓国政府による取組が進む中で、多くの方々が過去のつらい記憶を忘れずとも、未来のために心を開いてくださったことに胸を打たれました。私自身、当時、厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いです。』 『歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる』という点です。これは安倍総理の慰安婦合意も含み、徴用工問題はなかったし、日韓基本条約と賠償請求権協定で解決済みという立場も含みます。また、『徴用工』という言葉は使っておらず、『厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いです』と相手に心遣いしているにすぎません。 また、その後の記者会見でも、一方通行の並行する会見が日韓双方で行われ、ぎりぎりの線で踏ん張ったというのが感想です。 『日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明』 『中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。』 日中共同声明などがその典型ですが、勝手な誤訳や意訳をおこない、異なった意味を持たせる人やメディが存在します。この文章では『日本は台湾を中国の一部として認めてはいません』中国がそう言っているというのを理解し尊重するとしているに過ぎないわけです。『わかりました、そう考えているんですね。』ということになります。 岩波書店の実例■徹底検証:岩波書店『広辞苑』の「台湾記述」どこが問題か--野嶋剛 https://www.huffingtonpost.jp/entry/kojien_jp_5c5d579ce4b0974f75b19f76 これらは左右関係なく、国際間での取り決めの文章に対する無理解や読解力のなさから生じる問題です。また、それを意図的に政権批判や自らのポジションを優位にするために利用したい人が意図的にやるわけです。台湾問題でも岩波書店でこれが行われたということなのでしょう。 また、会見ですが、個人的にはもう韓国側を少し焦らし、積極的な攻めに出るべきと考えますが、朝鮮半島問題や中国問題、台湾問題などを考えると、韓国を切り捨てるわけにはいかず、こちら側につけておく必要もあるという判断なのだと思います。また、米国は民主党政権であり、過去の歴史においても、日本に韓国を押し付けてきた歴史があります。今回も米国からの働きかけ、及び米国での米韓首脳会談とワシントン宣言(開かれたインド太平洋を含み安全保障に責任を持つを含む)の後であり、北朝鮮問題や台湾問題などを配慮するとGWの外遊での対応になったのかと考えます。また、記者会見においても、軍事面での『日米韓』の協力を繰り返し『日米、米韓、そして、日米韓』と『日韓の協力』ではないことを強調していました。 半導体協力においても、韓国を取り込む必要があり、同時にそれを厳しく監視する必要もある。『CHIPS4』日米韓台の半導体協力でも、どうしても中核となるのがフッ化水素を含む素材や製造装置などを保有する日本であり、韓国も台湾も日本なしでは半導体製造が止まる。また、日米は最先端プロセスの半導体(SoC)の製造ができない。台湾TSMCと韓国サムスンが必要なのです。その意味では協力の形で日本側が監視する形に変化することになるのだと思います。 ★米国の債務上限問題、すでに債務上限に到達しており、今月中にも連邦金庫が空になってしまいます。その場合、支払いができずデフォルトということになるわけです。ですから、バイデン政権としては、何としても債務上限の引き上げを認めさせなくてはいけません。しかし、それは予算を握る下院を制する共和党の言いなりになることを意味します。それはそれで民主党側が黙っていない。また、バイデン政権としてはデフォルトした場合の責任は共和党にあるとしているわけです。 ここからは駆け引きの話であり、共和党はグリーンなどバイデン政権の求める予算を認めないことを条件に債務上限引き上げをのむでしょう。しかし、バイデン政権としてはそれでは民主党内からの批判を受け、支持者の反発を買う。実際にSVGが破綻したのも、根底には中間選挙での共和党勝利とグリーン関連の補助金見通しの変化があったからであり、アンチESGの動きが本格化し、ビジネスモデルが破綻したからです。 民主、共和共に強硬派が力をつけ、その政策の方向性は正反対であり、調和が難しい局面です。だから、簡単には妥協できず、話し合いがこじれる=連邦予算停止などの可能性が高まっているといえます。 ■日韓首脳「関係改善軌道に」、原発処理水で韓国が視察団派遣へ https://jp.reuters.com/article/japan-southkorea-idJPKBN2WY04C?il=0 ■日韓共同記者会見 官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0507kaiken2.html ■日韓首脳会談 外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page6_000851_00001.html ■米議会が債務上限問題対応できなければ「憲法上の危機」、イエレン氏警告 https://jp.reuters.com/article/usa-debt-idJPL4N3740CZ?il=0 ■米共和党上院議員ら、無条件の債務上限引き上げ法案に反対表明-書簡 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-07/RUA5D4DWRGG001?srnd=cojp-v2 ■バイデン氏、妥協しない可能性示唆 来週の債務上限巡る会合で https://jp.reuters.com/article/usa-debt-biden-idJPL6N3720AA?il=0 ■FDIC、ノンバンクとの損失分担検討 破綻行の売却促進へ=報道 https://jp.reuters.com/article/global-banks-fdic-idJPKBN2WX014?il=0 ■ウォール街に祝賀ムードなし、米利上げサイクル終了との見方でも B https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-07/RU9M7HDWRGG001?srnd=cojp-v2 ■米財務長官、G7で米銀システムは健全と強調へ=高官 https://jp.reuters.com/article/usa-treasury-yellen-g7-idJPL6N3720AB?il=0 ■英国王が戴冠、国民への奉仕を宣誓 反対派のデモも https://jp.reuters.com/article/britain-royals-coronation-idJPL6N373026?il=0 ■英地方選、保守党が大敗 次期総選挙で労働党政権奪取との見方も https://jp.reuters.com/article/britain-politics-idJPKBN2WW1DY?il=0 ■経営幹部のボーナス脅かす新たな欧州ESG規制-気候目標の未達で B https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-07/RTYGFTT1UM0W01?srnd=cojp-v2 ■HSBC株主総会、アジア事業分離の株主提案を否決 https://jp.reuters.com/article/hsbc-agm-results-idJPKBN2WW0ZR?il=0 ■インタビュー:米軍のフィリピン基地利用、台湾有事の際「役立つ」=マルコス氏 https://jp.reuters.com/article/usa-philippines-marcos-idJPKBN2WW0C8?il=0 ────────────────先週末の市況──────────────── ■アジア株式市場サマリー:引け(5日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N3720XM?il=0 ■欧州市場サマリー(5日) https://jp.reuters.com/article/europ-mart-sum-idJPKBN2WW1E4?il=0 ■NY市場サマリー(5日)株反発、ドル指数下落 利回り上昇 https://jp.reuters.com/article/ny-markets-summary-idJPL4N3723T7?il=0 『出展 記載なきものロイター Bブルームバーグ』 ────────────────────────────────────── 本メールマガジンに対するご意見、ご感想は、本メールアドレス宛に返信を お願いいたします。 ────────────────────────────────────── ■ 有料メルマガの購読や課金に関するお問い合わせはこちら ⇒ info@foomii.com ■ 購読アドレスの変更、配信停止はこちら ⇒ https://foomii.com/mypage/ ────────────────────────────────────── 著者:渡邉哲也(作家・経済評論家) ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/ Twitter:http://twitter.com/daitojimari メールアドレス:info@watanabetetsuya.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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