=================================== 中間選挙も意識し始めた金市場、実体経済も企業業績も悪くないが =================================== <企業業績も実体経済も悪くない> COMEX金先物相場は8月下旬から10月上旬にかけて1オンス=1,200ドルの節目を挟んだボックス相場を展開していたが、足元では1,230ドル台まで値上りしている。7月13日以来となる、約3カ月ぶりの安値更新になる。10月10日の米市場から始まった世界的な株安傾向が、安全資産としての金価格を刺激する展開が続いている。 なぜ株価が急落しているのかは、よく分からない部分も多い。足元では米企業の7~9月期決算発表が行われているが、株価急落を促がすような悪さかと言えば、疑問が多い。トムソン・ロイターの最新予測では米企業500社全体で25.2%の増益が見込まれており、既に決算発表を終えた240社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は78.3%に達している。過去4四半期平均の77%と比較しても、決して悪くない。 米実体経済についても、さすがに住宅市場に金利上昇と住宅価格高騰の影響が見受けられるが、個人消費や製造業生産などの広範囲にわたるマクロ経済指標は寧ろ良好な実体経済環境を示している。米中対立、鉄鋼やアルミの輸入コスト増大、ドル高による輸出面での価格競争力低下といった幾つかの問題を抱えながらも、過熱気味の経済環境は維持されている。 米金融当局者の最近の発言をみても、クリーブランド連銀メスター総裁は10月24日、最近の株安はファンダメンタルズに影響していないとしている。米経済は強固であり、株安がファンダメンタルズ悪化を反映したものではなく、株安によってファンダメンタルズが悪化している訳でもないと報告している。当然に、株価下落が長期化すれば信用収縮などの問題が景気に影響を及ぼす可能性はあるものの、現時点では「景気減速→株安」よりも「株安→景気減速」の流れが警戒される程度である。景気が減速しているから株価が急落しているのではないが、株価急落の余波には要注意と言う状況である。 これと同趣旨の発言は、ダラス連銀カプラン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁などからも聞かれ、株価急落の原因については不透明感を残すものの、実体経済の評価・見通しとは関係のない動きであり、その結果として金融政策見通しも修正が修正を迫られることはないとの論理構成を行っている。すなわち、金相場を押し下げてきたタカ派の金融政策環境に関しては現時点で修正を迫られるものではなく、実際にドルインデックスは年初来高値水準での取引になっており、米長期金利も10月9日の3.261%でピークアウトしたものの、最近の急落でも3.07%水準の比較的高い水準を維持している。… … …(記事全文4,064文字)
