□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2018年01月23日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== プラチナの生産コスト環境とランド相場との関係性を巡る強弱シナリオ =================================== <ロンミン決算にみるプラチナのコスト環境> 南アフリカのプラチナ生産大手ロンミンは、昨年10~12月期の白金族金属(PGM)の生産コスト(unit costs)が1オンス当たりで1万2,703ランドになったと発表した。前年同期の1万2,296ランドからは3.3%の上昇になる。一方、ランド相場は昨年10~12月期が1ドル=13.61ランドであり、前年同期の13.90ランドからは2.1%のランド高・ドル安となる。この結果、ドル建て換算の生産コストを計算すると、昨年10~12月期は933ドルであり、前年同期の885ドルからは5.5%の値上がりになる。 南アフリカの消費者物価指数が5%前後の伸びを示す中、ランド建てコスト高を3.3%に抑えたことに一定の評価を下すも、緊張感を持ってコスト削減を進める必要性を強調している。その上で2018年通期コストのガイドラインは1万2,000~1万2,500ランドとして、1.6~5.5%削減を想定していることを明らかにしている。南アフリカの強力なインフレ・プレッシャーからは実現可能性が疑問視されるレベルの強気の数値だが、昨年10~12月期のプラチナ価格が922ドル(前年同期は945ドル)、パラジウム価格が1,001ドル(同687ドル)であり、しかもPGM生産量の68%がプラチナになっていることを考慮すれば、ランド建てベースでのコスト高プレッシャーは許容できないということだろう。昨年10~12月期のロンミンのコストラインを前提にすると、900ドル前後にプラチナ価格のボトムラインが形成されることになる。… … …(記事全文4,571文字)