□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年06月16日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。ロンドン金属市場で再び非鉄金属相場の下げが加速しています。中国経済に対する評価は一時期と比較すると改善しているようですが、中国市場を中心に銅相場を取り巻く最新環境を解説します。銅価格は景気先行指標としても注目度が高いため、どのような値動きになっているのかを把握しておくことは、他マーケットの動向を考える際にも有用でしょう。 =================================== 再び不気味な動きを見せている銅相場、上海で非鉄金属相場が急落の意味 =================================== <中国の銅需要に懸念が広がる> ロンドン金属取引所(LME)の銅相場(3ヶ月物)は、6月15日の取引で1トン=5,815ドルとなり、3月18日以来となる約3ヶ月ぶりの安値を更新した。5月5日には6,480ドルと今年に入ってからの最高値を更新していたが、逆V字型の急落相場になっている。中国経済の減速傾向が続く中、同国政府が目標とする「7%前後」の成長目標達成が難しいとの見方が、銅市場からの投機資金流出を促している模様だ。 先週6月11日には1~5月民間固定資産投資が発表されているが、前年同月比+12.1%となった。昨年は+18.1%の伸び率を記録していたが、今年に入ってからは2月時点で+14.7%、3月時点で+13.6%、4月時点で+12.7%と減速ペースが明らかに加速している。特に、銅需要と関連の深い建設市場に関しては、5月時点で住宅床面積が-16.2%、商業ビル床面積が-13.3%など、強力な減速圧力に晒されている。5月の新築住宅販売高が前年同月比+30%と4月の+16%に続き不動産市場の安定化を示すといったポジティブ材料も見られるが、マーケットでは中国の銅需要見通しに強い不信感が広がっている。 このまま中国経済の減速傾向が続けば、政府のインフラ投資といった景気対策が実施されることで、年後半の銅需要は盛り返すといった見方もある。中国政府が「7%前後」の成長目標を死守するのであれば、金融緩和に加えて財政出動も避けられないとみられているためだ。大規模な財政出動が本当に行われるのかは不透明だが、年後半には銅需要見通しに引き上げを迫るイベント発生し易いことは間違いない。また、アジアインフラ銀行(AIBB)が予定通りに業務を開始すれば、アジア地区によるインフラ向けの銅需要が拡大する可能性も十分にある。中国のアジア地区におけるインフラ投資拡大は、人民元の国際化戦略の一環でもあり、こちらは拡大することはあっても縮小することはない。… … …(記事全文4,225文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)