… … …(記事全文2,133文字)年初から週替わりで世界に激震が走っている。今度は中国だ。1月24日、中国国防省は、中国軍(人民解放軍)制服組トップの張又侠中央軍事委員会副主席と劉振立連合参謀部参謀長に対し、「重大な規律違反・法律違反」の疑いで調査を開始したと発表した。これは事実上の失脚である。結論を先に言えば、日本の高市政権による電撃解散と同様、この激震も「マドゥロ拘束」「ドンロー主義」、そして「世界の多極化」という新たな国際秩序の潮流と無縁ではない。
●習近平最側近の粛清
<2026年1月24日 中華人民共和国国防部>
張又侠は中国軍ではトップの習近平に次ぐ地位にあり、党内では最高指導部メンバーに次ぐ政治局員だ。父親同士が第二次国共内戦(蔣介石率いる国民党と毛沢東率いる共産党の内戦)の戦友で、習近平とも長年の盟友として知られてきた。もう一人の劉振立は将来の国防相候補として知られた「叩き上げの英雄」だ。二人とも中越戦争に従軍した制服組トップの数少ない実戦経験者だ。中国軍制服組トップの排除は、世界に衝撃を持って迎えられた。
<2026年1月24日 NHK>
中国国防省は二人の具体的な罪状を明かしていないが、中国の国営メディアは、一貫して習近平政権が長年取り組んでいる「反腐敗」政策の成果だと強調している。この報道が事実ならば、二人は汚職問題や腐敗問題で調査受けている、ということになる。
<2026年1月24日 新華社通信>
習近平が2012年に政権を握って以来、軍の腐敗摘発が続いている。直近では昨年10月に張副主席と中央軍事委員会の副主席を務めていた何衛東氏ら中国軍高官9名が、一昨年には前国防相と元国防相の2人が、党籍はく奪の処分を受けている。
<2025年10月17日 TBS CROSS DIG>
<2024年6月27日 ロイター>
こうした汚職は中国軍に限ったことではない。賄賂・汚職は、単なる個人の不道徳ではなく、中国の歴史と社会構造に深く根ざした「文化」と言ってもいい。
●「合理的な生存戦略」としての汚職文化
中国では賄賂を渡さなければビジネスが進まず、逆に賄賂を渡せば驚くほどスピーディに進むことは、中国でビジネスを行うときの「常識」だ。中国の伝統的な倫理(儒教的側面)では、親しい間柄での贈り物は美徳とされる。この美徳が公的な場に持ち込まれると「賄賂」となる。また、権力者に賄賂を贈り「関係」を築いておくことは、不測の事態から身を守るための「保険」としての意味合いもある。
賄賂は中国の歴史に根差した合理的な生存戦略なのである。





