… … …(記事全文14,862文字)今月の1本目は先月末に刊行した「本邦開闢以来の女性宰相で自民党総選挙に圧勝 【前篇 リフレ派亡霊軍団総決起】」の後篇として、同じメインタイトルで【後篇 シングルマザー所得3倍増計画】を執筆する予定でおりました。
しかし、2月28日、イラン時間早朝に起きた最高指導者ハメネイ師の暗殺をはじめとするイラン各地の大都市に対するアメリカ・イスラエル連合軍による空爆以来、世界情勢は一変しました。
そこで、今月の初回は『勝利宣言』をメインタイトルに、前篇では軍事・外交面でアメリカの自然寿命が尽きたことを詳細に解説し、2回目の後篇ではアメリカ金融市場もまた、ちょうど同じ頃自然寿命が尽きたことを指摘しようと思います。
なお、「本邦開闢以来の女性宰相で自民党総選挙に圧勝 【後篇 シングルマザー所得3倍増計画】」は必ず来月の1本目で執筆いたします。
奥付上の発行日は2025年9月1日ですが、書店には8月最終週から出回っていた最新刊の拙著『余命半年の米国経済――2026年、最後のひと花を咲かせてバブルがはじけ飛ぶ』(ビジネス社刊)で私は、こう書いております。
……自然寿命から言えばアメリカ経済は今後半年、2026年の1月か2月にはご臨終を迎えることになるはずだ。
だが、トランプ政権は何がなんでも同年11月に予定されている中間選挙までは見かけ上の好景気を維持しようと無理な延命治療を続けるだろうが、今からちょうど1年後の7月か8月には刀折れ矢尽きて野垂れ死にということになりそうだ。
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正直なところ、ややフライング気味かなとも思ったのですが、ビジネス社タイトル編集会議の皆さんの「アメリカの政治経済がほんとうにここまで腐り果てているとすれば、今後半年で大異変が起きてもちっともおかしくない」とのご推奨もあって、この強気のタイトルで出版していただくことにしたわけです。
それにしても、トランプは去年6月にはわずか12日間の空爆のあと、イランの原子力施設へのバンカーバスター爆弾投下という、柔道で言えばかけ逃げのような技を使って、実質的には負けを認めて引き下がっていたのです。
そのトランプが、またしても同じイランに戦争を仕掛けて自国の死期を早めるとは意外でした。
「あれっ、12日戦争は圧倒的に米・イスラエル軍が優勢で、最後の仕上げにイランの原子力施設では当分核兵器の開発はできないように深刻なダメージを与えて、悠々凱旋したんじゃなかったっけ」とお考えの方には、今回突然イランを爆撃した理由をトランプやネタニヤフが何と言っていたか、思い出していただきたいのです。
ふたりとも「このまま事態を静観しているとイランはすぐにも核兵器を開発してしまう危険があったから、そうならないうちに先制攻撃を仕掛けた」と言っていました。
つまり、去年6月の最後っ屁のようなバンカーバスター爆弾投下はなんの効果もなかったのです。いったいなぜトランプが2度目のイラン侵攻に踏み切ったのかを考える前に、今年2月28日に始まった第2次イラン戦争の世界史的な意義から見ていきましょう。
● 最後の植民地密集地帯、西アジアの解放は暗愚なアメリカ大統領による戦略なきイラン侵攻から始まった
2026年2月28日、イラン時間早朝のアメリカ・イスラエル連合軍によるイラン大都市十数ヵ所の爆撃と最高指導者ハメネイ師の暗殺は、当事者たちでさえ思いもよらなかった世界史的な大転換点となりつつあります。
ティグリス・ユーフラテス川に挟まれ、ほぼ確実に世界最古の文明を築いたメソポタミアを懐に抱き、かつてユーラシア大陸の少なくとも西半分を席巻した、ペルシャ、トルコ、アラブの3民族を輩出した西アジア諸国は、18世紀以降非常に屈辱的な立場に置かれていました。
イギリス、フランス、ドイツ、アメリカをはじめとする欧米諸国による植民地支配と、天然資源の略奪です。
そして、2023年に中央アフリカの旧フランス植民地諸国が植民地フランという通貨からの解放を宣言して以来、今もなお実質的な植民地状態に置かれている地域は、西アジア諸国ぐらいになっていました。
さらに、今日に至るまで事実上の宗主国アメリカは、イスラエルという凶暴な咬ませ犬を使って原油も天然ガスも豊かな埋蔵量を持つペルシャ湾岸のアラブ系諸国を支配しつづけてきたのです。
この名のみの独立国に対する植民地支配に抵抗してきたパレスチナ人は、今ガザとヨルダン川西岸地区でイスラエルによるジェノサイドの危機にさらされています。
また、フーシ派イエメン軍も、レバノン領内の民兵組織ヒズボラも、アメリカという超大国と真正面から敵対するにはあまりにも、支配領域も人口も小さな勢力です。
そうした中で、唯一アメリカに正面から戦いを挑む力があるかもしれないと期待されてきたイランは、リビア、イラク、シリアといった諸国がアメリカを中心とする欧米「有志」軍によって蹂躙されていた頃、非常に慎重なスタンスをとっていました。
しかし、ドナルド・トランプという歴代アメリカ大統領の中でも極めつけの暗愚な大統領が、なんの長期戦略もなくイラン大都市に対する一斉爆撃と最高指導者の暗殺という暴挙に出たとき、イラン国民はこの事態に対する備えを少しも怠っていなかったことを証明しました。
アメリカ・イスラエル連合軍に対して一歩も引かないミサイル・ドローンの打ち合いで徐々に形勢を有利に導き、化石燃料資源輸送における世界最大のチョークポイント(混雑する結節点)であるホルムズ海峡の封鎖に成功したのです。
この態勢で持久戦に持ちこめばアメリカ軍は撤退、そしてイスラエルという国家はおそらく消滅という、西アジア諸国にとってすばらしい未来の展望も開けてきます。
なお、日本ではいまだに「国際世論」と称しながら実態は欧米支配の永続を願う勢力によって、イラン対アメリカ・イスラエル連合の戦局についてもかなり歪曲された報道がまかり通っています。
その1例が、湾岸アラブ系諸国に対してイラン側から「交戦状態の解消」について提案があったのは、イランが劣勢になって多正面作戦ができなくなったからだといった「解説」も出ていることです。しかし、事実は正反対です。
イラン側は湾岸アラブ諸国に対して「米軍、イスラエル軍による貴国領土を基地とした出撃を拒否せよ。そうすれば貴国に対する攻撃はやめる。しかし、米・イスラエル軍による出撃を容認している限りは攻撃を続ける」という提案をしたのです。図表1の交戦中諸国の地図をご覧ください。
世界最大の軍備を持つ米軍と、世界で最も卑劣で残虐な非戦闘員虐殺をくり返すイスラエル軍を同時に敵に回すだけでも、驚異的な勇敢さを必要とします。
イラン軍はそれだけではなく、米・イスラエルの尻馬に乗って自国に攻撃を仕掛けたり、米・イスラエル軍によるイラン攻撃への基地使用を許可したりした国々まで全部敵対国として応分の報復をしているのです。

