… … …(記事全文11,262文字)2025年6月9日発行(通算第826号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
世界情勢ブリーフィング
https://guccipost.co.jp/blog/jd/
━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集部からお知らせがありましたが、今月は、峯村健司さんの「インテリジェンスサロン」に特別割引価格でご参加いただけます。月1回の「スナック峯村」には私も参加しており、毎回楽しくエキサイティングが繰り広げられていますので、ぜひご検討下さい!
・「【期間限定】峯村健司のインテリジェンスサロン 1か月無料!」
https://guccipost.co.jp/blog/gucci/?p=9566
さて今週もトランプ政権です。世界が注目する大ゲンカとなったトランプとマスクの決裂、トランプ政権発足後初めて実現した米中首脳電話会談を取り上げます。ウクライナの反撃やロシア経済、韓国大統領選についても書きたかったのですが、長くなってしまったので、次回以降に回します(韓国については、メルマガ第817号(4/7)などで述べたとおりの展開になっていますので、差し当たりそちらの見通しを参照下さい)。
【目次】
1.先週の動き
(1)トランプとマスクの決裂
(2)米中首脳電話会談
2.今週の動き
3.近況報告
4.あとがき
***********
先週の動き
***********
6/1(日)
・米ロ外相電話会談
・ウクライナ軍がロシアのイルクーツク州、ムルマンスク州、リャザン州、イワノボ州の基地をドローンで攻撃
・ポーランド大統領選挙・決選投票(「法と正義(PiS)」のナヴロツキ国家記銘院院長 が勝利)
・メキシコ裁判官選挙
6/2(月)
・中国商務部がトランプ大統領の中国批判に反論、米国の対応を非難
・ロシアとウクライナの停戦協議(イスタンブール)
6/3(火)
・イーロン・マスクが「一つの大きく美しい法案」を批判
・韓国大統領選挙(「共に民主党」の李在明前代表が勝利)
・ウクライナ保安局がクリミア橋の基礎部分を爆破したと発表
・オランダのスホーフ首相が辞意を表明
・OECD閣僚理事会(パリ、~4日)
6/4(水)
・米ロ首脳電話会談
・トランプ大統領がイラン、アフガン、ミャンマー、チャド、コンゴ共和国、赤道ギニア、エリトリア、ハイチ、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの入国を禁止する大統領令に署名
・トランプ大統領がハーバード大学への外国人留学生へのビザ発給を停止する大統領令に署名
・トランプ大統領がパウエルFRB議長に利下げを求めるとSNSに投稿
・トランプ大統領がバイデン前大統領の側近は同前大統領の認知力の低下を在任中に隠蔽したとして調査を始めると表明
・米国が鉄鋼・アルミ製品への追加関税を25%から50%に引き上げ
・米教育省がコロンビア大学は大学としての認証資格の基準を満たしていないと中部地域高等教育委員会に通知
・米上院がボウマンFRB理事の金融監督担当副議長就任を承認
・中・ベラルーシ首脳会談(北京)
・ロシアのプーチン大統領とローマ教皇が電話会談
6/5(木)
・米中首脳電話会談
・トランプ大統領がイーロン・マスクを非難
・米独首脳会談(ワシントンDC)
・米国務省が国際刑事裁判所(ICC)の判事4人にイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状の発行等を理由に制裁
・米財務省が半期為替報告書を公表
・ボストンの連邦地裁がトランプ大統領のハーバード大学への外国人留学生へのビザ発給を停止する大統領令の差止めを命じる判決
・北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とロシアのショイグ安全保障会議書記が会談(平壌)
・NATO国防相理事会(ブリュッセル)
・ECB定例理事会(中銀預金金利を引き下げ(2.25→2%)) (フランクフルト)
6/6(金)
・米韓首脳電話会談
・日米関税閣僚級協議(ワシントンDC)
・香港当局が民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン) を香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で起訴
・ロシア軍がウクライナ各地をミサイルとドローンで攻撃
・ロシア中銀が政策金利を引き下げ(21→20%)
・ワグネルがマリからの撤退を表明
●トランプとマスクの決裂
蜜月関係にあったトランプ大統領とイーロン・マスクが、お互いを公然と非難し始めました。
マスクは、トランプが推進する「1つの大きな美しい法案(One Big Beautiful Bill Act, “BBB”)」を激しく批判していましたが、これについにトランプが反応。ドイツのメルツ首相との共同記者会見で、「イーロンにはがっかりだ」と発言しました。するとマスクは、「自分がいなければトランプは(選挙に)負けていた」「何という恩知らず」などと次々にXに投稿し、激しいトランプ批判を始めました。
これに対しトランプは、マスクは「狂ってしまった」「予算を数十億ドルも減らす簡単な方法は、イーロンへの補助金や契約を打ち切ることだ」とトゥルース・ソーシャルに投稿。マスクも「スペースXはただちに宇宙船ドラゴンを退役させる」「エプスタインのファイルにトランプの名前がある」などと投稿しました(ただしこれらの発言はいずれも後に撤回)。
何億人もの人々が見るSNS上で、世界で最も強大な力を持つといっても過言ではない2人が罵り合う光景は圧巻でした。テスラ株は14%下落し、米国株式市場全体にも影響を及ぼしました。
トランプとマスクがいずれ決裂する可能性が高いことは、本メルマガは昨年11月の時点から指摘してきました。来るべきものが来た、という印象ですが、それにしても予想以上にドラマチックな急展開でした。両者の決裂と今後の展望について解説します。
・「イーロン・マスクの今後」(24/11/18)
https://guccipost.co.jp/blog/jd/?p=11036 ;
・「トランプ・マスクと議会の駆け引き」(24/12/23)