… … …(記事全文6,995文字)2025年5月26日発行(通算第824号)
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世界情勢ブリーフィング
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先週半ばまで海外にいましたが、帰国してからの暑さに驚きました。早くもエアコンに頼ることに。週末には涼しくなり、さすがにこのまま夏ということではなさそうですが、日本がますます熱帯の気候に近づいているような気がします。
さて今週もトランプ政権です。サプライズとなった日本製鉄のUSスティール買収の承認と日米関税協議、そしてこれまた衝撃的だったハーバード大学の留学生受け入れ停止について解説します。EUへの関税と「映画関税」についても私なりの分析をお伝えしたかったのですが、これらは次回取り上げます。
【目次】
1.先週の動き
(1)日本製鉄のUSスティール買収承認
(2)ハーバード大学の留学生受け入れ停止
2.今週の動き
3.近況報告
4.あとがき
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先週の動き
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5/18(日)
・ローマ教皇の就任式典(バチカン)
・ヴァンス副大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談(ローマ)
・中国商務省が米国、EU、台湾、日本からの樹脂の輸入に反ダンピング関税を課すと発表
・ルーマニア大統領選挙・決選投票(ダン・ブカレスト市長が勝利)
・ポルトガル総選挙(与党の社会民主党を含む連立会派「民主主義同盟」が勝利)
・ポーランド大統領選挙(1位チャスコフスキ・ワルシャワ市長、2位「法と正義(PiS)」のナヴロツキ国家記銘院院長、6/1に決選投票)
・イスラエル軍がガザでの大規模な地上作戦の開始を発表
5/19(月)
・米・ロシア首脳電話会談
・米連邦最高裁がトランプ政権による約35万人のベネズエラ移民の「一時保護資格(TPS)」の剥奪に対する連邦地裁の差止命令を解除
・英・EU首脳会議(ロンドン)
・WHO総会(ジュネーブ、~27日)
5/20(火)
・トランプ大統領が「ゴールデンドーム」構想を発表
・G7財務相・中銀総裁会議(カナダ・バンフ、~22日)
・台湾の頼清徳総統が就任1年の演説(台北)
・ロシアのプーチン大統領がクルスク州を訪問
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・EUと英国がロシアへの追加制裁を発表
5/21(水)
・米・南ア首脳会談(ワシントンDC)
・日米財務相会談(カナダ・バンフ)
・ワシントンDCのユダヤ博物館付近でイスラエル大使館の職員2人が銃撃を受け死亡
・中国の王毅外相とタリバン暫定政権のムッタキ外相代行が会談(北京)
・日・パラグアイ首脳会談(東京)
5/22(木)
・米・イスラエル首脳電話会談
・米下院がトランプ減税の延長を含む歳出法案を可決
・米国土安全保障省がハーバード大学の留学生受け入れ資格の停止を発表
・ケネディ保健福祉長官率いるMAHA委員会が報告書を発表
・CIA本部の入口ゲートに車が突入する事件
・対米外国投資委員会(CFIUS)が日本製鉄のUSスティール買収に関する勧告をトランプ大統領に提出
・中仏首脳電話会談
・CKハチソンがパナマ運河の港湾事業の売却について中国当局の審査に協力すると表明
・ルーマニアの憲法裁判所がルーマニア人統一同盟のシミオン党首による大統領選の無効の訴えを棄却
5/23(金)
・日米首脳電話会談
・日米関税閣僚級協議(ワシントンDC)
・トランプ大統領が日本製鉄とUSスティールの「提携」を支持するとSNSに投稿
・トランプ大統領が米国外で生産されるiPhoneに25%の関税を課す意向をSNSに投稿
・トランプ大統領がEUが貿易交渉で譲歩をしなければ6月1日から50%の関税を課す意向をSNSに投稿
・トランプ大統領が原子力エネルギーに関連する4つの大統領令に署名
・マサチューセッツ州の連邦地裁がハーバード大学の留学生受け入れ資格の停止の一時差止命令
・米・イランの核問題に関する高官協議(ローマ)
・ロシアとウクライナが390人の捕虜を交換
5/24(土)
・ロシアとウクライナが307人の捕虜を交換
・トルコのエルドアン大統領とシリアのシャラア暫定大統領が会談(イスタンブール)
●日本製鉄のUSスティール買収承認
トランプ大統領は、「検討と交渉を重ねた結果、USスティールが米国に残り、本社が偉大な都市ピッツバーグにとどまると発表できることを誇りに思う」「これはUSスティールと日本製鉄の計画されたパートナーシップであり、少なくとも7万人の雇用を創出し、米経済に140億ドルの経済効果をもたらす」とトゥルース・ソーシャルに投稿しました。
これに対し日本製鉄は、「USスティールとのパートナーシップを承認したトランプ大統領の英断に心より敬意を表する」との声明を発表しました。
バイデン政権で阻止された日本製鉄による買収が、トランプ政権になって一気に認められる展開になったように見えます。本件の背景と意義、今後の展望について解説します。