… … …(記事全文11,828文字)2025年3月24日発行(通算第815号)
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世界情勢ブリーフィング
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東京ドームで行われたメジャーリーグの開幕戦では、大谷、山本、今永、佐々木、鈴木と、日本人選手が両チームに5人も出場し、それぞれが持ち味を発揮して、まさに圧巻の「東京シリーズ」でしたね。私はテレビで観戦しましたが、次の機会にはぜひ球場で観てみたいものです。ぐっちーさんと東京ドームでWBCを観戦したことも思い出しました。
さて、今週もテーマはトランプ政権です。ロシア・ウクライナ情勢に加えて、これまでなかなか取り上げる機会のなかった重要なテーマとして、省庁再編と法の支配の問題について解説します。米国以外でも、トルコやシリアなど取り上げたいテーマがありますが、次回以降、解説の機会を作りたいと思います。
【目次】
1.先週の動き
(1)トランプとプーチン、ゼレンスキーの電話会談
(2)米国の教育省の解体
(3)ロバーツ最高裁長官のトランプへの苦言
2.今週の動き
3.今週の映画
4.近況報告
5.あとがき
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先週の動き
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3/16(日)
・米・トルコ首脳電話会談
・米国務省が敵性外国人法に基づきベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバー数百人をエルサルバドルに追放したと発表
・イエメンのフーシ派が米国による空爆への報復を宣言
3/17(月)
・トランプ大統領がバイデン前大統領による予防的恩赦の無効を主張
・トランプ大統領がFRBのボウマン理事を金融監督担当副議長に指名
・EU外相理事会(ブリュッセル)
3/18(火)
・米ロ首脳電話会談
・トランプ大統領が米連邦取引委員会(FTC)の民主党系委員2人を解任
・メリーランド州連邦地裁がDOGEによるUSAID解体に対して差止命令
・ロバーツ連邦最高裁長官が連邦地裁の判事の弾劾要求に反論する声明を発表
・米国立公文書記録管理局(NARA)がケネディ大統領暗殺事件に関する政府文書を公開
・FOMC(~19日)
・メキシコが犯罪集団「MS13」のリーダーとされるフランシスコ・ハビエル・ロマンバルダレスを逮捕し米国に引き渡したと発表
・イスラエル軍がガザで1月の停戦合意後初となる大規模な空爆を実施
・ドイツ連邦議会が基本法(債務抑制条項含む)の改正案を可決
・コンゴ民主共和国で政府と反政府勢力「3月23日運動(M23)」の和平交渉開始(アンゴラ・ルアンダ)
・日・ミクロネシア首脳会談(東京)
3/19(水)
・米・ウクライナ首脳電話会談
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を据え置き(4.25~4.5%))
・カナダが中国によるカナダ人4人の死刑執行を非難
・ロシアとウクライナが175人の捕虜を交換
・イスラエル軍がガザでの地上作戦を開始
・トルコ検察がイスタンブールのイマモール市長を汚職等の容疑で拘束
3/20(木)
・トランプ大統領が教育省の解体に関する大統領令に署名
・トランプ大統領が重要鉱物の国内生産の拡大に国防生産法を適用すると発表
・米財務省が中国の石油制裁企業に対するイラン産原油の購入を理由とする制裁を発表
・EU首脳会議(ブリュッセル、~21日)
・英主催のウクライナの安全保障に関する国際会議(ロンドン)
3/21(金)
・トランプ大統領が米空軍の次世代戦闘機の製造契約をボーイングと締結したと発表
・ヘグセス国防長官とイーロン・マスクが会談(ペンタゴン)
・北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とロシアのショイグ安全保障会議書記が会談(平壌)
・ドイツ連邦参議院が基本法(債務抑制条項含む)の改正案を可決
3/22(土)
・日中韓外相会議(東京)
・中韓外相会談(同)
・日中外相会談、日中ハイレベル経済対話(同)
・日韓外相会談(同)
●トランプとプーチン、ゼレンスキーの電話会談
トランプ大統領は、プーチン大統領およびゼレンスキー大統領と相次いで電話会談を行いました。
トランプとプーチンの電話会談の後、両国は、エネルギー・インフラへの攻撃を30日間停止すること、黒海における船舶の安全確保に向けた措置を講じることについて合意したと発表しました。しかしその直後、ロシア軍はウクライナの民間インフラをドローンで攻撃。さらに、ウクライナ軍がロシアの石油貯蔵施設をドローンで攻撃した可能性があるとも報じられました。
トランプとゼレンスキーの電話会談は、ホワイトハウスでの「決裂」(以下の記事参照)以来、初めての直接対話となりましたが、双方とも「良い話し合いだった」と評価しており、エネルギー・インフラへの攻撃停止についてはゼレンスキーも同意したことを明らかにしました。また米国は、ウクライナの原子力発電所を米国が所有する案についても話し合われたと発表しました。
・「米・ウクライナ首脳会談の決裂」(3/3)
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トランプによる一連の仲介外交により、停戦に向けた一定の動きが見られるものの、米ロおよび米・ウクライナの発表内容には食い違いが見受けられ、ロシアとウクライナの立場の隔たりも依然として大きいままです。こうした最新の状況を踏まえた上で、今後の展望を考察します。