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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.809: ハリウッド映画もポップミュージックも衰退 !トランプで失われる米「ソフトパワー」


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.809 2025/12/09

ハリウッド映画もポップミュージックも衰退

トランプで失われる米「ソフトパワー」

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  アメリカの世界覇権を支えているのは、経済力、軍事力などのハードパワーだけではない。自由と平等に基づく民主社会と、そこで育まれる文化や娯楽(音楽や映画など)のソフトパワーも重要だ。

 しかし、トランプ時代になって、その衰えが顕著になった。アメリカ発のハリウッド映画もポップミュージックも、いまや世界で流行らなくなってきた。

 とくに日本は、洋楽離れ、洋画離れが進んでいる。

[目次]  ──────────────

■今年のビルボードはK-POPが席巻

■トップ100に洋楽がゼロという「洋楽離れ」

■「洋楽離れ」は日本だけの現象ではない

■日本も顕著、世界中で進む「ハリウッド離れ」

■コロナ禍とAIが加速させたハリウッドの衰退

■ソフトパワーの源泉は自由で開かれた社会

■大学・言論の弾圧で破壊されるアメリカ文化

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■今年のビルボードはK-POPが席巻

 

 いまや、アメリカ本国でさえ、ポップミュージックは海外勢、とくに韓国のK-POPに席巻されている。今年のビルボードホット100のチャートを見れば、Stray Kids(ストレイキッズ)やHUNTRIX(ハントリックス)などの楽曲が、テイラー・スイフトなどを上回っている。

 

 とくにネットフリックスのアニメ『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』に登場した3人グループHUNTRIXの『Golden』は、ビルボードホット 100チャートで8週連続1位を獲得して空前の大ヒットとなった。

 ハロウインは彼女たちのコスチュームで溢れ、感謝祭恒例のNYのメイシーズのパレードにも登場した。

 

 本国アメリカでもこうだから、海外でもアメリカのポップミュージックの地位低下は著しい。とくに日本では、このところ「洋楽」(英語楽曲)がまったくチャートインしなくなった。

 

■トップ100に洋楽がゼロという「洋楽離れ」

 

 もうかなり前から、日本では「洋楽離れ」ということが言われてきた。コロナ禍後は、それが顕著になった。日本のビルボードホット100では、10年ほど前までは洋楽が20曲ぐらいは入っていた。それが、近年はほとんどゼロである。

 

 昨年、ROSÉ & ブルーノ・マーズの『APT.』が、11月1週目に1位を獲得したが、これは2013年5月のザ・ウォンテッド『グラッド・ユー・ケイム』以来のことだった。

 

 このようなことは、半世紀前に青春を送った私には信じられないことだ。当時は、毎週にようにアメリカのヒットチャートを追いかけ、ビーチボーズからビートルズまで、ラジオを通して聴いていた。

 

 なぜ、洋楽は聞かれなくなったのか?

 主流メディアで取り上げられなくなった。ネットによって国に関係なく楽曲を楽しめるようになった。ストリーミングサービスが普及して音楽の聴き方が変わった。J-POP、

 K-POPの人気高騰。若者の海外離れ。アメリカへの憧れの消失。----など、いろいろ言われているが、どれもその通りで、原因は複合的と思える。

 

■「洋楽離れ」は日本だけの現象ではない

 

 日本で顕著な「洋楽離れ」だが、じつはこれは世界的な現象だ。世界の音楽市場は、以前と大きく変わり、英語楽楽曲の優位性が低下し、K-POPやラテンミュージックなどが世界中で台頭している。

 このことを裏付けるのが、Spotify(スポティファイ)などのストリーミング配信業者の集計データだ。再生回数上位1万曲における英語楽曲のシェアは年々減っている。

 

 たとえば、メキシコでは、アメリカとはまったく異なり、カントリーはほとんど聴かれず、ヒップホップ系もトップ・ラティーノなど限られたジャンルだけになっている。

 

 スポティファイのデータによると、世界のポップミュージックのアーティストをグルーピングすると、アメリカのポップアーティスト、中南米のラテンアーティストという大きなクラスターがあり、その間に、K-POPアーティストやユーロアーティストが存在する。

 もはや、アメリカ発のポップミュージックが世界中で流行した時代は終わったのだ。

 

■日本も顕著、世界中で進む「ハリウッド離れ」

 

 「洋楽離れ」と同じく「洋画離れ」も世界中で起こっている。日本の場合は、現在、国産映画が約7割、洋画が3割という「邦高洋低」の市場になっていて、ハリウッド作品はほとんどヒットしなくなった。

 

 今年は、邦画『国宝』が興行収入173億7700万円余りを記録し、実写邦画の記録を22年ぶりに更新し、アニメの定番『名探偵コナン』や『ドラえもん』などのシリーズも例年通りヒットした。それに比べて、ハリウッドの定番『ジュラシックワールド4』『ミッションインポッシブル8』は不調だった。

 

 コロナ禍前の2019年には、興収100億円を突破した映画が4本あったが、そのうちの3本が洋画(『トイ・ストーリー4』『アナと雪の女王2』『実写版アラジン』)だった。しかし、以後、洋画のヒット作品はない。

 こうした日本より、世界の主要な映画市場、中国とインドでは、国産映画のシェアが8割~9割になり、ハリウッド作品はほとんど見られなくなった。

 

 中国政府は外国映画の年間上映本数を約34本に制限しているが、それでもかつてはハリウッド作品『アベンジャーズ/エンドゲーム』『ズートピア』『アバター』などがヒットした。しかし、それはいまは昔のこと。今年は、国産アニメ『ナタ 魔童の大暴れ』(ナタ2)が爆発的なヒットを記録し、中国国内だけで約1545億元(約3115億円)のアニメ映画史上最高額を記録している。

 

… … …(記事全文4,481文字)
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