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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.797:口先公約を掲げるだけの自民総裁選。ここまで劣化した日本の政治を救うのは誰か?


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.797 2025/09/23

口先公約を掲げるだけの自民総裁選

ここまで劣化した日本の政治を救うのは誰か?

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  最近の政治家の劣化ぶりは、ひどすぎる。今回の自民党総裁選を見て、つくづくそう思う。顔ぶれも変わらず、掲げた公約はすべて口先だけで、仮に実現したとしても些細なことばかりで、日本経済の衰退、国民生活の困窮は止まらない。

 高市早苗と小泉進次郎の一騎打ちという下馬評だが、どちらにも、この国をこうしていくというビジョンがない。哀しいほど、情けない、そして虚しい選挙戦だ。

 なぜ、私がそう思うのか? 今回はそれを、思い切り述べてみたい。

 写真:この2人が「日本の顔」になる日は来るのか?小泉進次郎と滝川クリステル夫妻

[目次]  ━━━━━━━━━━━━━

■選挙戦予想、政局報道に終始するメディアの怠慢

■裏ガネ問題、消費税減税を5人ともスルー

■高市は「保守タカ派色」薄めて野党に擦り寄り

■「平均賃金100万円増」という子供だまし

■賃金や給料を上げるのは政治の仕事ではない

■トランプ関税合意は大失敗ではないのか?

■やるべきは国のグランドデザインを描くこと

■ファーストレディという視点で総裁選を見る

■小泉進次郎夫人の滝川クリステルがダントツ

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■選挙戦予想、政局報道に終始するメディアの怠慢

 

 大手メディアは、連日の株価高騰を受けて「積極財政派の高市早苗氏が総理になれば、株価はまだ上がる」などと、勝手なことを書いている。小泉進次郎に関しては、掲げた公約「2030年度までに平均賃金100万円増」を、なんの論評もせずに垂れ流している。

 

 そして、立候補者5人、茂木敏充(前幹事長)、小林鷹之(元経済安全保障相)、林芳正(官房長官)、高市早苗(前経済安保相、小泉進次郎(農水相)の誰が優勢かを連日、報道している。たとえば、加藤財務相が小泉の選対委員長になる。中谷防衛相と伊藤復興相は林を支持する。麻生太郎は今回も高市を支援するのか?など----。

 といっても、すでに小泉vs.高市の一騎打ちになるのは間違いないとして、2人の動向が中心だ。

 

 これは、国民向けの報道ではない。単なるメディアの自己満足の予想報道、政局報道にすぎない。日本のメディアの本質を外れた怠慢ぶりには、本当に腹が立つ。

 そうこうしているうちに、日本経済はますます衰退し、国民生活は困窮していく。

 

■裏ガネ問題、消費税減税を5人ともスルー

 

 そこでまず、述べておきたいのが、なぜ石破茂・自民党はここまで選挙に敗け続けたのか? それをわかっていながら、なぜ、候補者全員がそれにほとんど言及しないのか?このことを指摘しておきたい。

 

 国民が自民党にノーを突きつけたのは、2つの理由からだ。1つは、裏ガネ問題。もう1つは、先日の参院選で、野党が主張した物価対策としての減税(とくに消費税減税)を拒否したことだ。国民はこの2つをやらない自民党に失望したのである。

 

 ところが、この2つの問題を、5候補とも積極的に取り上げていない。裏ガネ問題は、なかったふりを装っている。石破がぶち上げた現金給付に関しては引っ込めたが、消費減税に関しては曖昧な態度に終始している。

 

 そうして誰もが「解党的出直し」「党の立て直し」を言うのだから、国民はさらに愛想を尽かす。立て直すべきは国民の生活であって、自民党と言う政党ではないからだ。

 

■高市は「保守タカ派色」薄めて野党に擦り寄り

 

 情けないのは、高市早苗である。立候補会見で、「いちばん実現したいのは、生活の安全保障」などと言い、国民民主や維新などの野党が求めるガソリン税の暫定税率廃止や所得税の非課税枠「年収の壁」の引き上げなどを挙げたのには、まったくもって驚いた。

 

 要するに、党内のリベラル派から嫌われないように保守タカ派色を薄めて、野党連携も視野に入れた。そういうことである。

 彼女は、タカ派、強硬保守だからこそ存在感がある。それをやめたら、ただの女性候補ではないか。

 

 もともと、高市はアベノミクスに賛同し、安倍路線を継承するとしてきた。しかし、この認識は完全に間違っている。威勢よく「強い経済を実現する」「日本をもう1度世界のてっぺんへ。日本の国力、国の力を強くしなければならない」と言うものの、その方法が「行き過ぎた緊縮財政ではなく積極財政」なのだから、呆れるしかない。

 

 日本はこれまで、巨額の国債発行に頼った放漫財政、積極財政を続けてきたのである。そのため、イノベーションは起きず、人口減から経済が大幅に低迷した。それでもまだ積極財政をするなら、その前に公的部門の大幅なリストラを行い、積極財政財源をつくらなければならない。

 

■「平均賃金100万円増」という子供だまし

 

 本命とされる小泉進次郎の公約も、まったくもって口先だけで、なんの裏付けもない言いっ放しだ。

 出馬会見で、「物価高対策については、さまざまな提案がされている。あらゆる選択肢を排除せず、政党間の協議を真摯に進めていく」と述べたのはわかる。おそらく、そうせざるを得ないからだ。しかし、いざ政策を聞いてみると、やることは高市とほぼ同じである。

 

 そうして、打ち出したのが、「2030年度までに国内投資135兆円・平均賃金100万円増を目指す」である。これには、本当に呆れた。この数字を聞いて、なにも考えていない、いったい誰がこんなことを吹き込んだのかと、即座に思ったからである。

 なぜなら、あと5年後に平均賃金が100万円上がったとしても、物価が相応に上がっていれば、上がったことにはならないからだ。この数字は、子供だましだ。

 

 現在の平均賃金は約400万円である。これが100万円上がって500万円になるということは、1.25倍になったということである。現在のインフレ経済において、5年間で物価はこれくらい上がるのは当たり前だろう。つまり、実質賃金は変わらない。これが政策と言えるだろうか?

… … …(記事全文5,681文字)
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