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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.792:夢のアメリカ留学の終焉!トランプの大学弾圧が招くアメリカの衰退


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.792 2025/08/19

夢のアメリカ留学の終焉!

トランプの大学弾圧が招くアメリカの衰退

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  かつて、世界中の若者たちはアメリカの大学に留学することを目指した。アメリカ留学は夢であり、また、将来の成功への道だった。

 「かつて」と書くのは、それをトランプが閉ざしてしまったからだ。これほど愚かな政策はない。トランプは、ハーバードをはじめ名門大学を次々に弾圧し、学生ビザの発給を制限し、不法移民ばかりか、留学生まで締め出そうとしている。

 これが招く結果は明らかだ。優秀な人材、研究者、頭脳を失ったアメリカは、衰退の一途をたどる。

    *写真:トランプvs.ハーバード(Fox News)

[目次] ━━━━━━━━━━━━━

■学生ビザの発給が昨年に比べて半減している

■ビザ発給に必要な面接がいつになるかわからない

■安全保障上の思想チェックのうえに留学生嫌い

■助成金を凍結し、学問、研究、教育の自由を奪う

■移民の子、留学生たちがつくったビッグテック

■「兵糧攻め」により人員削減の大リストラ

■コロンビアは和解金を払い政権に従うことに

■Uペンはトランスジェンダー選手の登録を抹消

■「民主党リベラル」対「共和党保守」の争い

■トランプの大学弾圧は4年間でも深い傷跡を残す

■もう一つの大問題、卒業生の就職が氷河期

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■学生ビザの発給が昨年に比べて半減している

 

 日本人のアメリカ留学生数は、ここのところ大幅に減っているが、トランプ政権になってからは、さらに大きな落ち込みを見せている。

 アメリカ国務省のデータを見ると、学生ビザ(F1)の発給数は昨年より半減している。これまでだと。毎月の発給数は1000件弱。それがいまは500件程度で、この5月は520件である。

 

 ということは、留学したくても留学できない学生、留学を断念した学生、あるいは留学先をアメリカ以外にした学生が、昨年比で半数以上いるということだ。

 

 アメリカは9月入学。少なくとも8月初旬までにF1ビザをもらえないと、留学はできない。このビザの発給が、トランプ政権になってからは、制限されているのである。

 

■ビザ発給に必要な面接がいつになるかわからない

 

 FIビザに限らず、アメリカに滞在できるビザの発給には、インタビュー(面接)が必要。これが、トランプ政権になってからしばらく凍結され、再開されたのが6月18日。それも、制限付きとなった。米国大使館のウエブには、こうある。

 

《F、M、またはJ非移民ビザを申請するすべての方は、米国の法律に基づく身元確認および入国適格性の審査を円滑に行うため、ご自身のすべてのソーシャルメディアアカウントのプライバシー設定を「公開」に変更するようお願いします。》



《学生ビザまたは交流訪問者ビザ申請に関する追加または新規の面接予約は、当面の間、非常に限られます。面接のスケジュールは状況に応じて変動します。》

 

《既に面接予約をお持ちでない学生ビザまたは交流訪問者ビザの申請者については、今夏中に面接を予約できることを保証することはできません。》

 

■安全保障上の思想チェックのうえに留学生嫌い

 

 なんでこうなったかというと、第一に、反米的な思想を持つ人間を入国させないためである。ソーシャルメディアのアカウントの公開は、まさにそれ。思想チェックである。

 これは、「外国人の入国を制限し、外国のテロリストおよびその他の国家安全保障・治安の脅威から米国を守るための大統領令」に基づいている。

 

 次に、トランプは留学生が嫌いだということ。留学生は、非白人が多く、国別では1位インド、2位中国、3位韓国、4位カナダ、5位サウジアラビアとなっている。

 

 学生ビザを申請するには、I-20フォーム(書類)が必要になる。I-20は、学校側が留学資金を確認して、入学を許可したことを証明する正式な書類だが、これが送られてくるのも遅れている。

 

 そのため、昨年暮れにせっかく合格通知をもらい、I-20も持っているのに、インタビュー待ちで9月入学に間に合わないかもしれないという学生がいる。先日、それが2 、3人ではないことを米国大使館の知人から聞いた。

 

■助成金を凍結し、学問、研究、教育の自由を奪う

 

 かつて娘をアメリカの大学に留学させた親として、これまでトランプの大学弾圧をずっと注視してきた。それで思うのは、トランプはつくづくバカだということだ。

 たとえDEI(Diversity, Equality, and Inclusion:多様性、公平性、包括性)が許せなくとも、アファーマティブ・アクション(AA:affirmative action:積極的格差是正)が逆差別だといっても、また、anti-Semitism(反ユダヤ主義)がユダヤ人迫害だといっても、弾圧は行き過ぎだ。

 

 トランプは大学に対して助成金を凍結し、治安部隊を送り込み、留学生ビザを制限して、大学を自分が思うままに操ろうとしている。本来、学問、研究、そして教育は自由であり、ときの政権によってコントロールされることなどあってはならない。

 

 白人優位主義者(white supremacy)で人種差別主義者(racist)のトランプは、現実が見えない。アメリカの世界覇権の力の源泉となっているGAFAMなどのビッグテックは、その多くを移民の子供たちや留学生がつくった。したがって、その源を絶ってしまおうというのだから、とことんバカと言うほかない。

 

… … …(記事全文6,337文字)
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