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山田順の「週刊:未来地図」
No.791 2025/08/12
もはや待ったなしの「地球温暖化」
投資するなら「気象制御ビジネス」が一番手か!
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もう「異常気象」などと言っている場合ではないほど、猛暑は過酷だ。世界中で最高気温が更新されている。日本でも、先日、観測史上最高の41.8℃が記録された。
それなのに、温暖化対策はまったく進んでいない。トランプのような化石アタマ人間によってないがしろにされている。しかし、そんな状況はもう続かないだろう。いずれ、温暖化阻止のために人類は持っている資源をつぎ込むことになる。
そこで、今回は温暖化の現状と、なぜ対策が進まないかを考え、いま注目されている「気象制御」について見てみたい。将来を見据えた投資家が行なっているのは、「AIビジネス」と「温暖化阻止ビジネス」への投資だ。はたして、気象は制御できるのだろうか?
[目次] ─────────────
■アジアは地球平均の2倍以上速く温暖化が進行
■人類の約半分が生存敵地の外に住むことになる
■ツバルは国土消滅、ハワイはビーチがなくなる
■トランプがやっている「温暖化促進策」の愚
■なぜ温暖化防止への意識が盛り上がらないのか?
■最近注目されている「気象制御技術」への投資
■降雨、落雷、ハリケーンの進路などを制御する
■CO2除去、人工光合成などはまだ研究開発段階
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■アジアは地球平均の2倍以上速く温暖化が進行
まずは、温暖化がどの程度進んでいるのかを確認したい。
2015年のパリ協定の目標は、19世紀後半の工業化以前と比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えることだが、この目標は達成不可能な状況になっている。
最新の専門家60人による研究報告(2025年6月20日BBCが報道)によれば、現在のCO2排出量の水準がこのまま続けば、あと3年で1.5℃を突破するという。すでに昨年(2024年)は、年間平均気温が初めて1.5℃を突破したことが判明している。
もう改めて書くのも嫌だが、今年の日本の夏は「猛暑」を通り越して「酷暑」である。昨年以上の暑さで、これがおそらく来年以降も続くのだろう。
世界気象機関(WMO)が6月23日に公表した「アジアの気候の現状2024」によると、アジアは、地球平均の2倍以上の速さで温暖化が進んでいる。なかでも日本は顕著なのだという。
■人類の約半分が生存敵地の外に住むことになる
酷暑、豪雨、水害、豪雪、海面上昇、干ばつ、大型台風------このまま温暖化が進むとどうなるかは、すでに、山ほど警告が発せられている。
よく引き合いに出される米国科学アカデミー紀要に載った中国・米国・欧州の研究者チームの論文によれば、50年以内に全人類の3分の1が住む場所が、サハラ砂漠のもっとも高温なところと同じくらい暑くなる。そして、人類の約半分が、過去6000年にわたって生存してきた気候適地の外に住むことになるという。
人類のほとんどは、気温が6℃~28℃の地域に住んでいる。これが生存適地だが、このエリアが今後、どんどん縮小していくというわけだ。となると、このままなにもしなければ、気候難民が大量に発生し、人口大移動が起こる。
いま、世界中で、移民排斥運動が起こっているが、そんなことなど言っていられない。生存不敵地に住む人々は、命の危険に晒されるのだ。すでに、この気候難民は発生している。
■ツバルは国土消滅、ハワイはビーチがなくなる
ほんの数年前まで、まだまだ先の話だと思っていたことが、もう起こり出している。酷暑到来より、よりはっきりしているのが、海面上昇による陸地消滅だ。
最近、日本の海岸を歩けば、このことを痛切に感じる。どこも砂浜が後退しているからだ。
7月18日の報道によれば、海面上昇で国家消滅の危機にあるツバルでは、国民の半数に相当する5000人超が、オーストラリアへの移住枠に応募したという。オーストラリアは、2023年にツバルと条約を結び、毎年280人の移住受け入れを決めている。
そのオーストラリアでも、今後80年間でビーチの約40%を失うという調査研究が出ている。これは、海岸線が100メートル以上後退することを意味する。そのため、シドニー近辺のビーチ沿いの不動産価格は下落傾向にある。
ハワイも同じだ。ハワイ大学の調査研究は、2050年までに、ハワイのビーチのうち約4割が消失する可能性があるとしている。
ちなみに、ワイキキビーチは砂を人口的に補充しているビーチで、このメインテナンスは定期的に行われているが、いまや、海面上昇のスピードに追いつかないし、工事費用もかさむ一方という。
■トランプがやっている「温暖化促進策」の愚
というわけで、なんとか温暖化を阻止して、目標の1.5℃は無理としても2.0℃ぐらいに抑えられれば、危機は拡大しない。
しかし、トランプのような「温暖化はフェイクだ」と科学を否定し、パリ協定を離脱して、化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ!」というトンデモ大統領がいる限り、危機は深刻化する。
なにしろ、トランプがやっていることは、「温暖化促促進策」である。
パリ協定以外に次々と国際協定から離脱し、研究機関から温暖化研究、気候変動研究をしている主要な科学者らを追放。予算も大幅に削った。
そのうえで、火力発電所が排出するCO2の回収を義務付ける規制を撤廃した。もちろん、「EV義務化政策」も廃止してしまった。
これでは、アメリカはCO2を含む温室効果ガス(GHG)を出し放題になってしまう。ちなみに、GHG の排出量ランキングは、1位:中国:約31.18%、2位:アメリカ:約14.03%、3位:インド:約7.15%である。
■なぜ温暖化防止への意識が盛り上がらないのか?
ともかく、トランプが一刻も早く失権することを祈るしかないが、それ以上に問題なのが、現在、世界的に温暖化を阻止しようという機運が薄れていることだろう。
とくに日本はそれが顕著である。
前回の参院選で躍進した参政党などは、「温暖化対策を止めろ」と、党首が国会で言うのだから信じがたい。参政党は陰謀論に染まっているとしても、そのほかの政党、政治家たちの意識も本当に低い。よって、国民の意識も低い。
温暖化防止のために1人1人ができることは小さい。いますぐ、ガソリン車を捨ててEVに切り替えても、1人だけではどうにもならない。そのため、「自分がやらなくても、どうせ誰かがやってくれる」という意識が、社会全体を覆っている。
また、日々の報道を見ても、最高気温更新、歴史的な猛暑などと騒ぎ、その原因を解説するが、それは気圧、気流、海水温などの気候要因だけだ。人間の経済活動、温室効果ガス(GHG)の排出が根本原因だとは、ひと言も言わない。これでは、温暖化対策は進まない。
