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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.772:ビッグボス”は「ブロンドビューティ」が大好き。トランプ政権の女性閣僚たち


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.772 2025/04/22

ビッグボス”は「ブロンドビューティ」が大好き 

トランプ政権の女性閣僚たち

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 今回は、いつもとは趣(おもむき)が違う記事を配信したい。経済、投資、政治、国際関係などの情報を知りたい方には申し訳ないが、タイトルにあるように、トランプ政権の女性閣僚の話である。

 トランプには、セックス強要、性暴力行為で起訴され、民事訴訟で敗訴したという歴史がある。また、3度、結婚・離婚し、その間に数々のセックススキャンダルを起こしてきている。

 つまり、トランプは、女性蔑視発言をするにもかかわらず、根っからの“女好き”である。

 そのため、自分の政権に、ブロンドの美女を集めた。“ビッグボス”の人気は、関税乱発で落ちているが、彼女たちの人気は高まる一方となっている。

  写真:キャロライン・リービットのインスタより

[目次]  ─────────────

■歴代最年少のブロンド美人報道官★キャロライン・リービット(27)

■フランス人EU議員のアメリカ批判を一撃

■「TikTok」で「MAGAビューティ」がバズる

■典型的な庶民娘は在学中にトランプに共鳴

■夫は32歳年上の不動産事業者で1児の母

■行き過ぎた「Woke」(ウォーク)の反動

■女性初の首席補佐官★スーザン・ワイルズ(67)

■トランプが全幅の信頼を置く職員のトップ

■夫は共和党のコンサルト、2017年に離婚

■国土安全保障省長官★クリスティ・ノーム(53)

■司法長官★パム・ボンディ(59)

■農務長官★ブルック・ロリンズ(52)

■労働長官★ロリ・チャベスデレマー(56)

■教育長官★リンダ・マクマホン(女性、76)

■国家情報長官★トゥルシー・ギャバード(43)

■中小企業庁長官★ケリー・レフラー(43)

■国連大使★エリス・ステファニク(40)

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■歴代最年少のブロンド美人報道官★キャロライン・リービット(27)

 

 トランプ政権でいちばん目立つのは、なんと言っても、歴代最年少の27歳で大統領報道官に就任したキャロライン・クレア・リービットだ。

 大統領報道官は閣僚(cabinet member)ではないが、準閣僚クラスの役職で、大統領の言葉と行動をメディアに説明する重要な役割を担っている。そんなポジションに、まだ大学を出て4年目の女性が就任したのだから、メディアも国民も驚いた。

 

 しかし、リービットはトランプの就任以来、メディアの前で堂々と会見に臨み、テキパキと仕事をこなしてきた。そうしながら、ときどきブロンドヘアに手をやる仕草が、ソーシャルメディアで人気を呼んでいる。

 

 「ブロンド美女(ビューティブロンド)」というと、キャラクターは「天然ボケ」「ドジ」というのがお決まり(旧来の価値観)だが、彼女はそうではなかった。

  

■フランス人EU議員のアメリカ批判を一撃

 

 リービットは、たとえそれが間違っていようと、堂々と自分の言葉で受け答えする。

 その一例として、驚かされたのが、3月16日の会見で、フランス選出のEU議員グリュックスマンが、トランプについて「(米国人が)暴君を支持することを選んだ。アメリカは自由の女神像を返還しろ」と批判したことに対して、こう言ったことだ。

 

「フランス人がいま、ドイツ語を話していないのはアメリカのおかげですよ」

 要するに、海の向こうからヤンキーがやって来てドイツ軍と戦わなかったら、フランスはドイツに占領されたままではないかということ。第2次大戦の教訓話である。

 

 これは、アメリカ人がヨーロッパ人をクサすときによく使う手で、このケースで適切な返答かどうかはともかく、鮮やかな返しであることは間違いなかった。

 

 しかし、グリュックスマンの方が1枚上手だった。こうやり返したのだ。

「当時のアメリカは、ヨーロッパのため、自由と民主主義のために独裁者と戦ったのだ。米軍が多大の犠牲を払ってノルマンディに上陸してくれなかったら、私はこの世に存在していなかったかもしれない。独裁者と戦った自由の国アメリカはどこに行ったのか?」

 

■「TikTok」で「MAGAビューティ」がバズる

 

 トランプ政権の女性閣僚、女性スタッフたちの人気は高い。ソーシャルメディアでは、毎日のように多くの投稿がある。とくに、キャロライン・リービットのような典型的なブロンド美人は、「TikTok」( ティックトック)では、いつしか「MAGAビューティ」「MAGAセクシー」などと呼ばれるようになり、ことあるごとにバズるようになった。  

 「MAGA」(マガ)は、もちろん「Make America Great Again」のことだ。

 

 ただし、「MAGAビューティ」などの言葉は、意味そのままの褒め言葉ではない。なぜなら「MAGAメーク」という言葉もあり、これは、ブロンドのロングヘアに濃ゆい眉とはっきりしたアイメーク、薄化粧を指す。すなわち、古臭い80年代のメークとされ、日本語にすれば「ダサい」と言っているのだ。

 

 リービット報道官の後ろには、いつも2人の女性の副報道官の姿ある。彼女たちもまた、白人のブロンド美人、「MAGAビューティ」だが、民主党支持の「Woke」(ウォーク:意識高い系)たちは、彼女たちを「古臭い」「時代遅れ女」と皮肉っている。

 

■典型的な庶民娘は在学中にトランプに共鳴

 

 ではここで、キャロライン・リービットの履歴を述べておきたい。まずはっきり言って、彼女は、東部の典型的な庶民娘である。

 ニューハンプシャー州の小さな街、アトキンソンの出身。実家はアイスクリーム店と中古車販売店を経営しており、敬虔なカトリック教徒で、けっして豊かではなかった。

 

 リービットはそんな家族の中で、高卒後、初めて大学に行った。近所にあるベネディクト派の私立セントアンセルム・カレッジで、ここでBAを取得した。

 

 セントアンセルム・カレッジは、リベラルアーツカレッジとして、全米ランキングで100位前後のカレッジ。東部には、旧セブンシスターズに属する名門リベラルアーツカレッジがいくつもあるが、そこに行けなかったことを考えると、学力は高くなかったはずだ。

 

 しかし、彼女は大学で保守思想に目覚める。両親の苦労を見てきたためか、MAGAを標榜するトランプに共鳴する。そのため、トランプに批判的な学校新聞に猛烈な抗議文を送ったという。

 そして、FOXニュースでインターンを始め、第1次トランプ政権が発足すると、ホワイトハウスでもインターンとなった。

 

■夫は32歳年上の不動産事業者で1児の母

 

 こうして、政治の世界に足を踏み入れた彼女は、2022年、ニューハンプシャーの第1選挙区の下院議員選挙に25歳で出馬。予備選を勝ち抜いたものの、本選では惜敗した。ニューハンプシャーは、強固なブルーステート。そこでの共和党女性候補の善戦は光った。

 

 彼女の美貌と若さ、そしてSNSを駆使した選挙戦に目をつけたトランプは、2024年の大統領選に報道担当としてリービットを起用する。

 すると、テレビ映りのいいレービットは、若いG世代の人気を集め、G世代・ミレニウム世代の票の獲得に貢献した。

 

 この間、リービットは、なんと32歳年上の不動産事業者ニコラス・リッチオと結婚。彼女には、高校時代から6年間付き合った恋人がいたが、資産600万ドルの初老の男のほうを選んだ。

 そうして昨年の夏、長男を出産すると、産後1週間あまりで、銃撃事件を受けたトランプの下に駆けつけて、報道担当の仕事に復帰したのである。

 

… … …(記事全文8,784文字)
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