… … …(記事全文3,162文字)<通貨価値下落トレードの始まり>
金相場の高騰が続いている。COMEX金先物相場は連日の過去最高値更新となり、9月23日に1オンス=3,800ドル台に乗せたばかりだが、10月1日には早くも3,900ドル台に乗せ、4,000ドルの節目まで残り50ドルを切る値位置に到達している。OSE金先物相場も8月時点では1グラム=1万6,000円水準で横ばいだったが、10月6日の取引では自民党総裁選での高市氏が勝利したことに伴う円安もあり、一気に1万9,000円台に乗せている。こちらも連日の過去最高値更新であり、2万円台乗せが時間の問題になりつつある。
現在の金市場を支配しているのは「FOMO(Fear Of Missing Out=取り残されることへの恐怖)」だ。従来だと金価格の上昇・下落は機関投資家を含む多くの人にとって、自身には関係のない現象との見方が強かった。あくまでも代替資産の一つであり、金本位制が終わった現在は過去の遺物であり、金相場の上昇・下落には大きな意味がないと評価されていた。しかし、インフレや財政懸念、さらに不安定化する地政学環境、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に対する懸念など様々な要因で法廷通貨に対する信頼感が損なわれる中、「金を保有しないリスク」が金需要・価格に大きな影響を及ぼし始めている。