□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2018年03月23日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== トランプ大統領のリーダーシップ、原油市場では二重の意味で警戒される =================================== <在庫要因の下落圧力はピーク段階へ> NYMEX原油先物相場は、3月8日の1バレル=59.95ドルをボトムに、65ドル前後の価格水準まで値位置を切り上げる展開になっている。需要端境期の季節要因に基づく短期需給圧力を背景に2~3月にかけては60ドルの節目割れを打診する動きも活発化していたが、結果的には、2月上旬の株価急落局面で形成された58.07ドル(2月9日)を下抜くことができず、逆に65ドルの節目を上抜く展開になっている。チャート上では、上値抵抗が切り下がる一方で下値支持が切り上がるいわゆる三角持合い相場となっていたが、それを上方ブレイクした形になっている。 足元の原油相場で注目したいのは、年初から観測されていた株式相場との間の強い相関が崩れ始めていることだ。年初から3月中旬にかけての原油価格動向に関しては、ほぼ株価動向で説明が付く状態にあった。例えば20日の相関係数(-1~+1の間で相関度を示す)だと3月上旬までは+0.80前後を推移しており、高いレベルの相関関係を認めることが可能だった。ダウ工業平均株価とWTI原油先物相場の比価だと400倍前後で安定しており、両価格のチャートを重ねててみも、ほぼ同じ値動きと結論付けることが可能だった。しかし、直近の3月22日時点では20日相関係数が+0.68まで低下しており、比価は373倍まで急低下している。まだ一時的なブレの可能性もあるが、原油高と株安と両マーケットのベクトルが逆向きに転換し始めている。リスク資産というマクロ環境主導の値動きから、原油需給環境主導の値動きへのシフトが実現するか否かが注目される時間帯になる。… … …(記事全文4,161文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)