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吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:増刊:円レートの構造変化
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<1ヶ月にビジネス書5冊を超える知識価値をe-Mailで>
ビジネス知識源プレミアム(660円/月:税込)Vol.1422

<Vol.1422号:増刊・共通版:円レートの構造変化>

2024年3月29日:金融の風の変化は、まだ起こっていない。6月は60%の確率・・・


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著者へのメール    yoshida@cool-knowledge.com
著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治



今年は、桜の開花が10日くらい遅いようです。池の土手と公園の花見は来週末でしょう。5軒隣の家の前の、巨大な古木がいつの間にか切られたことが惜しい。

一本でも、三叉路の威風堂々とした薄い桃色の桜花であり、約10年、眺めて来ました。木にも「格」はあります。桜の木には寿命があるのか。あるいは、花の蜜や樹脂に集まる虫が増えたのか。桜の木には松ヤニに見える樹脂が垂れるくらい多い。周辺には、桜の木が多い。夜の雨が多く、気温が不順です。

24年3月に30%(維持が70%)とした株価は、4月以降に持ち越されたようです。6月までには60%の確率で下落と見ています(維持が40%)。9月には90%の確率で下落(維持は10%)。(注)投資家主体別買い越し/売り越しから。
(独自にエクセルで集計しなおして観察しています)
https://www.ando-sec.co.jp/market/movement.html

しかし、3月3週の「投資家主体別買い越し/売り越し」は、常態ではない。

(1)個人投資家:2週までは買ってきた個人投資家が8726億円という大きな売り越しに転換しています。1年に10兆円レベルと昨年の2倍の、事業法人の自社株買いも3月3週は停止しています。

(2)証券会社の自己売買:9124億円も買い越したのは、インサイダーである証券会社の自己売買です。この自己売買には、覆面した日銀の買い、外銀の円キャリートレード(ゼロ金金利の円を借りて株を買うこと)での買いが含まれています。3月の3週は、日銀と外銀が買い支えた相場でしょう。

〔テーマ〕今回のテーマは、1ドル150円台に下がった円レートが生む問題です。

【微妙だが円高の期待はあった・・・】
日銀銀のマイナス金利の停止と、米FRBの2024年の利下げ予想から、24年3月以降は、日米金利差が縮小し、円高傾向が期待されていました。

ところが事態は逆に動き、1ドル151円台という1985年代(39年前)の円安に戻っています。

〔重くなった通貨レート〕現代の金融では、金利より通貨レートがより重く、株価、経済、物価に影響します。マネーの国際移動である通貨の売買が、2000年代のグローバル化でGDPの増加率より増えた世界の貿易額の100倍も大きいからです。財務省がいつも言う「投機的な通貨の売買」ではないのですが、金融機関の外貨売買、個人のFXが増えています。経済の金融化を示しています。



<Vol.1422号:増刊・共通版:円レートの構造変化>
2024年3月29日:有料版・無料版共通

【目次】
■1.外為市場は貿易額の100倍以上巨大
■2.通貨の売買の、マネーの流れでの意味
■3.通貨介入が必要
■4.世界の通貨に対する「実効レート」で見る円
■5.リーマン危機の時期
■6.アベノミクスの超金融緩和の時期(世界最初のMMTの実行)
■7.コロナ対策の世界のゼロ金利と、ドル・円・ユーロの増発
■8.2011年以降の日本経済の構造変化
■9.問題は政府・日銀の認識の遅れ
■10.岸田首相による国富(国民の預金)の、米国への振り向け
【後記の2点】



■1.外為市場は貿易学の100倍以上巨大

2022年の1日あたりの外為売買額はドルが6.6兆ドル(990兆円相当)、ユーロ2.3兆ドル(345兆円)、円は1.2兆ドル(180兆円)、英国ポンド1.0兆ドル(150兆円)、人民元0.5兆ドル(75兆円)の売買があります。

1年ではなく、たった1日の売買額です。円では、1日に180兆円の売買があります。180兆円/1日の、巨額マネーが行き交っています。株価・金融・経済の多くの部分を、通貨の売買がレート変動の起点として決めていることが分かるでしょう。

比較すれば、東証の株の売買は2倍に増えていますが、それでも1日に5兆円から6兆円です。円の売買の3%に過ぎません。(世界の外為市場)。日本の株が1日に6兆円売買されるとき、円/ドルは200兆円も売買されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E7%82%BA%E6%9B%BF%E5%B8%82%E5%A0%B4

■2.通貨の売買の、マネーの流れでの意味

「ゼロ金利の債券としての通貨」の売買は、マネーの国際的な移動になります。円安を生むドル買いは、円が海外に行くことです。逆に、円高を生むドル売り/円買いは、マネーが円に流入することです。

これが「国際金融」です。「国際金融」の窓口は、大手外為銀行の国内店頭と、外銀の支店です。(注)通貨では日本の銀行内にあるドルも、ドル圏の通貨です。米銀にある円は、円圏の通貨です。

【円安と円高】
円安は、円売りが円買いに勝って、日本の円が海外に出ることです。円高になるとは、円買いが円売りに勝って海外の通貨(70%はドル、20%がユーロ)が日本に流入することです。

【異次元緩和の円が500兆円】
日銀は、異次元緩和(2013年~2021年)として、500兆円の国債を買い増して、円通貨を500兆円増やしました。

2013年から大きく増加した円が、国内の設備投資、貸付金、株や債券の購入になれば、日本経済の名目成長率(物価上昇率+実質GDP成長率)は、4%から6%に高まったでしょう。

その原理は、「M(マネーサプライ増加)×V(通貨の流通速度)=P(物価上昇)×T(実質GDP上昇)」です。通貨の流通速度は預金の回転率ですが、これを、一定とします(実際には変動しています)。円は、ゼロ金利でも多くが銀行預金に滞留しています(ケインズ・流動性の罠)。

【大きく増えた円の、海外州出:11年で300兆円】
◎日銀が、日本経済(GDP)の名目成長率上昇のため増やした円は、国際金融では、1年に20~30兆円も海外(80%は米国)に円売り/ドル買いとして流出してしまった。

〔米国株上昇の原因は円だった〕
約11年の米ドルへのコンスタントな円の流入(推計300兆円)が、1)米国株の買いを増やし米国株を上げ、2)米国の貸付金増加、3)ウォール街を世界マネーのハブ空港にする、米国からの海外への債券投資(ファンドによる日本株の買い増し)になったのです。

つまり日銀増やしたゼロ金利の円は、
・日本経済を上滑りした雪崩のように、
・比較金利の高い米国に行ったのです。
この結果が、1ドル140円を超える円安でした。

【5%の利上げとマネー量縮小(QT)のなかで上がった米国株】
FRBが9%のインフレから、22年3月から5%の利上げをして、マネー量を絞っても、米国株が上がり続けたのは、約14年ゼロ金利を続ける円のドル買い、つまり円マネーの米国への流出が、14年で300兆円相当はあったからです。

この300兆円は、国際会計では日本(銀行、企業、政府)の対外資産の増加になってます。(現在約1300兆円の対外資産)。

【円安は何のため?】
通貨レートでは、輸出超過の企業を除く日本経済の全体(輸入超過企業と国民の家計)のためには「円高」がいい。

ところが政府・日銀の通貨政策は、2000年代からずっと25年も「円安政策」です。1ドル150円は、政府・日銀の通貨介入(ドル売り/円買い)の暗黙の基準点ですが、政府・日銀はまだ動いていません。

■3.通貨介入が必要

1日に180兆円の円の売買がありますから、15~20兆円/日くらい巨大介入(ドル売り/円買い)でないと、通貨レートは動きません(3日間で45~60兆円)。

金融の、了見(りょうけん)の狭いエリート、または宦官(かんがん)になった日銀には、これを行う肝(きも)がない。肝は、野蛮で闇雲な野武士の勇気です。政治資金の「裏金」で政治が麻痺しているためでもあります。

為替介入は、行うべきことです。適度なレートは1ドル120円でしょう。米国から為替操作国と言われても、実害はない。堂々と為替操作国ですと言えばいいだけです。

植田さん、いかがですか? 「1ドル120円になるまでやるぞ」という口先介入でもいい。会見のとき、植田さんの顔が妖怪に見えて、案じています。何か精神的な問題があるのか。ショックを受けても清々しかったオオタニとはまるで違う。精神は視線と顔の歪みに現れます。

金融の操作は、2013年からの日銀の国債買い(500兆円)でした。これは実質的には財政ファイナンスであり、日銀のルール違反ですが、安倍元首相と黒田総裁の、ルール破りの蛮勇で行ったのです。

為替にも口先起介入があると、民間の金融市場は先読みして「ドル売り/円買い」に出動します。

これを言わないとすれば、日銀は米国のAIバブル株価を支えていることになります。なぜ、日本経済と国民の実質所得増加のためには必要な為替介入をしないのか。植田総裁は会見では、理由を述べるべきです。

片隅の私的些事(さじ)ですが、家人が長女夫婦の誕生日や正月にお祝いのお金を送っているようです。毎回、円安を嘆いています。

金の現物はロンドンとスイスで、先物はNYのCOMEXで、ドルベースの国際価格が決まります。円安では国内価格が上がりますが、海外旅行は2倍です。代わりに、海外から日本への旅行は1/2です。インバンド消費は年間3000万人レベルに改善し、50%は価格が上がった国内のリゾートホテルと都市ホテルはガイジン一杯です。円安は日本人の消費を減らし、ガイジンの消費増やします。

〔まとめ〕輸出の商品価格は、円で同じでもドルでは1/2、食品やエネルギーの輸入価格は円では2倍。日本の物価上昇の主因は、過度の円安です。

国民の生活意識では、日本の物価は平均で16.1%も上がっています(日銀の生活意識調査:23年12月)。政府はなぜこれを言わないのか。この実感こそが、店頭で国民が感じている物価です。
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2401.pdf

■4.世界の通貨に対する「実効レート」で見る円

メディアでもあまり使われない「実効レート」という通貨の指数があります。ドルだけではなく、世界の通貨の加重平均に対する、各国の通貨レートです。実行レートが、円の本当の交換レートです。
(このサイトにあります:1970-2024.2)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

円(赤の折れ線)の実効レートは、1970年の60から1995年の150まで25年で2.5倍に上がっています。
 1990年に、ドルを1/2に切り下げた「プラザ合意」のあとの、円高対策の利下げと日銀によるマネー増刷で生じた資産バブルを挟んでも、1ドル79円まで上がりました。

◎日本に貿易黒字で入ってきたドルを円に換える「ドル売り/円買い」が続いたからです。ドル売り/円買いは、円高の要素です。

【黄金の1980年代】
1980年代は、日本経済の黄金期でした。この時期は、「貿易黒字+所得収支黒字=経常収支の黒字(約30兆円)」が円を高くしていたのです。これが、上記の実効レートで見る1995年までの「円高=ドル安」の原理でした。

【暗黒の1990年代】
ところが、1995年の円の実効レート150は、リーマン危機前の2007年に80と約半分の53%に下がっています。1ドル79円だった円(1995)が、12年後は120円にまで下がったのです。

原因は、
1)1997年の、資産バブル崩壊後の、日本の銀行危機による日銀のゼロ金利策
2)高齢化が主因だった日本経済のゼロ成長、でした。

■5.リーマン危機の時期

2008年から2012年は、円の実効レートが80から100台へと25%上がっています。ドルとのレートでは、1ドル120円(2008)から77円(2012)への、再びの円高でした。

原因は、
1)米国のリーマン危機(金融危機=どる危機)によるドル安。
2)FRBによる、銀行危機救済のためのドルの増刷(3兆ドル)。他国より多く増刷された通貨は1単位の価値が下がります。

銀行の救済(ベイル・アウト)として、FRBが利下げをし、加えて不意に3兆ドルが増刷されたため、ドルの1単位の価値が下がったのです。

原理:GDPに対して他国より通貨発行量が増えた通貨はレートが下がる。

この時期の円高(1ドル120円→77円:56%上昇)は、
・日本経済が好調なための円高ではなく、
・米国のドル危機よるドル増刷がドル安/円高の原因になったのです。

■6.アベノミクスの超金融緩和の時期(世界最初のMMTの実行)

ところが、2013から2020年まで円の実効レートは100から70(2015)まで30%急落しました。ドル/円では78円から124円の円安でした(37%下落)。
・この間、ドルの実効レート(ミドリの折れ線)は100から115まで15%上がっています。
・人民元の実効レートも100から130まで30%急騰したのです。
(再掲)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

なぜ経済の実態とは違う、異例なことが起こったのか?

原因は、
1)日銀が開始した円国債買いの、異次元緩和(当初60兆円/年、その後80兆円/年の円の増刷)
2)金利はマイナスから0%、です。

<原理:GDPに対して他国より通貨発行量が増えた通貨はレートが下がる>ことが、教科書のように起こりました。

2016年から17年は、若干の円高に戻しました(実効レートで70→100)

■7.コロナ対策の世界のゼロ金利と、ドル・円・ユーロの増発

【世界の通貨に対する実効レートでは、円だけが45%も下げた】
しかし今度は、コロナ対策の円の増刷があった2020年からは、実効レートは、100から55まで45%も下げています。円/ドルのレートでは、106円(2020)から151円(2024.03)と、30%の円安です。

米国でも。コロナ対策のドル増刷(4兆ドル)がありましたが、GDPに対する円の増刷が大きかったため、円がより大きく下げたのです。

<原理:GDPに対して他国より発行量が増え、相対的な金利が低い通貨は、大きく売られてレートが下がる> GDP比で他国より大きな通貨の増発は、株価や不動産は上げますが、国内のGDPと世帯の所得は増やさないのです。

ドルの短期金利は5%~5.25%、マイナス金利を脱したとはいえ円の金利は0.1%付近です。金利差が5%もあります。この日米金利差が1ドル151円台の円安の主因です。

3年前は、日米金利差は1.5%から2%でした(2021年)。その時のレートは、1ドル101円から103円だったのです。1ドル100円台は今では超円高に見えますが。コロナ・パンデミックが始まった3年前には普通のレートした。
(再掲)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2401.pdf

■8.2011年以降の日本経済の構造変化

この時期に、円マネーの流れにおいて、構造変化が起こってます。

(1)2010年までは強かった貿易が赤字基調になった(日本の輸出力の低下。円安でも輸出額は増えない(海外生産は増えるが)。2011年の東日本大震災)原発事故の3.11)以降は、逆に輸入する資源が上がって貿易が赤字になった。

(2)〔企業が海外利益を円転しなくなった〕海外工場の収入のドルを、以前は円転(ドル売り/円買い)していたが、円転せず、海外(米国)にドルのまま運用するように変わった。

・原因は、日本経済の成長が米国より低いことです。長期の円安でも、工場が日本に回帰することはなくなった。(注)海外工場への投資額は275兆円(2023年5月)。海外工場からの日本への直接投資は46兆円(1/6)(日本の対外資産、対外負債)
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2022_g.htm

(3)〔米国の急激な利上げ〕2022年3月から、米国FRBは、9%インフレを2%台に下げるため1回0.75%の果敢な利上げを行った(5.0%~5.25%)。

(4)〔日本はマイナス金利-0.1%~+0.1%〕しかし日本はマイナス金利(-0.1%)を続け、24年3月になってやっと0.1%から0.2%利上げしただけだった。

・このため日米の金利差が拡大し、「円売り/ドル買い」と「円キャリートレード(金利の低い円を借りて、ドル株、円株買う運用)」が増えた。

(5)〔株価高騰と超円安〕日経平均は4万台に上がったが、円安は1ドル151円になった。

この円安でよかったのは、
・ガイジンファンドの買い越しが続き、
・自社株買いが2倍に増えた株価です。

◎輸出と海外生産の以外の日本経済、金融、国民の実質所得、ゼロ金利の預金は、150円台の円安と、その円安がもたらしたインフレで全部が悪くなっています。

■9.問題は政府・日銀の認識の遅れ

問題は、政府・日銀がここに書いた認識をしていないことです。「円安=ドル買い」ですが、これを米国の株価のために是認または推奨しています。

東証では、ガイジンファンドの売買が70%を占めるため、「米国株上昇→ファンドによる日本株の買い越し増加→日本株上昇」という連鎖の構造があるからです。

〔1行でのまとめ〕
マネーの国際循環では、「金利差による円売り/ドル買い→金利が5%と高いなかで米国のマネー量が増加→米国株買い→株価上昇→ファンドの、金利が0.1%の円キャリートレードによる日本株、米国株の買い越し→米国株も上がり日経平均が4万円超え」という構造が作られています。

【バブル株価のリスク】
日米の、両方とも史上最高である株価上昇の構造は脆弱(ぜいじゃく)であって、リスクが高い。

1)米国株は、AIバブル(NVIDEAバブル:予想PERが75倍と極端に高い)という認識が増えると、米国株は急落します。
2)日本株は、限界があるガイジンファンド買い越しが、売り越しに転じると、急落します。

◎政府・日銀は、現在、「株価バブルの崩壊」を懸念すべき時期です。そのためにも、日米の株価バブル(日経平均4万円台)の国際資金循環を生んでいる過剰な円安(150円台)の修正に、向かわねばならない。介入の目標は、1ドル120円でしょう。期限は24年9月までです。

◎バブル株価が24年6月か9月から崩壊に向かえば、日本では1990年、米国では2000年と2008年のように、手がつけられなくなるからです。市場の買い手が消えます。

金利がゼロ%付近で、しかもインフレのなかでも金融緩和の日銀政策は、「ドル買いから円安防止のドル売り介入」に舵(かじ)を切る時期が来ています。

◎2013年以降の11年、米ドルを1年に20兆円~30兆円買って、過剰な円安を招いている円が日米の株価バブルを生んでいるからです。

「パーティーが盛り上がっている最中にパンチボールを引く」ことが、通貨の価値(=預金の価値)を守るべき、中央銀行のミッションです。

■10.岸田首相による国富(国民の預金)の、米国への振り向け
米国の投資ファンドの最大手、ブラックロック(受託運用資金は10兆ドル:1500兆円)のCEO、ラリー・フィンクは、23年10月に来日し、国賓用の「迎賓館」で岸田首相と会食しています。

本質がマネーの禿鷹(はげたか)であるフィンクの目的は、日本国民に増えているNISAのマネーを、ブラックロックの投資信託に誘いこむことです。FRBが22年3月から利上げとQT(量的縮小)をしているので、ジャパンマネーが必要になってきたからです。

3月20日にも再び来日し岸田首相と会食。前回の「詰め」でしょう。岸田首相の政策である「資産倍増の株式投資」を、ブラックロックの投資信託のポートフォリオに振り向けるためです。メディアと証券会社は「米国株が50%のポートフォリオである世界株(オルカン)」を奨めています。
(日経新聞の記事)
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=124&ng=DGXZQOUA219AH0R20C24A3000000

来日は、米国ファンドの海外営業ツアーです。岸田首相自身は、ファンドの営業を「卑屈な態度をとっている」とは思いもせず丁重にもてなし、ブラックロックの投資信託を日本国民が買うことを約束しています・・これはどういうことか。ラリー・フィンクはジャパンマネーを自分のものにしようとしているのです。

◎証券会社の販売係を接待する岸田氏は、日本の首相です。世界の首長は誰もやらない。米国の大統領が野村証券のCEOに、面会を申し込むでしょうか。約2年、支援金を求める世界ツアーをしていたゼレンスキーでもマネーを払うことになる営業マンの接待はしません。

こうしたことが「投資のジャパンマネーは米国が支配している」ということの現れです。岸田首相には、政策を米国に支配されているという意識はないのか。たぶんない。外務大臣だったときも現在も当然のことだからです。ドル投資信託に円を入れることは「円売り/ドル買い」になるので円安になる要素です。

ネットでは増税メガネと言われて気にしていた「岸田首相の頭の構造」はどうなっているのか。何を言われても応えない、鈍感力の首相ともいう。安倍首相には時折見えたエスプリはない。安倍元首相には「米国からの日本の独立」という目標もあったからです。

再び確認すれば、
・円安は、海外市場に売る輸出企業、海外工場の為替利益ですが、
・国内の、輸入品が高くなる輸入関連企業と、円所得の国民は為替差損で損をします。

「実効レートの長期罫線」から見えるように、日本経済が成長し企業と国民の所得が増える時期は、円高です(1970-1995)。日本経済が成長せず、国民の所得が増えなくなった1995年からは円安です。

火を見るよりはっきりしていますが、1985年から40年も円安を礼賛(らいさん)してきた政府、エコノミスト、メディアはこれに対して、どう答えることができるでしょうか。

ゼロ金利と円の増刷、その結果の円安ではGDPは成長しない。労働者の総数が減るなかで技術革新(働き方の変更)による人的生産性の上昇が必要です。

◎インフレに迫られた受動的な賃金の上昇(2024年春闘:約5%)による好循環はない。日本経済全体で生産性の5%上昇がないと、賃金の5%上昇を物価に転嫁するインフレが長期化するだけです。
 正当には、(1)生産性の上昇からの能動的な賃金上昇と、(2)円安からの脱却でなければならない。
(再掲:1970年から1995年の円高(2.5倍)、1995年から2024年の円安(1/2.8))
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

【後記の2点】
先号(正刊)の末尾に示した当方のメールアドレスですが、yosida@cool-nowledge.comと間違えて書きました。正しくは、yoshida@cool-knowledge.comであり、siにはhが入ります。

間違えたアドレスに送ると「宛先不明」のメールが来たはすです・・・多数おられるでしょう。申し訳ありません。

顧客の問題解決の方法を、サム・ウォルトンのストリーとして示した『経営原則100(改訂版:電子版のPDF 170ページ:データ量3メガバイト』の、正しいアドレスでの申し込みが、続いています。

メール添付で300通くらい送ったでしょうか。個人利用は、無料です。無料版の方にも、上記のhが入った正しいアドレスにメールで申し込んでいただければ、当方がメールを開けたタイミングで送ります。

〔訂正〕
前々号で「Googleの創業者ジェフ・ベゾス」と書きましたが、「Googleの創業者ラリー・ペイジ」が正しい。ジェフ・ベゾスはAmazonの創業者です。ただしジェフ・ベゾスは、Googleに出資しています。お詫びして訂正します。


【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は、進みましたか?
3.疑問な点は、ありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
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