… … …(記事全文3,293文字)イスラエルとユダヤ人は、常に存亡の危機を常に意識して生きてきた。その根底には長い迫害の歴史が横たわっている。「彼らは追い込まれ過ぎると何をしてくるかわからない」という筆者の懸念は、こうした歴史的文脈なしには理解できない。
●「殺られる前に殺れ」
古代から続くディアスポラ(離散)、中世ヨーロッパでの追放、19世紀のロシア帝国内での激しい反ユダヤ主義とポグロム(虐殺)、そして21世紀のナチス・ドイツによるホロコースト。これらユダヤ人の迫害の歴史は彼らに「二度と犠牲者にならない」という強烈な生存本能と、そのためにはいかなる手段も辞さない「非情」をもたらした。
<ユダヤ人“迫害の歴史”>
こうした歴史を背景に、ユダヤ人国家イスラエルは、国防軍(IDF)や諜報機関(モサド、シン・ベト、アマン)を駆使し、自国を脅かす敵対国の要人暗殺を国家政策として行ってきた。
<2020年12月18日 朝日新聞>
1972年9月、ミュンヘン五輪でパレスチナ武装組織「黒い九月」がイスラエル選手団を襲撃、人質となった選手ら11名全員が死亡する惨劇が起きた。これに対し、イスラエルは報復として「黒い九月」暗殺チームを結成(『神の怒り作戦』)、欧州各地で対象者を次々と葬り去ったのは有名な歴史的事実だ。
<2024年8月12日 プレジデントオンライン>
近年ではイランやハマスやヒズボラの指導者・幹部・核科学者らの暗殺が記憶に新しい。
<近年のイスラエルによる主な暗殺>
暗殺手法は狙撃や爆弾や意図的な事故といった物理的攻撃のほか、毒物や化学物質を使った暗殺もある。例えばPLOアラファト議長は病死とされてきたが、近年、放射性物質ポロニウムによる暗殺だった可能性が浮上している。無論、イスラエルの犯行が疑われている。
<2013年11月7日 AFP>
<2021年10月27日 朝日新聞 握手だけで暗殺する方法もある>
“お家芸”とも言えるイスラエルの暗殺や先制攻撃は、ユダヤ教の聖典「タルムード」の一節「汝を殺しに来る者がいれば、立ち上がって先に殺せ」にも深く通底している。「殺られる前に殺れ」という思想だ。
<2025年12月27日 ダイヤモンド・オンライン>
●不穏な予言
“お家芸”と言えば、偽旗作戦・自作自演も彼らの十八番(おはこ)だ。
1954年の「ラヴォン事件」は、エジプトで米国・英国施設を爆破し、過激派のせいにする計画だった。結果は失敗に終わり、政治的スキャンダルとなったが、イスラエルが国家存続のため欺瞞も辞さない姿勢を示した事例として語られる。







