… … …(記事全文3,305文字)※6月25日(木)分の先行配信です。
世界はひとまず「戦闘終結」の報に安堵し、原油市場のサプライチェーン回復に期待を寄せている。しかし、今回の合意はあくまで本交渉に入るための「暫定的な枠組み」であり、真の平和を確信するにはあまりにも不確定要素が多い。
●残る火種
- ①「60日間のタイムリミット」と交渉決裂のリスク
今回の覚書は最終合意ではなく、今後最長60日間の本交渉を経て正式な条約になる。米政府高官が強調するように、米軍の完全撤退や経済支援の実行は、イラン側が「ホルムズ海峡の完全開放」や「IAEA(国際原子力機関)の監督下での核物質処分」を実際にクリアしていくことを前提としている。
裏を返せば、この60日間の間に、濃縮ウランの希釈スケジュールや査察権限を巡って双方が折り合えなければ、いつでも合意は白紙に戻る。
<2026年6月12日 ザ・タイムズ・オブ・イスラエル>
また、米国内の「イランに甘すぎる」という猛反発に押され、トランプ政権が再び強硬姿勢に転じる、あるいはイラン側が資産解除の遅れに痺れを切らすことで、本交渉が空中分解するリスクも依然として残っている。
<2026年6月16日 EPC>
- ②「イスラエル」の動向
最大の懸念は、今回の覚書にイスラエルが公式な当事者として一切含まれていない点だ。ネタニヤフ政権にとって、レバノン(ヒズボラ戦線)での停戦を盛り込んだこの合意は、少なくとも表面上は、米国から「ハシゴを外された」形だ。
<2026年6月17日 ザ・タイムズ・オブ・イスラエル>
現在、イランやヒズボラに対する攻撃を支持するイスラエル国民も、そうでない国民も、国際社会からイスラエルを孤立させたネタニヤフに非難を集中させている。
<2026年6月16日 AP通信>
トランプがネタニヤフに対し、罵詈雑言を交えながら「いい加減にしろ」と激しい圧力をかけているとの報道もあるが、イスラエルがこのまま引き下がるとは考えにくい。合意を破綻させるため、あるいは自国の安全保障を守るという大義名分のもと、レバノンやシリアへの爆撃を継続、あるいは「イラン側から攻撃を受けた」という口実を捏造して軍事行動を強行する可能性は十分にある。
<2026年6月15日 AFP>
すると案の定、覚書署名の2日後の6月19日にイスラエルがレバノンを空爆、米国とイラン代表は急遽スイス行を保留した。米イラン間の本格交渉は初っ端から暗雲が立ち込めている。






