… … …(記事全文4,003文字)トランプ米大統領は米東部時間の14日、6月19日にイランとの戦争終結に向けた覚書に署名すると発表した。これを受けて、原油国際相場はバレル当たり80ドル台まで急落したが、世界経済不安が解消するわけではない。石油高騰は消費者物価を高止まりさせるというのが、2020年以降の経験則だ。日本の場合は消費者物価は半年から1年後にコスト高が反映される。日銀が需要を萎縮させる利上げに踏み切ると、スタグフレーション(景気停滞下の物価高騰)を招きかねない。
ことし1−3月の実質国内総生産(GDP)は輸出増が寄与して前期比0.5%増の伸びとなったが、内需の柱である個人消費は同0.3%増と上向き始めたが、勢いはまだ弱い。4月以降、米国・イスラエルとイランの紛争に伴うエネルギー価格高騰がそれまでの消費者物価上昇軌道をさらに押し上げる。下手するとスタグフレーション(物価高と景気停滞の連鎖)になりかねない。そうならないようにするための鍵は財政と金融政策にある。
ところが、日銀から市場関係者に漏れてくる情報を総合すると、植田和男日銀総裁は6月16日の利上げ、さらに年内の再利上げへと連続追加利上げに前のめりになっている。伝統的な中央銀行の考え方は、「パーティー会場が盛り上がる前に豪華なメーン料理を取り下げる」というのがある。モノやサービスへの需要が過熱しないように早めに金融を引き締めるというわけだが、需要が弱くても物価高なら何が何でも利上げで対処すればよいというのが植田日銀だ。
財政均衡主義のドグマに染まって財務官僚は景気に目もくれないというのが伝統だ。日本経済が平成バブル崩壊不況からようやく回復する兆しが現れた1996年、当時の橋本龍太郎首相に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標を掲げさせ、97年度には消費税増税、歳出削減、社会保険料引き上げの緊縮3点セットを実行させた。
