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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #104:経済は土地と資源の奪い合い(中編) #EV #ベネズエラ #シェールガス #アメリカ

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00223/20230326210000107126 //////////////////////////////////////////////////////////////// やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~ https://foomii.com/00223 //////////////////////////////////////////////////////////////// 第104号(2022年3月26日発行)、今回のラインアップです。 ①世界各国の地理情報  ~経済は土地と資源の奪い合い(中編)~ //////////////////////////////////////////////////////////////// こんにちは。 地理講師&コラムニストの宮路秀作です。 日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。 今回で104回目のメルマガ配信となります。 当メルマガは毎回、「マクラ」を付けているのですが、今号のメルマガのマクラを書いているさいに、「EUがエンジン車販売を容認することを決めた!」とのニュースが飛び込んで来ました。 Twitterで流れてきたので、興味深くリンク先を拝読しよう思ったのですが、日本経済新聞の有料記事でしたので、全文を読むことができませんでした。ということで、Wall Street Journalでチェックしようとウェブサイトで検索をしてみたのですが、このニュース、Wall Street Journalの「日本語版」には掲載されていません。一方で、「英語版」には記事があります。どんな理由あってのことなのでしょうか? ▼Germany, EU Reach Deal on Combustion-Engine Plan https://www.wsj.com/articles/germany-eu-reach-deal-on-combustion-engine-plan-9c14d115?mod=Searchresults_pos1&page=1 それはともかく、当メルマガではこれまで何度も、「EVへのシフトチェンジは、OPECプラスにエネルギーの主導権を握らせないためでしかない」と言い続けていましたが、それが顕在化してきた感があります。そして、このエネルギー主導権の奪い合いが、昨今の「新たなる冷戦構造」に繋がっている流れが見えます。 エネルギー問題は国家安全保障の最たる分野です。日本列島は地体構造上、原油や石炭、天然ガスの埋蔵に恵まれません。日本列島近海の浅海域ではメタンハイドレートが埋蔵されていると言われていて、この経済利用が可能となる日常が待たれますが、まだまだほど遠いようです。 さらに多くの日本人が「水はタダ!」と思い込んでいる節があるため、血眼になって水資源、そして水の供給地を確保することが理解できないでいます。中国が、水の供給地を確保して周辺諸国への影響力を高めようとせんがために「チベット」を奪い取ったことにも、きっと想像が及ばないのだと思います。水は低きに流れるわけですから、高いところを押さえれば、水の供給地を押さえたことと同意です。 日本列島は、エネルギー資源だけでなく、鉱産資源もまたほとんど埋蔵がありません。だからこそ、オーストラリアから鉄鉱石や石炭を輸入しているわけであり、オーストラリアだけでなく、日本とオーストラリアを結ぶ航路上に位置する東南アジア諸国との友好関係が何よりも重要です。 もちろん、中東地域から輸入している原油や天然ガスの輸送ルートもまた東南アジアを通過しますし、南アジアを寄港地としても利用することを考えれば、日本が友好関係を結ぶべき国が見えてきます。だからこそ日本は、「国内では使用できない」外貨を使って、海外へと投資しているわけです。悪くいえば「恩を売る」ことですが、良くいえば「日本からの投資によって経済開発が進み、そこに日本企業が参画できる道筋をつける」といえます。 日本は資源小国ですので、なかなか大国に翻弄されながら自国の利益を作り出さねば成りません。しかし、資源大国はエネルギー供給の支配権を求めます。そして時にそれを「外交カード」として利用します。「経済は土地と資源の奪い合い」で示されるのですから。 こうしたことが背景に存在すると考えて、大局を見ていく必要があろうというものです。ひいては、それが国際情勢を分析する一要因となるのですから。 それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。 よろしくお願いします! //////////////////////////////////////////////////////////////// ①世界各国の地理情報  ~経済は土地と資源の奪い合い(中編)~ 今回は、メルマガ第102号「経済は土地と資源の奪い合い(前編)」の続きです。 ▼#102:経済は土地と資源の奪い合い(前編) https://foomii.com/00223/20230312210000106610 現在、世界最大の原油埋蔵国がどこかご存じでしょうか? 世界最大の産油国となったアメリカ合衆国でしょうか? それとも広大な国土面積を有するロシアでしょうか? やはりペルシア湾に臨むサウジアラビアでしょうか?  答えは、上記の3か国のどれでもありません。現在、世界最大の原油埋蔵国は二位のサウジアラビアと僅差ではありますが、ベネズエラです。まずは最近のベネズエラにおける原油と政情について概観していきます。
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