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石井順也の世界情勢ブリーフィング

石井順也(元外交官、地政学ビジネスインテリジェンス、国際政治経済)

石井順也

世界情勢ブリーフィング 第540号 インド現代史(6):経済の自由化、二大政党の時代

ウェブで読む(※推奨):https://foomii.com/00187/2021040806000078670 2021年4月8日発行(通算第540号) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界情勢ブリーフィング https://guccipost.co.jp/blog/jd/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「インド現代史(5):インディラの暗殺、国民会議派一党支配の終焉」(3/31)の続きです。 https://guccipost.co.jp/blog/jd/?p=9202 前回は、1970年代後半から80年代のインド政治、すなわちインド初の国民会議派以外の政権であるジャナタ党政権、インディラ・ガンディーの第2次政権、ラジブ・ガンディー政権、ジャナタ・ダル政権について説明しました。 今回は、1991年から始まるインド経済の自由化、BJPの台頭とヴァジパイ政権(98~04年)、国民会議派の政権奪還とマンモハン・シン政権(04~14年)について解説します。 *********** インド現代史(6):経済の自由化、二大政党の時代 *********** ●経済の自由化 1991年、選挙で第1党に返り咲いた国民会議派は、タミル・ナドゥ州の地域政党AIADMK、ムスリム連盟、共産党との連立政権を発足させました。首相には、アンドラ・プラデシュ州首相や内相、外相、国防相を歴任したベテラン政治家ナラシンハ・ラオが就任します。 このときのインド経済は、巨額の債務と財政赤字に苦しみ、外貨準備も底をつくという危機的な状況にありました。特に91年の湾岸戦争に伴う石油価格の上昇が大きな打撃になりました。しかもソ連も崩壊したことで支援国も失いました。こうなると、もはやIMF支援に頼るしかありません。 そうした状況の中で、経済学者のマンモハン・シン蔵相(後に首相)の主導により、経済改革のプランが作成され、IMF融資を受けることになりました。インドの社会主義経済の自由化はラジブ・ガンディー政権の頃から徐々に始まっていましたが、ここで一気に進みます。経済は開放され、ルピーの切り下げ、輸出補助金の廃止、関税引き下げ、国営企業の整理など構造的な改革が次々に実行されました。 経済改革はある程度成功を収め、経済危機は回避されました。しかし格差は拡大して貧困層の頻発を招き、ラオ首相の支持は低下します。さらに、80年代後半から高まっていたヒンドゥー・ナショナリズムがこの時期に加速しました。 ヒンドゥー・ナショナリズムの運動は、民族奉仕団(RSS)の熱心な活動により、北インドから全土に拡大、特に経済自由化の恩恵にあずかれなかった低所得層の支持を広げました。モディ首相も元々はRSSの伝道師(プラチャラク)出身で、その献身的な活動が評価され、RSS、さらにBJPに転籍し、幹部に昇進します。モディについては次回、詳しく解説します。
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