ウェブで読む(※推奨):https://foomii.com/00187/2021021806000076800 2021年2月18日発行(通算第524号) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界情勢ブリーフィング https://guccipost.co.jp/blog/jd/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 米印首脳、4カ国枠組みによるインド太平洋の安全保障強化で合意(2月9日付ロイター) https://jp.reuters.com/article/usa-biden-india-idJPKBN2A90UM インドは21世紀の超大国と言われます。その人口は13億8,200万人、世界1位の中国(14億人)に次ぐ圧倒的な規模ですが、2027年には中国を抜いて世界1位になる見通しです。しかも平均年齢が29歳と若く、人口ボーナス期(生産年齢人口が従属人口の2倍以上となる期間)は2060年まで続く見通しです。 その経済は、巨大なポテンシャルをもちながら、長年にわたる閉鎖的・硬直的な体制に阻まれて十分に発揮できず、中国とほぼ同じ時期(91年)に経済開放路線に舵を切ったにもかかわらず、中国の高成長とは対照的に、伸び悩みました。中国とインドの一人当たりGDPは、91年時点ではほぼ同じでしたが、現在は、中国が1万ドルを超える一方、インドは2,000ドル程度と5倍もの差がついています。 一方、2000年代には、「BRICs」とも言われたように、高成長の時代が到来しました。その後、スタグフレーションに陥った時期もありますが、14年に発足したモディ政権は、成長重視路線を打ち出し、規制緩和とインフラ整備を進め、外資の呼び込みに成功しました。世界の企業・投資家はインドに熱い視線を向け、日本企業の進出も進みました(05年以降、進出日系企業数は5倍に増加)。 先月のUNCTADのレポートによれば、20年の世界全体の海外直接投資はコロナ禍によって前年比▲42%と大幅に落ち込む中、インドは+13%と大幅に増加しました。デジタル分野への投資が大部分を占めますが、中長期的なインドの成長への期待を示す結果といえます。 外交レベルでも、インドは「大国」としての存在感を高めています。「インド太平洋」は米国、日本、さらに最近では欧州にとっても重要なコンセプトになり、これら西側諸国との関係強化が進んでいます。日本にとっても、世界最大の民主国家であるインドへの信頼と期待は高く、近年は「インド太平洋」とともに「日米豪印」が日本外交の重要な柱になっています。 このように、世界的にも日本にとっても極めて重要な存在となったインドですが、実際のところ、極めて複雑で分かりにくい国です。知っているようで知らない面が多々あると思います。 近年こそこれだけ関係が深まっていますが、日本にとってインドは、長い間、「遠い国」でした。地理的には同じ「アジア」で(といっても東アジアではないので、本論でも述べるとおり、かなり違うのですが)、文化的には仏教発祥の地であり、戦前からの関わりもあるので、親近感をおぼえる人も多いと思います。しかし、政治経済面でのつながりが深いとはいえませんでした。 私は2000年前後に外務省のアジア局にいたのですが、このときのインドは、経済的にも戦略的にもまったく重視されておらず、98年には核実験もあり、どちらかといえば「面倒な国」というイメージでした。アジア局の中でも、中国課と北東アジア課(朝鮮半島担当)は「一軍」、東南アジア担当課は「二軍」、南アジア担当課は「三軍」といわれたものです。 しかし、その後のインドの重要性の高まりは冒頭述べたとおりです。特にこの数年間、私は毎年のようにインドを訪問していますが、行くたびにその目覚ましい変化に驚きます(なお私が初めてインドに行ったのは97年でした)。出張では、デリー、ムンバイ、チェンナイといった大都市のみならず、地方の各地をまわり、現地の生の情報を集めてきました。そうした経験も踏まえつつ、インドの現代史と今後を見通すポイントをお伝えしたいと思います。 *********** インド現代史(1):インドの世界… … …(記事全文6,393文字)
