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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.825:イラン戦争の背後にあるトランプを動かすユダヤ人ネットワークとは?(前編)


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.825 2026/03/31

イラン戦争の背後にある

トランプを動かすユダヤ人ネットワークとは?

 (前編)

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 トランプがなぜ対イラン本格戦争に踏み切ったのか? それは、誰もが知るように、イスラエルとは切っても切れない関係と、その背後のユダヤ人ネットワークにあるからだ。ただ、アメリカでも日本でも、メディアは、ことユダヤに関しては自粛的にタブーになっていて、ほとんど報道されない。

 そこで、今回は、アメリカのユダヤ人ネットワークとトランプとイスラエルのズブズブの関係について、整理して述べてみたい。

 *今日、明日の2回に分けて配信します。

   *写真:Miriam Adelson and Trump © The New York Times

 [目次]  ─────────────

■東部で差別に会い西海岸ロサンゼルスへ

■1970年代以降、ユダヤ人差別、反ユダヤ主義は薄れる

■ハーバー⁠ド大学弾圧は、反ユダヤ主義撲滅のため

■成功したユダヤ人はユダヤ人組織・団体に多額の献金

■日本でも大問題になったSWCの猛抗議

■杉原千畝像ペイント事件はヘイトクライムか?

■なぜユダヤ人は強固なネットワークをつくったのか?

■「AIPAC」は全米最強の「親イスラエル」ロビー団体

■なぜ、ミアシャイマー教授は主流メディアに出ないのか

■トランプ大統領を誕生させた女性ミリアム・アデルソン

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■東部で差別に会い西海岸ロサンゼルスへ

 

 私にはロサンゼルスで長く世話になった先輩女性記者がいて、彼女を通してアメリカのユダヤ人、ユダヤ人ネットワークの状況を教えられた。彼女の亡き夫が、ロシアがルーツのアシュケナージ系のユダヤ人だったからだ。

 

 彼の父親はロシア革命後にアメリカに渡り、彼はニューヨークで生まれ育って、その後、ロサンゼルスでテキスタイルのビジネスで成功した。そして、マリブに邸宅を構えた。その邸宅に招待され、それまでの彼の苦労話を聞くたびに、私はユダヤネットワークの強さを改めて思い知らされた。

 

 彼が西海岸に来たのは、東部ではユダ人差別が根強いからだった。なにしろ、20世紀半ばまで、ユダヤ人は名門パブリックスクール、名門大学には入学できなかった。そのため、西海岸に移住したユダヤ人家族は多い。彼の一家もそうだった。

 

■1970年代以降、ユダヤ人差別、反ユダヤ主義は薄れる

 

 いまは、NYでもユダヤ教徒の丸い帽子(キッパkippah / ヤルムルカyarmuke)を被り、黒装束で歩くユダヤ人をよく見かける。しかし、半世紀前まではそうではなかった。彼らはコミュティの中でだけ、ユダヤ文化で暮らしていた。私が初めてNYに行った1970年代は、まだそんな風潮が残っていたが、その後、ユダヤ人差別(反ユダヤ主義:アンティセミティズム:antisemitism)は急速になくなった。

 

 それは、ユダヤ人がアメリカ社会の中枢に進出し、政治、経済、金融の主導権を握るようになったからだ。ユダヤ人の力が増すとともに、反ユダヤ主義やユダヤ人差別、ヘイトクライムと闘うユダヤ人の組織、「名誉毀損反対同盟」(Anti-Defamation League)、「ユダヤ連盟」(Jewish Federation)、「米国ユダヤ人委員会」(American Jewish Committee)などの運動も活発化し、ユダヤ人差別はほぼなくなった。

 

 しかし、トランプ第二次政権になって、一部復活した、とくに、イスラエル・ハマス戦争が起こって以来、反ユダヤ主義運動は強くなった。

 

■ハーバー⁠ド大学弾圧は、反ユダヤ主義撲滅のため

 

 トランプは、筋金入りのユダヤ・サポーターである。イラン戦争でそれは明らかだが、2025年4月からのハーバー⁠ド大学の弾圧では、それが如実に表れている。

 

 トランプは、キャンパス内で、親パレスチナ派の抗議活動が活発化し、ユダヤ人学生に対する嫌がらせメールや罵倒、暴力行為が著しいとして、大学への補助金(20億ドル超)の凍結・打ち切りを表明した。さらに、留学生の受け入れ資格停止措置も発動した。当然だが、大学側は猛反発した。

 

 一時、和解かと観測されたが、トランプ政権と大学側の闘争はいまも続いている。

 つい先日、3月20日、トランプ政権は、ユダヤ人学生の保護を怠ったとの理由でハーバー⁠ド大学に数十億ドルを請求する訴訟を提起した。トランプ政権は、2月にも、連邦政府の調査に⁠十分協力しなかったとして同大を訴えている。

 

 世界中から優秀な学生が集まるアメリカのトップ大学は、アメリカの国力の源泉である。それをユダヤ擁護のためにだけ弾圧するという、ありえないことをトランプは平気で行っているのだ。

 

■成功したユダヤ人はユダヤ人組織・団体に多額の献金

 

 ロサンゼルスには、多くのユダヤ人の組織・団体の本部や支部がある。前記した知人のユダヤ人は、そうした組織・団体に多額の献金・寄付をしながら、民主党にも多額の献金を行っていた。ロサンゼルスで行われる民主党の大会には決まって献金しては夫婦で参加していた。私もよく誘われた。

 

 ユダヤ人は民主党支持者が多いが、共和党支持者もいる。とくにトランプが第一次政権のときにエルサレムの首都認定など、強固な親イスラエル路線を取ると、共和党支持に鞍替えする人間も多く出た。

 

 ロサンゼルスにあるユダヤ人組織・団体の本部および支部の主なものは次の通りである。

 

「名誉毀損反対同盟」(Anti-Defamation League:ADL)

「米国ユダヤ人委員会(American Jewish Committee:AJC)

「ユダヤ連盟評議会」(Council of Jewish Federation:CJF)

「正統派ユダヤ会堂連合」(Orthodox Union:OU)

「米国ヘブライ会堂連合」(Union of American Hebrew Congregations:UAHC)

「世界ユダヤ人機構」(World Zionist Organization:WZO)

「米国シオニスト組織」(Zionist Organization of America:ZOA)

「アメリカ・イスラエル公共問題委員会」(The American Israel Public Affairs Committee::AIPAC)

「サイモン・ウィーゼンタール・センター 」(Simon Wiesenthal Center,:SWC)

 

… … …(記事全文6,362文字)
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