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山田順の「週刊:未来地図」
No.822 2026/03/10
「有事の金」はいつまで続く!
上がり続ける金についていま知るべきこと
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イラン戦争が勃発して、金価格が一時的上昇したが、その後下落したまま、あまり動かなくなった(先週の動き)。はたして、今後どうなるのか? 投資家にとっては大いに気になるところだが、予想しても仕方ない。
なぜなら、いまではAIが世界中の投資家、金融機関の情報を拾ってまとめてくれるからだ。ただし、ズバリ、上がるとか、下がるとかは明言しない。
というわけで、今回は、現在の金価格に関する有益な情報をいくつか拾ってお伝えしたい。
[目次] ──────────────
■よく言われる「有事の金」は本当なのか?
■AI( Gemini)に聞いてみた今後の金価格
■世界中の中央銀行が金を買い漁っている
■ドイツで議論沸騰「アメリカから金を取り戻せ
■アメリカは本当に世界一金を持っているのか?
■「金本位制」の復活を望む声がある
■「金は有用性のない鉱物、使い道がない」
■金を買うよりゴールド・フィールズの株を買え
■金はどこに保管すればいいのか?
■なんと1万2595ドルまで上昇するという
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■よく言われる「有事の金」は本当なのか?
2020年から金価格は、歴史的な上昇トレンドに入った。それまで、ドル建て金価格(XAU/USD)は1オンスあたり1500〜1600ドルだったが、コロナ禍で2000ドルを超えると、昨年は年初2700〜2800ドルだったのが年末には5000ドルに迫り、年明けに史上初めて5000ドルを突破した。
コロナ禍、ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争、トランプ関税、ベネスエラ政権打倒、イラン戦争と、これだけ「有事」が続けば、当然という声が強い。すなわち「有事の金」である。
しかし、1月末に史上最高値の5600ドル超を記録すると、一時5000ドル割れへと数%の急落を記録。現在は、戻して5100〜5200ドルで推移している。
金価格はドルと逆相関の関係にあるとされ、一般的にドル安のときに上昇しやすいという。となると、イラン戦争からドル高傾向になったので、「有事の金より有事のドル」ということに、いまはなっているのか。
■AI( Gemini)に聞いてみた今後の金価格
ともかくこんな状況なので、とりあえず、AI(Gemini)に次のように質問してみた。
[質問]金のドル建て価格は、 今後、 2026年3月以降、どうなりますか?
[Geminiの回答]
2026年3月以降の金ドル建て価格は、地政学リスクの継続や中央銀行の買い支えにより、高値圏で推移・上昇する見通しが強いです。ゴールドマン・サックスは2026年末に5400ドル、JPモルガンは6300ドルへの上昇を予想する一方、一時的な調整や下落リスク(3500ドル予想)を指摘する声もあり、乱高下しながらも構造的な上昇傾向が続く可能性が高いです。
AIが金相場に関して、どのように学んでいるのか、また、どのように情報を仕入れているのかはわからない。ただ、次のように、教科書的に、上昇、下落要因をまとめてくる。
上昇要因:FRBの利下げ浸透。利子を生まない金の相対的魅力が増し、投資資金が流入しやすい環境。
・中央銀行・ETFの需要:堅調な需要が継続。
・地政学リスク・世界経済の不透明感:安全資産としての需要を喚起。
・ドル安:ドル建て金価格はドル安で上昇しやすい。
下落要因:米国の経済成長・AI革命:米ドル高、金利高止まりで金保有のメリットが低下する可能性。
・米雇用統計:予想以上に強い内容で利下げ期待が後退すると、金利上昇で下落。
・ドル高で下落圧力。
というわけで、次からは、欧米メディアをチェックして、これはと思う金の情報を、順次、紹介していきたい。
■世界中の中央銀行が金を買い漁っている
WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)によると、各国の中央銀行は、金の保有量を増やし続けている。
中国をはじめとして、ポーランド、トルコ、インド、アゼルバイジャン、カザフスタンなどの中央銀行が、近年、積極的に金を買い漁っている。
2025年末時点のデータによると、世界で最も金を保有しているのはアメリカで、約8133トン。次いでドイツが約3351トン、IMFが約2814トン、イタリアが約2451トン、フランスが約2537トン、ロシアが約2337トンと続く。中国は7位で、約2279トンとされる。(ちなみに、日本は約845トンで10位前後)
中国人民銀行は、2024年11月から金購入を再開し、積極的に買い漁り、2026年1月末時点で、公式金保有量は約2307トンに達した。これは、15カ月連続の増加だ。
■ドイツで議論沸騰「アメリカから金を取り戻せ」
ドイツ国内では最近、世界第2位の金保有量をめぐり、アメリカに預けている分を「いますぐ本国へ戻すべきだ」という議論が沸騰している。
報道によると、ドイツは金保有量の約37%、時価にして約1700億ドル相当(2026年時点の金価格高騰下ではさらに高騰)を、ニューヨーク連邦準備銀行の地下金庫に預けている。
これは、冷戦期にソ連の戦車部隊が西ドイツへ侵攻するリスクに備えた「安全保障上の避難」として行われた措置。しかし、いまや、「その必要はない」というのだ。
プーチンより、トランプのほうが怖い。EUにGDP5%の防衛費増を要求、ウクライナ支援を押し付け、グリーンランドを寄こせと言う。
ドイツ国内では「もはやアメリカは信頼できる保管先ではない」との危機感が広まっている。
■アメリカは本当に世界一金を持っているのか?
前記したように、アメリカは世界最大の金保有国で、WGCによれば、約8133トンの公式金準備を持っている。しかし、「本当にそれだけの現物が存在するのか」という不信感は、すでに何十年も語り継がれてきた。
アメリカ政府によると、保管場所は、ケンタッキー州フォートノックスの米国造幣局保管庫がメインで、そのほかニューヨーク連邦準備銀行やウェストポイント造幣局などに保管されているとされている。
2025年には、イーロン・マスクが、DOGEを任されたことから、フォートノックスの金準備の「監査」を求めたが、受け入れられなかった。
そのため、「実際には売却・放出されており、中身は空ではないか」「金メッキのタングステンにすり替えられているのではないか」などの噂が広まった。
いずれにしても、監査されたことはないので、実際に監査が行われ、金塊が不足していたなどという結果になれば、今世紀最大の金融スキャンダルとなり、ドルは一気に暴落する。
