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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.799:高市新首相は亡国への道か? トランプ80兆円献上と防衛費増額という難関


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 山田順の「週刊:未来地図」                 

 No.799 2025/10/07

高市新首相は亡国への道か?

トランプ80兆円献上と防衛費増額という難関 

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 初の女性首相誕生に湧いている場合ではない。女性首相誕生自体は喜ばしいことだが、日本が置かれている危機的現状を見れば、彼女はかえってそれを悪化させてしまう可能性が高い。

 新首相を待ち受けるハードルは高い。目前に迫ったトランプ大統領の来日で必ず要求される、石破・赤沢コンビの“置き土産”80兆円をどうするのか? それに防衛費増額GDP比3%を加えれば、円安=物価高で、国民生活はますます苦しくなる。

 メディアはさかんに、高市は安倍政治を継承すると言っているが、アベノミクスは大失敗の経済・金融政策である。そして、安倍政治とは「親米保守」である。トランプにノーなどとけっして言えないだろう。

 写真:自由民主党HP

[目次]  ─────────────

■女性差別国家で「ガラスの天井」が破られる

■やはり派閥政治、麻生太郎がキングメーカー

■敬愛するサッチャーよりリズ・トラスになる

■アベノミクスが失敗とは思っていない不思議

■サナエノミクスは大多数の一般国民にとって悪夢

■トランプが日本に迫る80兆円の支払い

■通貨スワップを利用すれば金利支払いが生じる

■すべての面で日本が口を挟む余地はない

■結局、保有米国債の半分を巻き上げられる

■間違いなく要求される防衛費増額GDP比3%

■高市新政権が目指すべきなのは「小さな政府」

■トランプ関税をめぐる合意の「見直し」を主張 

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■女性差別国家で「ガラスの天井」が破られる

 

 いまだに想定外の高市早苗新総裁(=新首相、64)の誕生に、メディアは湧いている。これで日本が大きく変わる、復活するのではないかと-----。

 しかし、それはメディアの手前勝手な思い込みだ。彼女は日本にとって最悪の選択、亡国の道である可能性が高いと、私は断言する。

 

 ただ、それを述べる前に、初の女性首相誕生の意義を確認しておきたい。まずなんといっても、初の女性首相であること。次に、世襲、官僚出身議員が多いなかで、まったくの民間、庶民層出身から首相にまでなったこと。

 これは、まさに、日本の戦後政治史の大転換ともいうべき出来事と言えるだろう。

 

 なにしろこの国は、WEFのジェンダーギャップ指数で世界118位、女性議員比率で140位である。そんな、とんでもない女性差別国家で「ガラスの天井」が突き破られたのである。

 しかも、歴代首相といえば、このところ、ほぼ、2世、3世の世襲議員が派閥と当選回数序列で選ばれてきた。それが崩れたのである。

 

■やはり派閥政治、麻生太郎がキングメーカー

 

 しかし、だからこそ言っておかねばならないことがある。それは、初の女性首相誕生といっても、男女平等思想、フェミズムが彼女をトップにしたわけではないことだ。

 彼女が選ばれたのは、保守、それもタカ派的言動が受け入れられたからである。参政党の躍進などで、社会全体の保守化、右傾化が進んだからである。

 

 さらに、小泉進次郎との逆転劇を見ると、自民党がまだまだ派閥による旧体制を引きずっていることがわかる。なぜなら、ただ一つ残った派閥「麻生派」のドン、麻生太郎(85)がキングメーカーだったからだ。つまり、高市新首相を誕生させたのは、麻生太郎に他ならない。

 

 さすがに、長老、政局の読みだけは長けている。決選投票で自身が率いる麻生派議員43人に高市支持の号令を出し、国会議員票で小泉をねじ伏せた。この結果、高市は麻生に人事を委ねることになり、麻生の義理の弟、鈴木俊一(鈴木善幸元首相の息子、72)が幹事長に決まった。

 

 この人事は、麻生にとって狙い通りのことである。なぜなら、幹事長は公認権を持っているので、次の衆院選で麻生は安心して息子に地盤を禅譲できるからだ。

 小泉・菅義偉連合の勝利だったら、麻生は完全に力を失っていただろう。

 

■敬愛するサッチャーよりリズ・トラスになる

 

 さて、以上は前振りで、ここからが本題である。

 高市早苗の目標は、「鉄の女」と呼ばれた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーになることだという。これまで彼女は、度々、サッチャーを敬愛していると述べてきた。

 しかし、その政治姿勢はまったく違う。

 

 サッチャーは、新自由主義に基づき、社会主義国家化した英国を改革した。すなわち、電話、ガス、水道、航空、自動車などの国有企業の民営化と規制緩和を断行し、金融自由化を推し進め、英国社会を根本から改革した。

 ところが、高市は新自由主義と相入れない保守、それもタカ派である。

 

 とくに金融・経済政策に関しては、金融緩和と積極財政を唱えているので、サッチャーというより、2022年に英首相に就任しながら、わずか1カ月半で辞任したリズ・トラスではないかと、ブルームバーグのコラムニスト、リーディー・ガロウドは揶揄している。

 実際、これまでの彼女のスピーチ、インタビューなど振り返れば、この指摘は当たっている。

 

■アベノミクスが失敗とは思っていない不思議

 

 高市の保守タカ派姿勢を危惧する、あるいは批判する声は、自民党内にも野党内にもある。選択的夫婦別姓と同性婚に反対、靖国神社参拝、対中国問題、外国人問題などでの彼女の姿勢が、その危惧と批判の矛先だ。つまり、「高市は危険だ」というのだ。

 

 しかし、そんなことより、なんと言っても金融・経済である。「失われた30年」いや「40年」を続けるこの国をどうやって立て直すのか? 自身のスローガン「Japan is Back」をどう実現するのか?というと、これが、アベノミクスの継承だから、最悪と言うしかない。

 

 全メディアが、高市は安倍晋三元首相の「申し子」「愛弟子」と言い、アベノミクスを継承すると言っている。だから、本当にそうなるのだろうが、アベノミクというのは大失敗に終わった金融・経済政策である。それを繰り返せば、結果は明らかだ。

 

 不思議というか、無知というか、高市はアベノミクスが失敗だとは思っていない。なぜ、日本経済がここまで衰退し、財政が逼迫しているのかわかっていない。アベノミクスによって、いくらインフレになろうと、金利を上げられなくなったことを理解していない。

… … …(記事全文7,046文字)
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