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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.000: 米大統領選の最大の争点となった「移民問題」、トランプ断然有利とされるが大波乱も!


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              山田順の「週刊:未来地図」                 

                           No.711 2024/03/12

         米大統領選の最大の争点となった「移民問題」

     トランプ断然有利とされるが大波乱も!

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  最近つくづく思うのは、このままではアメリカは本当におかしくなってしまうということだ。たとえば、ニューヨークは、大量の不法移民の流入で、また1980年代のような犯罪都市に逆戻りしている。万引き、強盗が横行し、暴行事件、殺人事件も毎日のように発生している。

 「バイデンvsトランプ」の大統領選挙で、最大の争点が「移民問題」となっているのも、こうした治安の悪化を思えば納得がいく。

 はたして、アメリカはこの問題を解決できるのだろうか? そして、大統領選挙はいったいどうなってしまうのだろうか?

[目次]  ─────────────────────

■NYがゴッサムシティだった1980年代

■「不法移民」と「万引き天国」が犯罪の温床

■バイデン政権になって不法移民が急増

■南米激増のなか、中国も2年前の50倍に

■不法移民はNY到着後、どうなるのか?

■難民、亡命者保護はアメリカの義務

■犯罪の増加に州知事も市長も規制を強化

■バイデンが「不法移民」発言を謝罪

■トランプが批判「この国は狂っているのか」

■最年少女性議員ケイティ・ブリットの演説

■移民問題が大統領選挙の最大の争点に

■トランプ有利だが、左右するのは無党派層

■年明けまで決まらない大波乱の可能性も

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■NYがゴッサムシティだった1980年代

「夜、地下鉄に乗ってはダメ。地下道も歩いてはダメです。映画館、ディスコも行かないほうがいい。そう、フォーティセカンド(42th)には、絶対行かないでください」

 1980年代、ニューヨーク(NY)に行くと、あれこれ手配してくれた現地代理店の人間から必ずこう言われたものだ。当時のNYは、バットマン映画に描かれたような「Gotham City」(ゴッサムシティ:衆愚の街)で、どこに行っても悪の香りが立ちこめていた。

 フォーティセカンド界隈にはポルノショップが軒を連ね、フッカー(売春婦)がたむろしていた。映画館に入れば、マリファナの匂いがたちこめ、コケインで完全に出来上がっている人間もいた。

 まだ20代後半だった私は、代理店の人間の言うことを無視して、そういうところに、NY在住の友人とむしろ積極的に出かけた。ジェイ・マキナニー(Jay McInerne)の小説『ブライト・ライツ・ビッグ・シティ』(Bright Lights, Big City)にはまっていたから、そういうNY生活に浸りたかった。

 ワシントンスケアを歩けば売人が声をかけてくるので、マリファナを買い、その足で近くのディスコ「パラディウム」(Palladium:現在はニューヨーク大学の寮になっている)に行ってそれを吸ってはグループで楽しんだ。そんなあるとき、黒人グループに脅され、カネを巻き上げられたこともある。

 遊びたい一心、好奇心いっぱいだったので、夜の地下鉄にもよく乗った。車両はどこもかしこも落書きで埋め尽くされ、物乞いとホームレスがホームや車内をさまよっていた。

 そんな光景を昨日のように思い出すが、最近のNYは、まさに、あの時代に逆戻りしてしまったと思えることばかりが起こっている。

■「不法移民」と「万引き天国」が犯罪の温床

 2月末、タイムズスクエアの路上で、8人の男たちがNYPD(NY市警察)の警官2人に殴る蹴るの暴行をし、5人が逮捕される事件が起こった。それ以前、同じくタイムズスクエアで15歳の少年による発砲事件が起きている。タイムズスクエアのような人が大勢集まるところに限らず、市内のいたるところで、また、地下鉄のホームや車内でも暴行事件が頻発している。

「NYタイムズ」の記事によると、今年1月の地下鉄での犯罪発生件数は昨年の同時期よりも45%も増えているという。

 このような事件の引き金になっているのが、「万引き天国」という現状だ。なにしろ、万引きの大半は軽犯罪扱いで、重罪として起訴するには、窃盗額が1000ドルを超えなければならい。つまり、起訴できないので、警察は逮捕しなくなってしまった。その結果、スーパー、デパート、リテイルストアではショーケースに鍵をかけるなどの自衛策に出るようになった。しかし、それでも、万引きは減らない。

 前記した15歳少年の発砲事件も、万引きの現場を警備員に見つかったためで、警備員とそばにいた観光客が銃で撃たれてしまった。

 この少年はベネズエラからの不法移民で、昨年9月にNYに送られて来て以来、移民保護施設となったホテルで生活していた。1月にブロンクスで起きた武装強盗の容疑者でもあった。また、警官2人に殴る蹴るの暴行をして逮捕された5人も、不法移民だった。

… … …(記事全文8,697文字)
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