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渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

第3119回 パーティ券問題と派閥問題徹底解説 その1
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★パーティ券問題 派閥のパーティ券をめぐる問題で、東京地検は派閥の宏池会(岸田派)清和研(安倍派)志帥会(二階派)会計責任者と二階氏の秘書、清和研の金額が5000万円近い議員3人を立件しました。議員に関しては、金額が大きい三人の立件にとどまりました。 この問題ですが、もともと政治資金規正法は、立証が難しい贈収賄などを形式犯として立件するためのもので、不記載だけでは公判維持が難しいといわれています。時効は5年、修正可能期間も5年、過去においては億単位の修正がなされても、立件されなかったわけです。不記載側からすれば、なぜ今になって問題にしているのかということになるのでしょう。

 そして、政治資金には「政務活動費」というものがあります。これは政党が議員に活動用に配るお金で、記載義務もなく、その利用目的は限定されていません。安倍派の主張は、政務活動費と理解していたというものです。 しかし、「政治資金は政治目的以外に使えません」個人的な利用はできないのです。少額であれば個人利用か政治目的か判断がつかない。ですから、今回は5000万円近い金額の人を立件したのだと思います。

 

 そして、この問題は大きな波紋を広げます。東京地検による立件の一段落を受けて、岸田総裁は自らの出身派閥宏池会の解散に言及します。これはぶら下がり会見の場での出来事であり、あまりに突然の出来事でした。私が確認した限り、この件に関して、岸田総理と林官房長官以外知らなかった模様です。それも確定ではなく、林氏に打診をしていた程度だったといわれています。

 この問題は「派閥が悪いわけではなく、不適切な資金の取り扱いをしていた事が悪い」のであり、派閥をつぶせばよいという話ではありません。また、適正な運用を行ってきた派閥もあり、一種の問題のすり替えといってもよいでしょう。しかし、これが報じられたことで派閥の解散は一種の既成事実となってゆくわけです。

 これを受けて、二階派は解散を決めました。しかし、二階氏は解散の決定にあたり、宏池会の解散が理由ではなく、派閥の意志で決めたとくぎを打ちました。二階氏は高齢化と後継者問題を抱え、自らの引き際を考えていたといわれています。また、側近の林さんも同様であったといわれているわけです。そして、この流れは最大派閥清和研にも波及します。継続を模索する安倍派と対立する福田派という構図の中で、福田氏は派閥の解散を主張、同時に、自らのグループの立ち上げを宣言したのです。ある意味、これはクーデターだったといえます。 そして、森山派は派閥の政治団体としての解散を決めました。それはあくまでも「政治団体」としてのものにすぎません。


 派閥と政策集団、グループ何が違うのかといえば、「派閥」は政治団体として登録されており、一定の法人格を持ち、銀行口座を作るなど法律行為が可能です。つまり、お金を集めて独自の活動が可能です。それに対して、政策集団やグループは政治団体としての登録をしてもしなくてもよく、政治団体登録していなければその活動に制限が出るというだけの話です。但し、任意団体のままでも政治資金パーティはできますし、1000万円以下なら政治資金規正法の制限を受けず、それを超えた場合、特定団体としてみなし政治団体となるというだけの話です。また、政策集団やグループのままでも資金集めができないわけじゃない。裏技はいくらでもあるのです。 逆に政治団体登録がなくなることで、地下化し政治資金の不透明化が起きてしまうのです。実はこちらの方が大きな問題なのです。

 

 現在の自民党の派閥には、①政策集団(政治思想の近い人が集まる)②一定の人事権③議員への資金支援 という大きな3つの役割があります。国民政党であり400人近い大所帯を抱える自民党では、派閥が党内政党の役割を果たしており、総裁選で疑似的な政権交代を果たしてきた経緯があります。思想的にも右から左まで幅広く、極右と極左がいないのが自民党で、野党は極右と極左という構図で批判だけで政権担当能力を持っていない。


 ①政策集団としての派閥、リベラルといわれる宏池会と右派の清和研では、物事の考え方が大きく異なります。どちらが政権をとるか、又は支えるか、これらの組み合わせで政策メニューも大きく対立するわけです。民主主義は数であり、党内議論も数の論理で進む。かつての中選挙区制度では、同じ選挙区に自民党の議員が複数立候補していました。このため、派閥が一種の政党として大きな役割を果たしていたわけです。


 ②人事権 国会議員になった場合、どこかの委員会に属す必要があります。派閥の人数に合わせ委員会ごとの人数割り当てが行われ、何処の委員会に属すかは派閥にゆだねられます。また、委員会に並行する形で自民党の部会が存在し、所属委員会と同じ部会に入るわけです。例えば国会の厚生労働委員会に属する議員は、自民党の厚生労働部会に所属するのです。

 なぜ、このようなことをするかといえば、一つの委員会に一つの派閥が集中すれば、その分野の議論を独占できてしまうからだといえます。

 そして、もう一つの人事権が「大臣推薦」です。内閣が一つの派閥に独占されないように、派閥ごとに人数を決め、派閥が作る推薦リストに合わせ大臣を任命する。確かにこれは若手などに評判が悪い制度ですが、経験を経た人が大臣になるという意味では有効でもあります。また、最終的人事権は総理にあり、派閥のリスト通りにきめるというわけでもありません。


 ③金 新人若手議員は、地盤が弱い議員も多く、人脈や後援者を得るのも難しい。これを支援するのも派閥の役割であり、派閥の領袖や先輩議員が人を紹介し、後援者を与えるわけです。また、派閥はそれぞれ事務所を保有しており、その維持費を自ら稼がなくてはいけません。このために行われるのが派閥のパーティであり、余剰分を議員に分配していたのが今回の問題の本質です。


 文章量が多いため、派閥問題 はその2で解説します。


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