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＜972号：速報：米国中間選挙とトランプ政策＞

2018年11月07日：上院では共和党、下院では民主党

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著者：Systems　Research　Ltd. Consultant吉田繁治
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バリから戻りました。空港に着いたとたん、寒く感じくらいの、爽やかな秋の日本の大気でした。バリは雨季で、湿度が高く暑かった。気候と風土は、人びとの活動と文化に、思いのほか強く影響しています。

【新興国】
北欧の高質なインテリアは、寒さと弱い日照がもたらしたものでしょう。バリには、葦のように見えるヤシの繊維の屋根をふいた、壁のないレストランも多い。海と林は、価格のない財です。ジャングルには、農耕のように働かなくても、食物があります。それが、人びとの価値観と共通の行動様式の、基礎文化になる。

農耕と職人生産だった経済を、資本主義により工業化（産業化）した産業革命は、東南アジア全域には、起こらなかった。1人当たりの所得で日本を超えているシンガポールは、立地の優位を活かした自由交易と、金融都市になっています。バリは観光客へのサービス経済です。400万人の住民の60％は、観光業に従事するという。

新興国の経済が、米国、欧州、日本からの借り入れ（対外負債）で成立していることが、ここでもよく分かります。長期金利が3％台に上がった米国が、貸金を本国に還流させる「ドル買い/ルピア売り」を行うと、通貨危機から経済危機になる。

2018年のインドネシアルピアは、ドルに対して17％下がっています。株価のインドネシア総合も、11％安です。

【米国中間選挙】
書いている最中に、中間選挙の開票が始まりました。一般に、中間選挙では、野党が勝つことが多い。しかし、今回はトランプの、関税と、イランの経済封鎖など、国際政策への「ノー」の意思表示になるので、選挙結果は、日本政府とわれわれにとっても重要です。

出口調査では、トランプ政権への賛成は44％、反対は55％です。もともと、世論では不支持が支持を上回っていました。投票行動でもそれが出ています（開票は数％で、議席予想にまでは至っていません）。CNNでは、終日、各州の結果を中継しています。

【上院の1/3、下院の全員、36州の知事選が同時】
中間選挙では、任期が6年の上院の1/3、2年の任期の、下院の全員、そして36州の知事選が行われます。州の独立性が強い米国では、知事選の結果が、トランプ政策に大きな影響を及ぼします。

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…（記事全文5,495文字）