… … …(記事全文5,794文字)今回は、前編の試算をFIREの生命線である 「4%ルール(4%固定取り崩し)」 に当てはめ、私たちの計画が何年持ちこたえられるのかを検証します。
【本記事の目次】
・はじめに:前編のおさらいと、今回のテーマ
・第1章:「4%固定」は何年持つのか?
・5つのシナリオで検証した結果
・40年以上の長期FIREにおいて「4%固定」が抱える罠・第2章:相場が平均回帰したとき、40年持たせるには?
・「4%」のままでは25〜33年で資金ショート
・中間シナリオ(直近10年平均へ戻る)なら取り崩し率は「約3.5%」
・最悪シナリオ(1990年以降の平均へ戻る)なら「約2.6%」
・生活費の劇的な見直しが迫られる現実・第3章:結局、今の株はやばいのか?
・予測できない相場を生き抜くための「3つのアクション」・第4章:この検証方法の限界と注意点
はじめに:前編のおさらいと、今回のテーマ
後編に入る前に、前編(第10回)の内容を短く振り返ります。前編を読んでいない方も、ここだけで後編の話についてこられるようになります。
① 株価は当てられないが、「長期のリターン」は見積もれる
明日の株価が上がるか下がるかを当てるのは、ほぼ不可能です。しかし、今後10年といった長い期間の平均リターンなら、ある程度の幅で見積もれます。前編では、そのやり方を紹介しました。
② 割高さの目安「CAPE」は、予測には向かなかった
株の割高・割安を見る指標に、CAPE(シラーPER)があります。ところが、米国の大手運用会社PGIMの論文によると、CAPEは過去のデータには見事に当てはまる一方、将来のリターンの予測ではほとんど当たりませんでした。
③ 予測に使えたのは「4要素の足し算」
予測で大きく外さなかったのが、次の足し算です。FIREの計画では生活費もインフレで上がるので、インフレを除いた「実質」で考えます。
⇒ 株の実質リターン = 実質の成長 + 配当・自社株買い + 株価の見直し
要素 意味 今の数字(年率) 実質の成長 会社の稼ぐ力の伸び
(実質GDP成長率の予想で代用)2.0% 配当・自社株買い 株主への還元 約2.4% 株価の見直し 割高・割安が平均に戻る分
(CAPEで判断)まずゼロと置く
「株価の見直し」をゼロとすると、実質リターンは2.0%+約2.4%=約4.4%になります。
④ ただし今は割高。戻り方しだいで0.2〜4.4%
問題は「株価の見直し」の現在の位置です。CAPEは2026年10月2日時点で41.38と、かなり高い水準です。これが今後10年で平均(1990年以降の平均で約27)に戻ると、「株価の見直し」がマイナスに働き、リターンを削ります。戻り方別の実質リターンは次のとおりです。
シナリオ CAPEの戻り先 実質リターン A. 現状維持 戻らない(41のまま) 約4.4% B. 少し戻る 35 約2.7% C. 直近10年平均へ戻る 32 約1.8% D. さらに戻る 30 約1.2% E. 1990年以降の平均へ戻る 27 約0.2%
今回のテーマ:今後10年の株価は、低迷する可能性がある
ここで、前編の結果が意味することを整理します。
世界株式の過去の実質リターンは、年約5%でした。ところが今の割高な水準からは、どのシナリオのどれを見ても、この過去の平均を下回ります。割高さが少しでも修正されれば、リターンは大きく削られ、最悪のシナリオEでは、10年間ほとんど増えないことになります。
もちろん、これは「そうなる」という予言ではありません。割高な状態が長く続く可能性もあり、いつ・どれだけ戻るのかは誰にもわかりません。ただ、今後10年の株価が低迷する可能性は、計画に織り込んでおくべきです。
では、そうなったとき、FIREの計画は持ちこたえられるのでしょうか。特に、40年、50年と取り崩しが続く私たちには、リターンが低い10年が与える影響は小さくありません。これが、今回のメルマガのテーマです。

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