… … …(記事全文5,167文字)前回の「右肩上がり」、日本のデータでも同じことが起きていた
第2回のメルマガでは、Pfau and Kitces (2014) の論文をもとに、「リタイア後は年齢とともに株式比率を下げて債券の比率を上げる」という常識が、アメリカの過去100年のデータでは資産寿命を縮める要因になっていたという話をしました。正解は「開始時は株式比率を抑え、時間をかけて徐々に株式の比率を引き上げていくこと」でした。
これはあくまでアメリカのデータでの話です。今回は「日本の市場データだけを使ったら、同じことが言えるのか」を、山口大学の城下賢吾先生・木下真先生による2本の論文で検証してみます。
結論から言うと、日本のデータでも同じ「逆転現象」が起きていました。ただし話はそれだけでは終わらず、その延長線上にあるもう1本の日本発の論文が、前回の結論と真っ向から矛盾するように見える提案をしていることもわかりました。今回はその矛盾を解きほぐしながら、私なりの実践案までお伝えします。
ちなみに、以下ブログにも簡単な解説を書いていますので参考にしてください。
▼参考
・FIREの「4%ルール」を日本で実践すると失敗する?過去データが示す適正な取り崩し率参照する論文は以下の2本です。
・城下賢吾・木下真(2017)「自分年金化と安全引き出し率」山口経済学雑誌65巻6号
・城下賢吾・木下真「Withdrawal strategy in Japan」山口経済学雑誌69巻6号そもそも、なぜ「株を減らすと逆に危険」になるのか
前回の記事のロジックをおさらいすると、「取り崩し率が高いのに守りに入って現金・債券を増やすと、目減りした資産のまま安全資産に固定してしまい、その後の回復に乗れない」というのがポイントでした。
日本のデータでこれと同じ構造が現れるかどうかは、「引き出し率」と「株式比率」を総当たりで振ったシミュレーションを見れば一目瞭然です。ここからは、具体的なシミュレーション結果を表と図で確認していきましょう。
全データを見る:引き出し率0.5%〜10%の成功率マップ
「株式:50%、債券:50%、期間:30年、実質引出率」の表です。0.5%刻み全19段階の成功確率と最終資産額(中央値・分位数つき)が一覧できます。
この表だけ見ても、日本の現実は見えてきます。


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