… … …(記事全文1,886文字)スウェーデンの章では、移民をめぐる治安の問題を取り上げた。人口構成の変化がもたらすもう一つの論点は、宗教、すなわち文化や価値観の変化だ。英国はその代表例だ。
●宗教人口構成が変わると文化も変わる
2021年の国勢調査によると、英国(イングランド・ウェールズ)のムスリム(イスラム教徒)の人口は約390万人と全人口の6.5%に達した。2011年には270万人、4.9%だったから、10年間で約120万人増えたことになる。
一方、キリスト教徒は59.3%から46.2%へ減少し、「無宗教」は25.2%から37.2%へ増加した。
<2022年11月29日 英国国家統計局>
宗教人口構成の変化が最も象徴的に表れているのが英国の首都ロンドンだ。
2021年、ロンドンのムスリム人口は人口の15.0%に達した。2011年の12.6%から上昇している。地域によっては住民の40%近くをムスリムが占める場所もある。
<ロンドン・タワーハムレット区>
この変化は、政治の担い手にも見られる。2016年、パキスタン系移民の子であるサディク・カーン氏が、イスラム教徒として初めてロンドン市長に当選し、現在3期目を務めている。
移民に端を発した宗教人口構成の変化は、英国の首都のリーダーにまで波及している。
<2016年5月12日 ITmediaビジネス>
さらに、2024年の英国総選挙では、ムスリム人口の多い選挙区で、親パレスチナの無所属候補が5議席を得た。労働党のムスリム票は、2019年の約8割から約6割へ下がった。人口構成の変化は、既存政党の支持基盤を組み替える力を持ち始めている。



