ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022062406000095950 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●イトーヨーカドーの撤退 私の居住する柏崎市の衰退ぶりは惨憺たる状況である。「平成の大合併」で人口が9万人に達したものの、減少が続き現在では8万人を切るところまで来ている。柏崎駅前の目抜き通り(「駅通り」)にある総合スーパーマーケット「イトーヨーカドー丸大柏崎店」が、2018年に閉店・撤退した。同店は1981年、市内最大の商業施設としてオープンした。地上6階、地下1階の売り場(約8300平方メートル)で、食品・衣料・化粧品などを扱い、最上階にレストランもあった。 1974年に施行された「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(2000年の大規模小売店舗立地法施行にともない廃止)は、大規模小売店舗の事業を制限することにより,その周辺の中小小売業者を保護し,消費者の利益を確保することを目的とされていた。同店は、法施行以降に進出してきたのだが、その際に地元の老舗小売店が閉店に追い込まれたのが実際のところだった。それなのに、最終営業日には閉まるシャッターの前で「長い間ありがとうございました」と店長があいさつをする。こういった光景は、当地に限ったことではないが、強い違和感を覚える。あいさつするならば、「閉店して申し訳ございません」ではないのか、と。 柏崎市商業観光課は、閉店前の2017年、セブン&アイ・ホールディングスに対し、店舗を経済・文化振興の場として活用する「地域活性化包括連携協定」を申し入れた。しかし、不採算店40店を選び閉鎖する同ホールディングスの方針が変わることはなかった。商業観光課の担当者は「長岡市も上越市も締結している。いい返事をもらえると待っていたのに残念だ」と語っていた。 ●商店街が歯の抜けたような状態に 同店は約600メートル続く「駅通り」商店街の中核をなす施設だった。2017年には「元祖明治饅頭」で知られる商店街の老舗和菓子店「美濃屋」が閉店し、跡地は駐車場に転用されたばかり。時間を置かずに「イトーヨーカドー」店舗もすぐに解体され、広い更地になった。それでなくとも、元々見栄えのしない「シャッター街」(全国的に同様に存在する)であった商店街に歯が抜けたように駐車場や更地が散在する姿は、見るに堪えない。その後、上述の長岡市も上越市も撤退することになったが、更地にはなっていない。長岡市はスーパーマーケット他が、上越市は「無印良品」が代替として出店している。柏崎市の場合、やっとのことで「ツルハドラッグ」が小規模ながら進出してきたが、更地の半分以上は残っている。 また、柏崎市は庁舎を駅前に移転し、周辺の「株式会社ブルボン」及び地元の中堅ゼネコンである「植木組」それぞれの本社ビルとともに商店街の活性化を計画していた。しかし、その構想も「イトーヨーカドー」の撤退で中途半端な結果になってしまった。 実は、市内中心部にはもう一つのアーケード商店街「本町通り」があったのだが、2007年に発生した「中越沖地震」により壊滅的な打撃を受けた。このため、廃業せざるを得ない小売店や市外へ移転する中規模商店が続出した。今に至るまで、アーケードの全面再建は断念され、商店街の復興は道半ばの状態である。また、「本町通り」近くにあった市役所庁舎は移転し、跡地の再利用は計画どおり進んでおらず、「閑散化」に拍車をかけている始末だ。それでなくとも、人口流出や少子化、さらに「ドーナツ化」現象が著しい。「本町通り」や上述した「駅通り」を歩く人はほとんど見かけない。かろうじて登下校の児童・生徒や高齢者がいる程度で、休日は逆に人通りは減ってしまう。… … …(記事全文4,490文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)