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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

モヤモヤばかりが募る1週間だった

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022060906000095492 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●県知事選のことは水に流して、参院選は野党共闘? 「いろいろあると思うから一刀両断にはできない。ただ、私は皆さんに協力してきたので、私が出た時には協力してくれるかなと思うじゃないですか」  これは、片桐奈保美氏が、新潟県知事選の開票を見守る会が行われた新潟市内のホテルで、報道陣に漏らした発言である。名指しはしていないが、「皆さん」とは言うまでもなく立憲民主党の新潟県選出国会議員のことである。そして、会場には誰一人国会議員の姿はなかった。片桐氏が他人を悪く言うことなど聞いたことがないが、こんな「恨み節」が出るとは、よほど悔しかったのだろう。  県知事選により県内野党間に溝ができて、野党支持層に「しこり」が残ってしまったのは紛れもない事実である。しかし、これをよそに立憲民主党県連と連合新潟は参議院選挙での森裕子参議院議員の勝利に向けて結束することを確認した。立憲民主党県連代表の菊田真紀子衆議院議員は「知事選ではそれぞれ立場が違ったが、参院選では強力なタッグを組んで、貴重な1議席を死守していかなければならない」と述べた。また、連合新潟の牧野茂夫会長は「知事選と参院選は別のものと考えていた」と語ったという。まさに、どの口が言うか、である。連合新潟もそれに連動する立憲民主党県連も節操がない。さらに、県知事選で一度も姿をみせなかった西村智奈美幹事長は、選挙が終わった途端に来県し、森氏支援を訴えた。今週初め、泉健太代表が「#立憲民主党いらない」とツイートして話題になったが、少なくとも本県ではそのとおりと納得してしまう。  共産党及び社民党の県組織、市民団体などで組織される野党連絡調整会議も森氏の支援を確認したという。県知事選の「ねじれ」は水に流して、参院選は野党共闘でということなのか。ちょっと待って欲しい。そんな虫のいい話はないのではないか。有権者をあまりにもバカにした行動である。「別物」というのであれば、その理由をきちんと説明しなければならない。そうでなければ、片桐氏に投票した20万を超える有権者が、必ず森氏へ投票するとは限らない。自民党へ投票するとは考えにくいが、棄権あるいは白票とする可能性がある。 ●この期に及んでも「困った時の拉致頼み」  弟の勤務先である大学の総務課へメールが来た。差出人は、参議院「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」(「拉致特」)事務局で、弟に参考人として「拉致特」に出席して欲しいという内容であった。事情を理解できない担当者は、メールを弟に転送した。それを読んだ弟は、突然すぎるメールであり、放置しておいたという。  後日、返信がないとして事務局から電話があり、「拉致特」の森裕子理事からの指示で出席を依頼した旨を伝えて来た。弟は、「発言時間がわずか10分で何を喋れというのですか」「政府あるいは野党側が拉致問題への具体的な対応を策定し、それに対する意見が欲しいというなら話しは別ですが、そんなのないんでしょ」「なぜ、この時期なのか。選挙が近いですよね」「単なるパフォーマンスとして利用されるとしか考えられません」と激高し拒否したという。弟は、「今申し上げたことをそのまま伝えてください」と付け加えたら、相手も納得したような口調で「わかりました」と応じたよ、と私に教えてくれた。また、「俺を国会に呼んで、何かやり取りしている場面をテレビやネットで見せて『やってる感』を出すだけ。たまらんよ」とも語った。  また、ほとんど同じタイミングで、参院選自民党候補予定者を支援する同党新潟県議が何度も弟に電話をしてきた。電話にないと彼の妻にまで電話をしてきたという。急いでいたのか、その県議は弟の自宅を訪ねてきた。弟が「何の御用ですか」と尋ねると、「実は参院選候補予定者と一緒に拉致現場を説明しながら歩いてもらえませんか。そしてその様子を録画させてください」と答えた。呆れた弟は「お断りします。拉致現場は警察に訊いたらいかがですか」と提案すると「選挙なもので、ダメなんです」と。「では、市役所は」と再提案すると「それも選挙なんで」と懇願したという。弟は、当然キッパリと断った。それにしても、そんな動画で「拉致問題に取り組んでいます」とアピールする軽佻浮薄さは20年経っても変わらないと嘆くとともに、「本音」をいとも簡単に言ってしまう同県議には「馬鹿正直にも程がある」と呆れていた。  本県においては、未だにこんな「困った時の拉致頼み」が行われているのだ。県民として恥ずかしいばかりである。 ●泊原発運転差し止め判決の一方で島根原発再稼働容認  北海道電力泊原発1~3号機に対して、札幌地裁は「津波に対する安全性の基準を満たしていない」などとして、現在定期検査中の3基の運転差し止めを命じた。裁判所が津波対策の不備を判決理由にしたのは、国内初のことである。原告の廃炉請求については「必要な具体的事情が見いだせない」として棄却されたが、これで東京電力福島第1原発事故後、運転差し止めの判決が下されたのは3例目となった。北海道電力は、判決を不服として控訴したものの、画期的な判決だと言える。  そう思っていたのも束の間、中国電力島根原発2号機について、丸山達也島根県知事が、再稼働に同意することを県議会で表明した。島根原発は周知のとおり、全国で唯一県庁所在地に立地しており、2号機は運転開始から33年経過しており老朽原発に類する。これで、松江市など関係自治体の同意が出揃ったことから、中国電力は、津波対策などの安全対策工事を2023年2月までに終え、2023年度中に原子力規制委員会の残りの審査に合格し再稼働することを目論んでいる。メディアは、相変わらず、島根原発2号機は事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型軽水炉(BWR)」であり、再稼働すれば事故後初のBWRとなる、と能天気に報じている。
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