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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

片桐候補「何のこれしき。負けずに原発反対を訴え続けていく」

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022060306000095266 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●開票速報開始直後の当確 「私はめげない」  5月29日午後8時、新潟県知事選挙の開票速報が始まると同時に花角英世氏の当選確実が出た。開票の行く末を見守ろうと会場に集まっていた支持者のあいだからは、「どうしてこんなに早く決まるのか」との声も上がった。しかし、結果は片桐奈保美氏の大敗に終わった。  壇上であいさつに立った片桐氏は気丈にこう語った。 「何のこれしき。これをばねに、今後の人生も負けずに原発反対を一生懸命訴え続けてい きます」 「人生の中で、もっと大変なことがたくさんありました。私はめげません」  会場からは大きな拍手が沸き上がり、今後も市民団体のリーダーとして原発反対の機運をより高めていってくれる。落胆ムードは一層され、そんな期待感が満ち溢れた。 ●奇跡は起きなかった  また、片桐氏は「もう少し時間が欲しかった」とも述べた。2期目の首長選挙では、現職が圧倒的に有利であることは言うまでもない。連日のように、地元のテレビ・ラジオや新聞に登場していれば、「知事は何かやっている」と感じる視聴者・読者(有権者)は多いはずで、それが「実績」となって植え付けられるのは当然だ。これに対して、片桐氏は「あの人誰?」となり、県内の野党国会議員等選出の「縁の下の力持ち」であることを知る人は一部に限られる。知名度不足を、わずか17日間の選挙戦で挽回するなど至難の業だ。それでも「選挙は蓋を開けてみなければ分からない」と信じて支援してきたが、奇跡は起きなかった。 ●地元メディアの報道  地元紙新潟日報は、「花角知事再選」「片桐氏に大差」「再稼働巡る論戦低調」と報じた。そして、「大差を付けられた最大の要因は、柏崎刈羽原発の再稼働問題の争点化が不発に終わったからだ」とする。さらに「花角氏は経済回復の方策に重点を置き、原発問題を語る場面はほとんどなかった。相手の土俵に乗らず、争点化をかわした花角氏に軍配が上がった格好だ」「接戦となった前回知事選で花角氏は自らの考えを示した上で『職を賭して信を問う』と踏み込んだ考えを示し、再稼働に慎重な層の受け皿となった。だが、今回はそこまでの言及がなかった」と分析した。  原発問題について、「低調」「不発」「広がり欠く」「争点かわし」との言葉を並べ、柏崎刈羽原発に運転禁止命令が下されている状態が作用したとしている。確かに、原発問題よりも「景気・雇用」「医療・介護・福祉」「教育・子育て」に目が向いてしまうのは止むを得ないのかも知れない。しかし、ここで改めて警鐘を鳴らしたいのは、柏崎刈羽原発は「死んだふり」をしているだけということだ。花角氏も「死んだふり」。県民は、そんなムードに流されてはいけなかった。 ●再選後に復活した「再稼働の是非は県民の信を問う」  前回の知事選では、花角氏も「脱原発目指す」として「争点ぼかし」をした。だが、今回は、県民の意識を読み取った上で、巧妙な「争点隠し(外し)」をしたというのが正しい見方だと私は考えている。上述のとおり、選挙戦では柏崎刈羽原発の再稼働について、ほとんど触れなかった花角氏だったが、再選後の記者会見では態度が一変した。  「安全性の検証作業を終えた後に自ら判断し、県民の意思を確認する」と発言したのだ。意思確認の方法は「決めているものはないが、信を問う形が最も明確で重い」とした。信を問う具体的な方法を問われると、県議会決議や住民投票を例示し続けた。「一般的な語感からすれば、存在を懸けるという意味合いが強い」と述べ、「存在を懸けるとは、知事選も当然一つの形」だと強調した。
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