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山田順の「週刊:未来地図」
No.845 2026/08/11
熱帯より過酷な日本の夏「猛暑」
温暖化無関心政府で日本の将来はどうなる?
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今年の東京は、昨年のような猛暑ではない。それで、あまり切迫感がないが、西日本、九州は40度を記録する猛暑なので、温暖化危機は年々加速している。
しかし、高市首相は温暖化にはまったく興味がないようで、日本の温暖化対策は遅れるばかり。世界を見ても遅れが目立つ。決定的なのは米国トランプで、温暖化を「フェイク」としているのだからどうしようもない。
ただ、それをいいことに、日本がこのまま対策を怠っていると、本当の危機が訪れる。
[目次] ─────────────────────
■40℃超えの日本、37℃が最高気温のシンガポール
■夜間の最低気温も日本はシンガポールより高い
■赤道にある街で40度を超えることはない
■なぜシンガポールは日本より暑くないのか?
■「20250年の天気予報」が予測する“灼熱未来”
■酷暑、気温上昇とともに深刻なのが「海面上昇」
■温暖化阻止を諦め、どうやって対処するかに専念
■日本の2050年カーボンニュートラルはほぼ無理
■高市首相にとって温暖化対策は引き継ぎ事項
■無関心がはっきり表れた所信表明演説
■気温5℃上昇は確実。もう手遅れではないか
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■40℃超えの日本、37℃が最高気温のシンガポール
最近、シンガポール在住で、一時帰国した知人が言う。
「日本の夏はシンガポールより暑い。これではまとも暮らせない」
東京は、昨年に比べて猛暑日が少なくなったが、西日本、九州は違う。連日35℃を超え、時として40℃を超える「酷暑日」も何日か出ている。
「シンガポールで最高気温が40度を超えたことなんかない。政府は35℃以上が3日連続した場合を熱波としているが、そんなことは滅多にないね」
と言うので、調べてみると、シンガポールの観測史上の最高気温は37.0℃。1929年の記録開始以来、97年間で2度しか記録されていない。1度目は、1983年4月17日にトゥマス(Tengah)地区で観測され、2度目は2023年5月13日にもアンモキオ(Ang Mo Kio)地区で観測されている。
シンガポールが約1世紀かけて2度しか記録していない最高気温37.0℃を、日本は毎年、何十、何百地点で観測している。
■夜間の最低気温も日本はシンガポールより高い
常夏のシンガポールが、日本の夏より過ごしやすいのは、日中気温だけではない。最低気温を記録する夜間の気温にも表れている。
シンガポールでは、普段の日中の最高気温は通常30〜32℃で、夜間の最低気温は25〜26℃。これだと、夜はエアコンをつけなくても過ごせるという。
これに対して日本はどうだろうか?
東京の8月の最低気温は、猛暑だった昨年は平均26.2℃。30℃を下回らない日もあった。25℃以上を「熱帯夜」と呼ぶが、昨年はなんと55日と歴代3番目の多さだった。
もう一つ、「日本は湿度が高いから暑さが厳しい」という話があるが、これはその通り。ただ、湿度が高いからといって、その分暑さが厳しいというのはウソだ。
シンガポールで「気温32℃、湿度80%」のとき、露点(水蒸気が水滴に変わり始めて結露が起こる温度)は約28℃。東京で「気温37℃、湿度60%」のときの露点も約28℃だから、空気中の水分量はほぼ変わらない。
■赤道にある街で40度を超えることはない
シンガポールは、ほぼ赤道直下。そこで、赤道付近にある世界の主な都市を調べてみると、みな、日本より気温は低い。
エクアドルの首都キト、ペルーの首都リマ、ケニアの首都ナイロビ、ガボンの首都リーブルヴィルなどが挙げられるが、どこも最高気温が40℃を超えたことはない。
ただ、キトの標高は約2800m、ナイロビの標高は約1600mなので、気温は平地に比べて低いのは当たり前だ。しかし、リマとリーブルヴィルは、海の面した平地にあるのに、最高気温は低い。
リマの標高は約0〜154mで、観測史上の最高気温は35.2℃。リーブルヴィルは、年間を通じた平均最高気温は約29〜31℃で、もっとも暑い3月頃に31℃を超える場合があるが、過去の最高気温は35.0℃に過ぎない。
赤道直下といえば、インドネシアのボルネオ島(カリマンタン島)のポンティアナックが「赤道が通る街」として有名だが、平均最高気温は年間を通じて32〜33°C。観測史上の過去最高気温は2025年7月30日に記録した37.0℃である。
というわけで、いまや日本の夏は赤道直下の熱帯より暑い。それも「猛暑」「酷暑」なのであり、温暖化が進めば、さらに暑くなるのは間違いない。
■なぜシンガポールは日本より暑くないのか?
日本の夏は、なぜシンガポールより暑いのか?なぜシンガポールは日本より暑くないのか? AIに聞いてまとめてみると、以下のようになる。
(1)周囲を海に囲まれているため、海風の冷却効果がある。海水は気温ほど急激に温まらないため、海面からの涼しい風(海風)が常に吹き込んでくる。
(2)毎日のようにスコールがある。午後2時ごろになると、決まってスコールがあり、雨が地表や大気の熱を急激に冷やす。そのため、気温上昇がストップする。
(3)日照時間の年間変化がない。日本の夏は、北半球が太陽に向かって傾くため「昼の時間が長く、太陽光を長時間受ける」ことになり、さらに大陸からの熱い高気圧に覆われて気温が跳ね上がる。一方、シンガポールは1年中「昼と夜の長さがほぼ12時間ずつ」で一定。夏だから極端に昼が長くて熱が蓄積されるという現象が起きない。
(4)ヒートアイランド現象。日本の都市部におけるヒートアイランド現象は極端。東京の場合、過去100年で日本の平均気温が約1.4℃上昇するなか、3℃以上も上昇している。
最近、各地で「ゲリラ豪雨」が起こっている。これは、まさにスコールで、日本の都市部の夏は、もはや熱帯、熱帯以上と言えるだろう。
■「20250年の天気予報」が予測する“灼熱未来”
国連広報センター、東京大学、国の研究機関などが共同で発表する「2050年の天気予報」の最新バージョンが8月3日、公開された。
第1回目は2014年。そこでは、「東京の真夏日(30度以上)の連続日数が、お彼岸までで50日を超える」と予測されたが、すでに2023年7月から9月にかけて64日連続を記録し、温暖化が猛スピードで進んでいることが明確になった。
では、最新バージョンでは2050年の気候をどのように予測しているのだろうか? 以下がそのポイントだ。
・最高気温の更新:群馬県などで43度、全国のべ157地点で40度以上の酷暑日を記録。
・外出自粛令: 午前11時から午後3時まで外出が禁止され、保育所や幼稚園は休園。
・医療体制のひっ迫:熱中症患者の急増で救急車の到着に1時間以上かかる事態。
・スーパー台風:走行中のトラックが横転するほどの最大風速60メートル、最大瞬間風速100メートルの台風が襲来。
・食料危機:猛暑と水不足によりコメが不作となり、カツ丼なども気軽に食べられない状況。
・生態系の変化:ソメイヨシノが冬の低温不足で開花しない地域が出るなど自然環境にも影響。
