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海上自衛隊での大量の懲戒に異論はない。法令がある以上、その法令にしたがって懲戒や処罰がされるのは法治国家である日本では当然のことだ。だが、古い法令や制度を見直すこともなく、昭和の近隣諸国が軍事的脅威でなかったころの自衛隊のルールのまま放置した責任で実際に処罰されるのは、日本国そのものになる可能性が高い。
このメーリングリストの「海上自衛隊崩壊 と不祥事 4 」で書いた予言を再度、繰り返す。「特別防衛監察が進めば進むほど、海上自衛隊内の懲戒は増え続け、処分者も逮捕者も増える。そして、それを見ている海上自衛隊の現役隊員は増々離れていくだろう。このままでは遠くない未来、日本は平時の海上防衛の多くを諦めるしかない日が来る。
潜水手当や能力給、訓練に対しての休暇をとらせるために必要な人員数を確保できるだけの給与や待遇面の改善を怠った責任を日本国は、海上防衛力の空洞化という悲惨な結果であざなうこととなる。
海上自衛隊は常時南西諸島方面への警戒行動をしている。尖閣諸島沖には中国の海警の船が常に領海付近にいる。時には、領海内を航行することもある。対処する海上保安庁の巡視船の後ろには、海上自衛隊内で決められた担当艦艇が航行する。この担当艦艇は一度でると、なかなか母港にかえることができない。交代する船が来なくては帰れず、やっと任務をとかれて母港にかえったとたん、別の船がきたからもう一度いけと命じられることも多い。十分に休むこともできないまま出航する場合もある。
海上保安庁サイトより転載
この行動をしている船には特別な手当はない。通常の航海手当や乗組員手当だけだ。また、就業規則で約束された年休どころか、出航でとれなかった代休を取得することも許可制で、いつまでも取得を許されない。年間通して修理や訓練、任務と忙しすぎる海上自衛隊では代休許可が下りるはずがなく、年休・有給・代休は「絵にかいた餅」に過ぎない。休息時間もないブラック職場からほとんどの隊員が逃げ出してしまう。
*人的基盤の強化に関する有識者検討会の資料から引用転載。
「教育隊から部隊配属になって1年で半数以上が退職して同期はどこにもいない」とぼやく隊員の話をよく聞く。3年間、海上自衛隊の艦艇勤務に残った隊員は珍しく、士長から3曹への昇進は艦艇にいる限りかなり早く進む。自衛隊にほとんど残らないからだ。
こんな海上自衛隊での中でもさらにキツイ職業に潜水士がある。
さらに、その潜水士の中で最も高い能力を誇るのが飽和潜水課程をクリアした人達だ。この人達が潜水艦隊の潜水艦救難艦に配属されている。
その潜水艦救難艦で不正手当問題の懲戒が多数でたのだ。