… … …(記事全文2,755文字)フランスのマクロン大統領は、世界経済フォーラム(WEF)の秘蔵っ子であり、筋金入りのグローバリストだ。グローバリズムはマルクス主義(共産主義)の変形であり、本質は同じ「左翼・リベラル」である。そのマクロン政権が、今回の暴動は極左勢力(極左政党「不服従のフランス(LFI)」と極左集団)が煽っている、と激しく批判している。
●自由・権利より秩序・治安
筆者は当初、同じ穴の狢(ともに左翼・リベラル)であるはずの極左勢力をマクロンが批判することに違和感を覚えた。
<2026年10月1日 Le Parisien 「マティニョン宮」とは首相官邸のこと。転じてフランス政府・首相を指す>
だが、マクロン政権は社会政策ではリベラルな側面を持つ一方、経済政策では市場競争や企業活動を重視する新自由主義(グローバリズム)的な路線を推進してきた。そのため、極左とは異なる中道勢力として位置づけられている。
一方、LFIはれっきとした極左で、今回の暴動への関与を全面的に否定している。ただ、学生たちの不満がマクロン政権への反発と結びつけば、政権打倒を目指すLFIにとって、政治的な好機になることは間違いない。抗議運動の拡大を政権批判へと結びつけ、既存の不満を政治的な力へ転換しようとする動きがあっても不思議ではない。抗議運動を激化させ、暴動へと発展させる手法は、まさに極左の十八番だからだ。
<2026年10月9日 FOXニュース>
現在、フランス政界は大きく分けて、マクロン率いる中道与党「再生(ルネサンス)」、メランション率いる極左政党「不服従のフランス(LFI)」、ルペン率いる極右政党「国民連合(RN)」の三つ巴の状態にある。いま彼らが見据えているのは、2027年4月の次期大統領選だ。
中でも極右と称される国民連合(RN)は、長年にわたり左翼政策とグローバリズムを推進してきたマクロン政権への国民の怒り・反動を吸収し、急速に支持を伸ばしている。移民統合の問題や治安への不安が解消されないまま抗議活動が暴力化すれば、既存政党への不信はさらに強まりかねない。
<2026年7月29日 NEWSポストセブン>
ここで重要になるのが、フランス大統領選挙の仕組みである。第1回投票で過半数を得る候補者がいなければ、上位2人が決選投票に進む。つまり、第1回投票で支持を集めるだけでなく、決選投票で他陣営の支持者からも票を得られるかどうかが勝敗を左右する。
現時点の世論調査では、RNのルペン、LFIのメランション、中道系のフィリップらが争っている。マクロン自身は連続3選が認められないため、次期選挙では後継となる中道候補の行方が焦点の一つとなる。
だが情勢は、RNルペンとLFIメランションの一騎打ちになりそうだ。
<2026年8月27日 ロイター>
そこでマクロンが採る戦略が、首位を走る「極右RN」と、それに続く「極左LFI」の双方を「国家を崩壊させる過激主義」と指弾することだ。「どちらの極端も危険だ」と国民に危機感を植え付け、消去法で自らの陣営(中道派)を選ばせようとしている。
その策略の手始めが、今回の暴動への対処だ。暴動の背景にいる極左勢力を激しく批判してLFIの支持を削ぎ落とし、まずは中道候補を決選投票ラインである2位へと押し上げることを狙っている。
実際、フランス国民はデモの度に頻発する暴動に疲弊し、切実に「秩序の回復」を望んでいる。
<2026年10月8日 エポックタイムズ>
だが皮肉にも、その世論の受け皿となっているのは中道系ではなく、より強力な治安維持や移民制限を掲げるRN(国民連合)だ。LFIと中道系による暴動の政治利用は、RNを利するだけに終わっている。
先週お伝えしたように、国民は「監視社会化」というリスクと引き換えにしても、なお「秩序」を選ぶのだ。
<2026年10月10日 ロイター>
表向きの勝者は、RNだろう。
だが、真の勝者は果たして誰なのか。









