… … …(記事全文2,823文字)熊本地震が発生してはや1週間が過ぎた。現地では避難生活が長引く一方で、インフラ復旧や官民の支援体制の本格化に向けた動きが進んでいる。国の取り組みや復旧状況については改めてお伝えすることとして、今回は大地震が起きるたびにネット上で取り沙汰される「人工地震説」にスポットを当てる。筆者自身、人工地震の存在を確信している一人だが、闇雲に支持するつもりはない。熊本地震においてSNS上で語られる人工地震説の主な論拠について客観的に検証する。
●飛び交う人工地震説
X(旧Twitter)で『熊本地震 人工地震』と検索すると、関連ポストが数多くヒットする。
こうした投稿に対し、大手メディアはエビデンスや科学的根拠がないことを理由に頭から「デマだ」「陰謀論だ」と一蹴している。
<2026年7月31日 FNNプライム>
かく言う筆者も人工地震の可能性を疑い、発生直後から傍証となり得る要素をいくつもチェックしていた。
結論から述べれば、今回の地震は人工地震ではなく自然地震と捉えるのが妥当である。
●検証
- ①地震波形——「人工地震の波形だ」というSNSの主張について
自然地震ではP波(初期微動)とS波(主要動)が観測されるが、爆弾による人工地震の地震波形にはP波(初期微動)がなく、いきなりS波(主要動)がくる。これは防災科学研究所や気象庁が認めている客観的事実だ。
<防災科学研究所>
<2016年1月6日 北朝鮮を震源地とする地震を「自然地震ではない」(地下核実験による地震)と説明する気象庁>
https://youtu.be/nIZ6TFTQFg4?si=F0C1JLg421km996v
<2016年1月6日 朝日新聞>
今回の地震の地震波形はどのような形をしているのだろうか。
以下は、人工地震の根拠としてSNS上で拡散した熊本県八代市(KMM012地点 防災科学技術研究所公表)の地震波形の画像だ。確かにP波がほぼなく、いきなりS波が来ているように見える。
<SNSで拡散している八代市の地震波形>
そこで筆者も、防災科学技術研究所のサイトから全く同じ観測データを取得してみた。
すると、そこにはP波(初期微動)があった。S波も2つの波に分かれており、自然地震特有の形状を示していた。
<筆者が防災科学技術研究所のサイトから取得した八代市の地震波形>
なぜ同じデータでありながら、波形の見た目が全く異なるのだろうか。
理由はシンプルだ。SNSで拡散されている波形画像は、横方向で圧縮されているのだ。
両図の時間軸50秒の範囲を赤枠で囲んで比較すると、SNSで拡散されている画像は、筆者が「防災科学技術研究所」のサイトから取得した元画像を横方向に5分の1程度までギュッと圧縮したものだと分かる。
地震波形を横に圧縮すると波が潰れてしまい、本来あるはずのP波が見えなくなり、あたかもS波だけであるかのように見えてしまうのだ。
<SNS拡散画像(左)は、オリジナルの画像(右)を横方向に圧縮したものだった>
念のため他の地点の地震波形も見てみたが、どれも自然地震の波形をしていた。
人工地震と自然地震を区別する最大の要素(地震波形)は、今回の熊本地震が自然地震であったことを強く示唆している。












