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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

#84 コロナワクチン反対運動と【非通常医療】 ~新田剛さんからの「逆質問」に答える~

2025年3月16日(日)、新田剛さん(東京理科大学教授)と掛谷英紀さん(筑波大学准教授)を招いて、宝島社で拙著『レプリコン騒動』の出版記念トークイベントを行った。あいにくの雨でかなり寒い日だったにもかかわらず、40人を超える方々に足を運んでいただいた。無事、盛況のうちに終わったのは、配信で視聴していただいた方々も含め、イベント参加者のみなさまのおかげと心から感謝している。あらためて、お礼申し上げたい。

 

新田さん、掛谷さんへ10の質問をあらかじめ用意して、それをわたしから投げかけるかたちでイベントを進行したが、そのときに新田さんからわたしに対する「逆質問」をいただいた。分断と対立を繰り返すようになったコロナワクチン反対運動が「曲がり角」に来ていると感じているわたしにとっても、新田さんの逆質問の内容はとても重要だと感じた。少し長くなるが、以下メールで送っていただいた質問内容の全文を引用させていただくとともに、ここであらためてわたしなりの回答を書き記しておきたい。

 

「質問4で、『抗体スプレー』を例に挙げて、反ワクチン運動を利用したニセ科学ビジネスについて尋ねられ、私は、非専門家に恐怖を煽る情報を吹き込んで騙して物を売る、金を儲ける、といったビジネスには絶対反対であると答えました。

思い起こせば、鳥集さんや宮沢先生と初めてお会いしたのは2021年12月の横浜でのシンポジウムで、『コロナワクチンで自身が健康被害を受けた、あるいは健康被害を受けた人が身近にいる?』という鳥集さんの質問に対し、500人近い来場者のうちのかなりの数の人が手を挙げました。私はこれに驚いて、免疫学者としての情報発信が必要だと感じました。

次にお会いしたのは2022年4月、埼玉でのシンポジウムで、この時に『有志医師の会』の活動が紹介されました。しかし、その時に驚いたのは、有志医師の会の先生方のなかに、『ホメオパシー』や『〇〇解毒』といった明らかに非科学的な治療法や医薬品を扱っておられる医師が複数いたことです。私は、コロナワクチン強制反対や健康被害を訴える運動が、そのような非科学的なトンデモ医療者に頼っているのはよくないと繰り返し訴えてきました。

https://x.com/takenitta/status/1596080272055099392

https://x.com/takenitta/status/1597725167769509889

そこで、鳥集さんに質問です。有志医師の会には、様々な非科学やトンデモと言われかねない医療を推す医師が多く参加していますが、これについてどう思いますか? レプリコン騒動に乗じた抗体スプレーやMDα以外のトンデモ医療についても、同じように批判すべきだと私は思いますが、いかがですか?」

 

コロナワクチンの反対運動の中に、ホメオパシー、漢方、解毒、サプリメントのような、保険外の非通常治療を推している医師が多いのは確かだ。そして「全国有志医師の会」にも、そのような医師たちが多く所属している。わたしの体感だと3分の1近くが、そのような医師かもしれない。日本全国すべての医師の中で保険外の非通常医療を行っている人はかなり少なく、1割にも満たないと思われる。それから考えると、全国有志医師の会の3分の1近くというのは、かなり高い割合になる。

 

なぜ全国有志医師の会に非通常医療を推す医師が多いのか。それは、もともと現代の通常医療に対して批判的な考えの人が多いからだと思われる。通常医療に批判的だからこそ、そのアンチテーゼとして非通常医療を推しているも言える。そのような考えの人たちにとって、現代医療の象徴とも言える新規の「mRNAワクチン」は、最初から警戒すべきものと認識されたに違いない。ただ新しいだけでなく、人工の遺伝子を健康な人の細胞に挿入するという、ヒトの自然の原理にも反する仕組みのワクチンだ。自然派の傾向も強い彼らにとって、到底受け入れられるものでなかったはずだ。

 

「新規の医薬品を安易に使うべきではない」、ましてや「遺伝子製剤を健康な人にまで打たせるのは危険」という「感覚」は、わたしとしても非常に共感できるものだった。その点で、わたしは当初、非通常医療の医師たちの感覚の真っ当さを高く評価していた。mRNAワクチンの中止を求めるためにも、通常医療に携わる医師だけでなく、非通常医療の医師たちとも手を携えて運動することは必要なことだと、全国有志医師の会に司会として参画し始めた頃は考えていた。

 

だが、しばらくして違和感を持つようになったのも確かだ。

… … …(記事全文4,940文字)
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