… … …(記事全文5,560文字)「コロナワクチン接種が始まって以降、死者が異常に増えているとの集計が出ていますが、それについてどのようにお考えですか?」とのご質問を読者からいただいた。せっかくなので今回は、これに関連したテーマを取り上げてみたい。先月、X(旧ツイッター)で話題になったのでご存じの読者も多いと思うが、実は各地の自治体から公表された今年(2025年)1月の死者数が、また異常な増加を示している。現在までに判明している主要な都道府県の「死者数」と前年同月比の「増減率」は次の通りだ。
2024年1月 2025年1月 増減率
宮城県 2,892 3,312 115%
埼玉県 8,941 10,768 120%
千葉県 7,909 9,267 117%
東京都 14,292 16,873 118%
神奈川県 10,280 11,885 116%
愛知県 8,468 10,254 121%
京都府 3,326 3,689 111%
大阪府 11,302 13,221 117%
兵庫県 6,855 8,372 122%
広島県 3,778 4,651 123%
福岡県 6,330 7,467 118%
*大平氏のブログ「人口減少時代をグラフで読み解く」/3月13日付記事「2025年1月の月別死亡数はで最多の17万人以上の推計(日本人のみ)」より抜粋させていただいた。記して感謝申し上げる。https://jinkougenshou.com/entry/2025/03/13/115350)
これを見れば分かる通り、増加率は軒並み20%近くになっている。このデータをまとめている大平氏によると、全国の増加率は現時点で17.9%と推計される。これは新型コロナの死者数が過去最多となった2023年12月の第8波(前年同月比118.4%)に次ぐ歴代2位だという。ちなみに翌2月も増加した自治体が多いようだが、前年同月比の増加率は数%程度が多く、1月ほどの増え方にはなっていない。
2025年1月の全国の死者数が増えたと確実に言えるかどうかは、厚生労働省「人口動態統計」25年1月分の速報値がもうすぐ(3月26日ごろ)公表されるはずなので、それによって明らかになるだろう。ただ、それを待たずしてもこの冬は、亡くなる人が増えたという実感を持っている人が少なくないようだ。鹿児島で在宅医療を行っている森田洋之医師も、Xでの2025年2月27日のポストで、「患者数は少数ですが、僕のクリニックでも1月は前代未聞の異常な死者数でした」と書いている。
このように死者数が異常に増加すると、コロナワクチンの薬害を追及してきた我々としては、やはり「注射のせい」ではないかと考えたくなる。とくに著名人が若くして亡くなったり、急にがんやその他の病気で他界したりすると、Xではコロナワクチンの影響を匂わせるポストが流れてきて、余計にその思いを強めてしまう。果たして、今年1月の異常な死者数増加は、コロナワクチンと何らかの関係があると言っていいのだろうか。
それを考えるためにまず大切なことは、死者増加と関係しそうな他の要因を排除することだ。ご存じの通り今シーズンは、インフルエンザが大流行した。NHKの報道によると、「昨年12月29日までに全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関あたり64.39人で、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、最も多かった」という(NHK「インフルエンザ患者数 現行の統計開始以降で最多に」2025年1月9日)。
国立感染症研究所が公表しているデータによると、インフルエンザの流行は昨年末にピークを迎え、今年2月末頃には収束している。1月に死者数が急増した一方で、2月の増加率が数%にとどまったことを考えると、インフルエンザの流行拡大が原因で1月の死者が増えたと考えることは、合理的であるように思える。これについても今後、人口動態統計で死因別のデータが公表されれば、ある程度明らかになるだろう(それにしても、コロナの第8波と同程度の死者増加があったにもかかわらず、それほど騒がれなかったのは、いかに「パンデミック」が「インフォデミック」であるかを示している)。
そのうえで、この死者増加がすべてインフルエンザだけで説明できるかどうかだ。わたしには、そうは思えない。
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