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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

#79 やはり「ファイザー」の「一人勝ち」だった ~ⅿRNAワクチン反対運動の「これから」を考える~

2025年2月18日、医薬経済社が発行する日刊紙「RISFAX」に興味深い記事が載った。「コロナワクチン シェアはファイザーが断トツ、Meijiとモデルナは超低空飛行」というタイトルだ。残念ながら有料会員しか読むことができないが、それによると2024年10月からの定期接種では、ファイザーの「コミナティ」が「9割近いシェア」を占めているという(注・私は姉妹誌「医薬経済」に連載しているので、特別に無料でRISFAXの記事を読むことができる)。

 

「やっぱりな」というのが、私の率直な感想だ。ファイザーが一人勝ちになるだろうことは、定期接種前から分かっていた。ファイザーは希釈が不要で、針を装着するだけで注射できる「シリンジタイプ」の新製品を投入。先発メーカーの強みを生かし、シェアを独占すべく医療機関に強力な販売攻勢をかけていた。その簡便さが受けて、医療機関の多くがコミナティを導入したという情報を昨年の7月には得ていた(当ウェブマガジン記事「【レプリコン】ばかりにこだわるべきではない ~その隙に『ファイザー』が巨大な利益を狙っている~」2024年7月26日)。

 

一方、Meiji Seikaファルマのレプリコンワクチン「コスタイベ」は、1アンプル16人分を6時間以内に使い切らなければならない不効率さが嫌われて、ほとんど売れていないと聞いていた(当ウェブマガジン記事「【レプリコン】売れてないってよ ~誤った現状認識は真っ当な反対運動の足かせになる~」2024年9月13日)。今回のRISFAXの記事でも、コスタイベのシェアは「1%未満」と伝えられている。コロナワクチンの医療機関への納入量が25年1月24日時点で「約786万回分」とされているので、8万回分未満ということになる。実際の接種回数は数万だろう。ちなみに第一三共の「ダイチロナ」と武田薬品工業の「ヌバキソビッド」がシェア「数%」、モデルナの「スパイクバックス」はコスタイベと同様に「1%未満」と報じられている。

 

こうなることが目に見えていたので、わたしがレプリコンワクチンとMeiji Seikaファルマばかりをターゲットにするのは、ファイザーを利するだけだという警鐘を鳴らした。そして、実際にその通りになった。コロナワクチンで健康被害を被った人の8割以上がファイザーのコミナティを接種している。そして、残りの多くがモデルナのスパイクバックスだ。両社はいまだに健康被害の責任を取っていない。それだけでなく、ファイザーは社会からの批判をほとんど受けることなく、定期接種で9割ものシェアを掻っ攫ったのだ。その事実を、わたしたちは改めて強く認識するべきだ。

 

ただ、同時にコロナワクチンは社会からすでに「オワコン」と見られているようだ。同じ日付のRISFAXに「コロナワクチン大量返品、メーカー惨敗 接種進まず撤退説や新規参入懐疑論まで浮上、『ボーナスカット』も」24年2月18日)という記事が載った。定期接種では、ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品、Meiji Seikaファルマの5社で、合計3324万回分の供給量を見込んでいたが、業界内では今季(24年10月~25年3月末)の接種は700万回前後にとどまるとの予測が出ているという。つまり、目標の2割ほどしか打たれていないということだ。

 

接種低迷によって、各社には「大量返品」「大量廃棄」のリスクが降りかかっており、ファイザーからは「ボーナスカット」の嘆きが漏れ聞こえているという。そしてモデルナは、「日本撤退説」、塩野義は来季参入計画の「懐疑論」など、後ろ向きの見方が囁かれていると記事は伝えている。427万回の供給が見込まれていたにもかかわらず、実際には納入量が8万回未満にとどまってしまったMeiji Seikaファルマも、レプリコンワクチンの開発投入は「大失敗」という評価になるだろう。

 

その理由として記事であげられているのが、「有料化の影響」と「ワクチン懐疑論・反対論の広がり」だ。それまで無料だったのが原則有料となったのが、接種率低迷の大きな理由であるのは間違いない。また、レプリコン反対運動に象徴されるように、SNS等でコロナワクチンのネガティブな情報が流布され、一般の人たちにも広く伝わったことが、「ワクチン忌避」の拡大につながったのも確かだろう。定期接種化によって、毎年の利益を見込んでいたワクチンメーカーが恨み節を言いたくなる気持ちはよく分かる。

 

だが、ワクチンメーカーが、社会に「ワクチン忌避」が浸透した原因をそうした「外的要因」ばかりに求めるのは間違っている。21年2月に新型コロナワクチンの接種が始まってから、政府厚労省、医学医療界、ワクチンメーカー、そして大手メディアのやってきたことが、果たして「誠実」だったと言えるだろうか。

 

… … …(記事全文4,700文字)
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