… … …(記事全文5,432文字)「このスプレーを作っている会社は僕とは全く関係していない会社で、あそこが売った売り上げが僕に流れることはまずない」
これは2025年1月26日(日)にX(旧ツイッター)で配信された「ゆうこく連合・村上先生の本音」というタイトルのスペース(音声配信サービス)で、「mRNAワクチン中止を求める国民連合」(以下、国民連合)副代表の村上康文氏(東京理科大学名誉教授)が、みずから語ったコメントだ。現在、これを配信したアカウントでの録音は消されているが、「20時だよ全員集合! 火消し系被害者相談窓口」とタイトルを変えて、国民連合のXのアカウントで配信されている。
このスプレーというのは「ODN global株式会社」(代表責任者・小谷真理恵氏)が販売している「murak抗体(ムラック抗体)」を配合した製品のことだ。同社は「Covinax Premium」(13,200円税込み)および「Covinax」(4,980円税込み)の2種類のスプレーを販売している。そしてHPにはこう書かれている。
「東京理科大学の村上康文名誉教授率いるオーダーメードメディカルリサーチとDD サプライが共同開発をしたムラック抗体。“COVINAX”はその第⼀歩であり、ODN globalはこのムラック抗体をより多くの⼈々に届けるために、様々な形での商品化を進めています」
そして、murak抗体を共同開発した「DDサプライ株式会社」は2022年3月25日に、次のようなプレスリリースを出している。
「DD サプライ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:小谷一)は、東京理科大学名誉教授である村上康文博士が設立した抗体医薬ベンチャー、株式会社オーダーメードメディカルリサーチ(OMR)とともに開発した『murak 抗体(ムラック抗体)』の 1 種、『IgY 抗体(*1)』の原料供給を開始いたします。原料供給にともない、本抗体を使用したマウスケアスプレーが、パートナー企業の ODN global 株式会社(https://odnglobal.com/)より発売予定です。」(*1)卵黄エキス(ニワトリ抗体)
DDサプライ社がmurak抗体を共同開発したという「オーダーメードメディカルリサーチ(OMR)」社は、村上康文氏が代表取締役を務める会社だ。つまり、上記のプレスリリースの内容を素直に読む限り、DDサプライ社も、そのパートナー企業である ODN global社も、「僕とは全く関係していない会社」とは言えないのではないだろうか。また、オーダーメードメディカルリサーチ社が権利を完全に放棄しているのなら別だが、そうでない限り同社にはmurak抗体の原料供給や使用製品の販売にあたって、これまでに幾ばくかの売り上げが入ったのではないか。
さらに言えば、同社以外にも村上氏は「株式会社 Zen Pharma Design」(代表取締役・有元佐康氏)という会社の取締役にも名を連ねている。そして、同社のHPの事業内容には、こう書かれている「新型コロナウィルスに対するIgY抗体商品や抗原検査キットなどを始め、抗体封入商品のアジア現地生産・販売を行っています」。同社のHPにはパートナー企業として、オーダーメードメディカルリサーチ社とDDサプライ社の名も記載されている。これを見ても、murak抗体含有製品(IgY抗体商品)の販売によって、村上氏関連の会社に売り上げが入ると考えるのは不自然ではない。
そこで、その事実を確かめるため、私は2025年2月6日の午前中にスプレーを販売する「ODN global」に電話をかけた。そして、オーダーメードメディカルリサーチ社からmurak抗体原料の供給を受けていたり、同社に売り上げの一部が流れるかどうかを知りたいと伝えた。同社の電話に出た女性は私の電話番号を確認したうえで、「担当者から折り返し電話する」と答えた。しかし、2025年2月7日午前中までに、電話はかかってきていない(電話があった場合は後日報告する)。ちなみに、ネットで見つけた「DDサプライ」の電話番号にもかけてみたが、「現在使われておりません」という音声案内が流れてきた。
murak抗体含有の商品を販売する会社がもう一つある。「株式会社マイクロバイオリサーチ」(代表取締役・神部明希子氏)が、「TOTAL BALANCE HEALTH JELLY」なる商品を販売している。この会社にも同じ日に電話をかけて、同様の内容をたずねた。すると、当日に折り返し電話がかってきたが、「金銭面については答えられない」との回答だった。原料の調達先についても、電話に出た女性は明確には教えてくれなかった。
村上氏にあらためてたずねたいが、村上氏個人に直接売り上げが流れてはいないとしても、オーダーメードメディカルリサーチ社あるいはZen Pharma Design社には、murak抗体製品の原料供給や権利・販売にともなう売り上げがあったのではないか。それとも両社はmurak抗体開発にともなう権利を完全に放棄しており、これまでに関連の売り上げが一切なかったのか。再度、スペースを開いていただいて、教えていただければ幸いだ。
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